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バグ修正の進んだRadeon用ドライバ「Catalyst 7.3」が公開される
2007/03/29 12:31
 AMDは,同社製GPU(グラフィックスチップ)「ATI Radeon」およびATI Radeonのグラフィックスコアを内蔵したチップセット用のグラフィックスドライバ,「ATI Catalyst」の最新版「ATI Catalyst 7.3」(以下Catalyst 7.3)を公開した。4Gamerの最新ドライバページではリンクを更新してあるので,すぐに入手したい人はそちらからどうぞ。

 2007年3月版のドライバスイートとなるCatalyst 7.3では,「Windows Vista」対応ドライバの懸案事項だった「OpenGLアプリケーションでCrossFireが有効にならない」という制限が取り払われたのがトピックだ。また,Catalyst 7.3では,CrossFire環境だと標準でAFR(Alternate Frame Rendering)が有効になるため,AFRが有効なタイトルでの設定が不要になるほか,CrossFireの動作プロファイルにないタイトルでも,パフォーマンスの向上を期待できる――AMDは英語版リリースノートのなかでそのように主張する。

 さてこのほかCatalyst 7.3では,パフォーマンスの向上やバグフィクスが多岐にわたって行われている。その数が非常に多いため,すべてを紹介するのは不可能だが,問題に関しては,ゲーム固有のものや,ゲーマーにとっても明らかに重要といえるポイントに絞って,以下のとおりまとめてみた。同時に,未解決の問題に関してはその下にまとめてある。

●Catalyst 7.3によるパフォーマンスの向上(Windows XP/Vista)
  • 「ATI Radeon X1000」シリーズのCrossFire環境で「Dark Messiah Might and Magic」のフレームレートが12.5%以上向上。ハイエンドクラスのグラフィックスカードによるCrossFire環境では,60%以上も期待できる
●Catalyst 7.3で解決した主な問題(Windows XP)
  • ドライバのアンインストールが不完全で,いくつかのファイルが残ってしまったり,フォルダが消去されなかったりする問題
  • 「.NET Framework 2.0」を導入した(日本語版など)英語以外のバージョンのWindows XP環境において,「Catalyst Control Center」が起動しないことがある問題
  • Catalyst Control Ceterがすでにインストールされている環境で,新版のそれをインストールしようとすると,失敗する問題
  • Catalyst Control Centerからプライマリディスプレイとセカンダリディスプレイを入れ替えると,ディスプレイ解像度を変更できなくなる問題
●Catalyst 7.3で解決した主な問題(32/64bit版Windows Vista)
  • 「ATI Radeon X800/X850」シリーズを搭載した64bit版Windows Vista環境で,アンチエイリアシング設定を4xに指定すると,「3DMark06」の実行中にエラーメッセージが表示される問題
  • ATI Radeon X800/X850シリーズを搭載した環境で,アンチエイリアシング設定を2xもしくは4xに設定すると,「Call of Duty」をプレイしたときに画面表示がおかしくなる問題
  • ディスプレイ解像度を2048×1536ドットに指定して「Call of Duty: United Offensive」をプレイすると,画面表示がおかしくなる問題
  • ディスプレイ解像度を2048×1600ドットに指定すると「City of Heroes」を実行できない問題
  • 「ATI Radeon X550/X700」搭載環境で「DOOM 3」を実行すると,OSがハングアップする問題
  • アンチエイリアシング設定を2x以上に設定すると,「NBA Live 07」でアニメーションが表示されない問題
  • ディスプレイを90度回転させたローテートモードにおいて「Neverwinter Nights」をプレイすると,画面表示がおかしくなる問題
  • 液晶ディスプレイを接続した64bit版Windows Vista環境で「Neverwinter Nights: Shadows of Undrentide」をプレイすると,オープニングムービー終了後にゲームが停止することのある問題
●Catalyst 7.3で未解決の主な問題(Windows XP)
  • 「Call of Duty」のプレイ中にゲームとWindowsデスクトップを切り替えるとエラーメッセージが表示されることがある。これは,Windows Vista環境でも発生する可能性がある
  • 「Star Wars Knights of the Old Republic II: The Sith Lords」をプレイするときに,ゲーム内の描画設定を低くすると画面表示がおかしくなる
  • Catalyst Control CenterのATI OverDrive設定が,個人アカウント(※編注:原文は「individual account」。管理者権限以外のアカウントのことではないかと思われるが詳細は不明)になっていると保持されない。これはWindows Vista環境でも生じる可能性がある
  • 「ATI Radeon X1900」のCrossFire環境で,PCを再起動するごとにアンチエイリアシング設定が初期化される。これはWindows Vista環境でも生じる可能性がある
●Catalyst 7.3で未解決の主な問題(32/64bit版Windows Vista)
  • アンチエイリアシング設定を4xにして,ゲーム側の設定から「Video Quality」を「Medium」,ディスプレイ解像度を1024×768ドットに設定すると,「DOOM 3」と「Quake 4」で画面表示がおかしくなる
  • 「Homeworld 2」のゲーム内オプションをデフォルトに変更してゲームをプレイすると,画面表示がおかしくなる
  • 「IL-2 Sturmovik: Forgotten Battles」のゲーム内オプションから「landscape detail」設定を「perfect」(※編注:2か所の括弧内,原文ママ)に変更すると,水のテクスチャの表示がおかしくなる
  • ATI Radeon X800シリーズ搭載環境でNeverwinter Nights: Shadows of Undrentideを実行すると,オープニングムービー終了後にゲームが停止することがある
  • 「NHL 07」のゲーム内オプション設定を適用できないことがある

  • 「ATI Radeon 9800 XT」搭載環境でQuake 4を実行すると,画面表示がおかしくなる
  • Catalyst Control Centerからアンチエイリアシング設定を2x以上に変更し,Quake 4もしくは「Serious Sam」をプレイしているときに,背後でCatalyst Control Centerの3Dプレビューが表示されていると,OSが反応しなくなる
  • ATI Radeon X1900シリーズ搭載環境で「X-Plane」(※編注:バージョン不明)を実行すると,画面表示がおかしくなる
  • OpenGLアプリケーションの実行時に,ATI OverDriveが機能しない
  • S3ステートからの復帰に,かなりの時間を要する
 全体として,Windows Vista環境でのバグフィックスが順調に進んでいる印象だ。また,ゲームにおける問題解決がこれといってリストアップされていないWindows XP版も,「ATI Catalyst 7.2」で導入された新型のCatalyst Control Centerにおける問題の多くが修正されており,導入する価値は十分にある(とくに,Catalyst 7.2の導入後,Catalyst Control Centerがうまく起動しないトラブルに見舞われた人は要チェックだ)。

 いつものように,ドライバのアップデート作業は自己責任となるので,この点は注意が必要であるものの,ATI RadeonやATI Radeon Xpress,あるいはAMD 690Gのユーザーなら,導入しておいて損はないだろう。(佐々山薫郁)


ATI Catalyst
■開発元:AMD(旧ATI Technologies)
■発売元:AMD(旧ATI Technologies)
■発売日:-
■価格:無料
→公式サイトは「こちら」

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/news/history/2007.03/20070329123155detail.html