FFXI内に競走馬育成シミュレーションが導入? 「チョコボレース」をプレイしてみた
3月29日に行われた「ファイナルファンタジーXI」(以下,FFXI)のアップデートで,「チョコボレース」が実装された。これは,自分が育てたチョコボをレースで競わせるという,FFXIにおいては新しいタイプのコンテンツである。2006年8月に導入された“チョコボ育成”と合わせて考えると,レースゲームというよりは“競走馬育成シミュレーションゲーム”といった感じで,プレイヤーの操作テクニックに関係なく(というかレース中は操作できない),誰にでも勝てるチャンスがあるのが大きな特徴だ。 チョコボレースは,これから2007年内いっぱいにかけて段階的に拡張されていく予定だが,ここでは現時点で判明しているシステムなどを紹介していこう。
■チョコボレース全体の流れ
チョコボレースに参加するには,まず,チョコボを“卵”の状態から,キャラクターが騎乗できる“成鳥”の段階にまで育てる必要がある(現実時間でおよそ1か月を要する)。この“チョコボ育成”のパートは,先述したように2006年8月に導入されたものなので,ここでは詳しくは述べない。詳細を知りたいという人は,公式サイトの「こちら」を参照してほしい。
チョコボレースには,サンドリア,バストゥーク,ウィンダスのVCS(Vana'diel Chocobo Society)支部がそれぞれレーシングチームを結成し,お互いに競っているというバックグラウンドストーリーがある。まずは3国いずれかのVCS支部へ赴き,マイチョコボをチームに登録しよう。 この国別対抗という要素は“コンクェスト”に通じるものがあるが,現時点では3国のチーム間に大きな違いはない。また後から登録国を変更することも可能なので,あまり深く考えずに決めてしまってよいだろう。移動時の便利さを考えると,キャラクターの所属国のVCS支部に登録するのがいいかもしれない。
現在実装されているレースは,「プライベートレース」と「オフィシャルレース」の2種類。プライベートレースは,登録料のギルを支払えば何度でも参加が可能である。プライベートレースで良い成績を収めると“チョココイン”を獲得でき,これを用いて「オフィシャルレース」に参加する,という流れだ。 ちなみにチョココインは,オフィシャルレースの参加費用としてだけでなく,チョコボにまつわるさまざまな特典を得るためにも利用できる。例えば,チョコボの能力値をアップさせたり,羽の色を一定期間任意に染めたりできるのだ。
左:チョコボの育成方法によって,持久力や感受性などのさまざまなステータスが変化する。それがレース時に大きな影響を与えるのだ 中央:キャラクターが騎乗できる状態にまで育てれば,引退させたチョコボでもレースに参加できる。VCSに長期間預けっぱなしの人でも安心 右:3月8日の大規模アップデート時に,3国のチョコボ厩舎の隣にゲートが設置された。この場所にチョコボレースの担当NPCがいる
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チョコボレースの本編は,先述したように(チョコボ育成パートと合わせて)“競走馬育成シミュレーションゲーム”に近いものとなっており,レース中は自動で進行する。とはいえ,ジョッキーに対して事前にいくつかの指示を与えることで,間接的にレースにかかわれるようにもなっている。 ジョッキーに与えられる指示は,“ペース配分”と“レース中に使用させるアイテム”の2項目。ペース配分は“がんがんいけ”(競馬用語でいうところの「先行」),“一定ペースだ”(好位),“さいごにとばせ”(差し)の3種類。一方の使用アイテムは,マイチョコボのブースト,ライバルの妨害,レース中の天候を任意に変える,などといったものが13種類用意されている。
以上の指示を終えたらいよいよレース開始だ。約3分間のレース中は,プレイヤーはマイチョコボの勇姿を見守り,試合展開に一喜一憂することになる。このあたりは,先日公開されたムービーを見ても分かるように,“レース”とはいっても,実にのどかな雰囲気だ。
上段左:レース結果に最も大きな影響を与えるのはチョコボの能力値。優れたチョコボを育成するには多くのノウハウを要する 上段中央:ライバルチョコボの能力値をパドックで確認しよう。ちなみにチョコボの能力値は,あいまいな形で表現されている 上段右:他人との接点が少ないチョコボレースではあるが,携帯させるアイテムは合成で作成できるため,競売やバザーを通じたやりとりが生じる 下段左:レース中はこのような実況が随時行われる。NPCのセリフが画一的なので,もっとバリエーションが増えてくれると嬉しい 下段中央:いよいよチョコボレースが開始。自動的に進行するため,ここまで来たら後はもう勝利を祈るしかない 下段右:“スピードアップル”を使用した瞬間。画面右上にいるチョコボの足元から,土煙が巻き起こっているのが分かるだろうか
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実は3国のどの場所でレースを行っても,実況NPCや観客,そして使用コースは同じである。世界観を重視しているFFXIなだけに珍しいといえるが,もしかすると,何か別の理由があるのかもしれない
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■育成期間の長さと平坦なレース展開がネック
さてこのチョコボレースは,“チョコボ育成”からつながる形で用意されたコンテンツである。これまでに長期的な展望をもってチョコボ育成にいそしんできた人にとっては,いよいよその真価を発揮させるときが来たわけだ。そんなプレイヤー達にとって,チョコボレースは挑戦しがいのあるコンテンツになっているのだろうか。
前述のように,育成に時間的制約があるため,筆者もまだ数十レースしか試せていない。その段階での評価をするのは本意ではないので避けるが,現段階では「これなら膨大な時間をかけてもよい」と思えるコンテンツにはなっていないというのが,偽らざる感想だ。 そもそも筆者が勝手に勘違いしていたのだが,実際にチョコボに乗って操作できなかったのは残念である。FFXIにおけるこれまでの“乗って移動する”チョコボや,「ファイナルファンタジーVII」のチョコボレースのイメージが強すぎたのだろうか。しかし,仮に騎手が自分であったらどれほど楽しいことか!
