Hewlett-Packard(以下HP)は,北米の報道関係者を対象として,同社のゲーム市場に対する戦略発表会を米国時間2007年4月4日に開催。その場で,同社の研究所がゲーム用として開発を進めている特殊ディスプレイの一部を実演したと発表を行った。
英文リリースによると,HPが用意したのは,プレイヤーの視界を包み込むように湾曲したディスプレイと,一つの大型スクリーンを複数のプレイヤーが使ってプレイすることを想定した「super projector」(スーパープロジェクタ)の2点だ。前者については,HPが買収したゲーマー向けPCブランド「Voodoo PC」製のPCをベースとしたシステムと組み合わせて遊ぶイメージ写真が公開されている。
ただ,この写真を見ても分かるように,少なくとも日本国内では,仮に発売されても「ちょっと買ってみる」わけにはいきそうにない雰囲気。super projectorは言わずもがなで,個人向け製品のデモというよりは,アーケードなどへの展開を考える開発者向けのデモと捉えるのが正しそうである。 もっともHPはリリースのなかで「ゲーマーは新しいものを積極的に受け入れる,パフォーマンス志向の人々だ」(Gamers are early adopters and high-performance enthusiasts)と言い切っているので,北米ではこういった製品を平気で購入してしまうようなユーザーがいるのかもしれないが。
ちなみにHPは,リリースを読む限り,Voodoo PCでゲーマー向け市場に打って出るのを最終目的にしているのではなく,開発環境やインフラ周りなど,ゲーム産業全般への積極的な関与を目指しているようだ。その意味では,HPの動きを注意深く追っていると――PC用かどうかまでは分からないが――次世代ゲームの方向性が少なからず見えてくる可能性はある。ゲーム関連のテクノロジーに興味のある人は,しばらく追いかけてみると面白いだろう。(佐々山薫郁)
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