しかしそれも,チョコボレースを“競走馬育成シミュレーション”だと考えればなんら問題はない。MMORPGの中で育成シム(いやそもそもMMORPG自体が育成シムか?)が遊べるのであれば,ユーザーにとって歓迎こそあれ困ることは何もない。「リネージュII」にも競馬っぽいコンテンツは導入されているが,あちらは言うならばただの競馬。しかしこちらは育成シム付きなのだ。
しかし現実はそこまで甘くなさそうだ。競走馬育成シムにしては介入できる要素が少なすぎるし,レース中に出せる指示も,アイテムによる作戦も,目に見える形で結果に大きく貢献できるとはちょっと考えづらい。そもそも筆者のチョコボのスペックが悪いのかもしれないが,何度やっても5位か6位である。真剣にがんばってみたのだが,どうあがいても5位か6位にしかなれない。これではあまりにも悔しいので,新たなチョコボを育成しようと奮起しても,次の投入までには約1か月を要するという状態だ。 順位はともかくとしても,あまりにも平坦なレース展開はちょっと寂しいし,もうちょっとランダム性があってもいいのではなかろうかと思う。この分だと,1位を獲得できるチョコボを育てられたとしたら,何度やっても1位か2位にしかならないのではないだろうかと危惧してしまう。また実況/観客NPCの行動パターンもちょっと数が少なく(3国のレースで同じというのはいかがなものか?),最初こそ物珍しいもののすぐにお腹いっぱいになってしまう。そういったことを何度か体験したうえで「よし,1か月後に強いチョコボを作る!」と前向きになれるのかどうか,非常に微妙であると言わざるを得ない。
左:誰もが思わずチョコボ育成を始めたくなるような,チョコボレースならではの魅力的な報酬品の実装を希望したい 中央:NPCの前に大勢のキャラクターが立っているものの,それぞれが別々にレースゲームを行っているのは,客観的に見れば不思議な光景かも 右:チョコボレースは当初は2006年の秋に実装を予定していたが,大幅に延期され,この3月29日にようやくのお目見えとなった
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■今のFFXIの流れに沿った,ソロプレイ向けのコンテンツ
だがその一方で,「ランダム性がない」というのは正しい判断なのかもしれない。手塩にかけて育てた強いチョコボが「よく分からないけどたまたま連敗中」とかいう状態になってしまっても,それはそれでコンテンツとしては微妙な気もする。完全にこれを“育成シム”として把握するのであれば,毎回同じ結果というのはむしろ正しい結果なのではなかろうか。 そしてなにより最大のメリットは,(現状では)完璧にソロプレイ向けのコンテンツとして完成しているということだ。例えば3月8日の大規模アップデートを見ても,アサルトの拡張やシグネットの強化など,昨今のFFXIはソロ〜少人数でのプレイが行いやすくなっている傾向がある。そう考えると,チョコボレースも昨今のFFXIの流れに沿ったコンテンツ,という見方もできるだろう。今でこそソロ仕様のコンテンツではあるが,今後は「対人練習レース」の導入も予定されており,そこでさらにオンラインゲームとしての“生きた”コンテンツになっていくものと期待できる。
現状ではちょっと難ありのコンテンツと感じるかもしれないが,なかなか意欲的な試みだ。合成や栽培などソロプレイでの活動が多い人であれば,ぜひ一度話の種に試してみてほしい。 レース投入まで約1か月の育成期間を要する(ここはもう少し短くしてほしい……)本コンテンツ,最終的な判断を下すのは,何度かチョコボを育成してみてからでも決して遅くはないだろう。(川崎政一郎)
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ファイナルファンタジーXI |
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(C) 2002-2006 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. Title Design by Yoshitaka Amano |
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ファイナルファンタジーXI アトルガンの秘宝 |
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