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FFXIに初の自動生成タイプのダンジョンが登場! 「ナイズル島調査指令」プレイレポート
2007/03/23 23:59
 3月8日に行われた,MMORPG「ファイナルファンタジーXI」(以下,FFXI)の大規模アップデートにおいて,プライベートエリア用コンテンツ「アサルト」の6番目の舞台となる“ナイズル島”が開放された。同時に,ナイズル島で行われるアサルト作戦の第一弾として“ナイズル島調査指令”が実装されている。

 アサルトとはご存じのとおり,思い立ったときに気軽に挑戦でき,30分弱という短時間でほぼ確実に成果を得られることから,FFXI内では相当な人気を誇るコンテンツである。しかしながら,実際のナイズル島の仕様は,従来のアサルトの法則とは大きく外れており,プレイヤーの中には戸惑っている人もいると思われる。そこでこの記事では,この新たなアサルトで現時点で判明しているシステムや魅力などを,できるだけ分かりやすくお伝えしていこう。


■ランダムで生成された「ブロック」を奥へ奥へと突き進む

“ナイズル島調査指令”は,ナイズル島を舞台にした初のアサルト作戦。従来のアサルトとはかなり違ったシステムだ
 ナイズル島のアサルト作戦は,「アルザダール海底遺跡群」のエリアで行われる。2006年12月に実装された“サルベージ”と同じ場所,と言えば分かりやすいだろうか。ナイズル島は一応,世界観的にはアサルトの一部ということになっているものの,ゲームシステム面は独創的なアイデアをいくつか取り入れている。とりあえず基本的な面からチェックしていこう。

 ナイズル島における最大の特徴は,挑戦するたびに地形構造が毎回変わることだ。“礼拝堂”や“ソ・ジヤ”といったエリアの一部で,小規模のランダムマップ(のような)システムがあるものの,エリア単位でこういったシステムを取り入れているものはなかった。このような本格的な自動生成タイプのダンジョンは,FFXIにおいて初めてであるだけでなく,MMORPG全般を見渡してもかなり珍しい,革新的なシステムだ。

 さらに,ナイズル島のエリア内部は,複数の“ブロック”と呼ばれる単位で隔てられており,それぞれにクリア目標が定められている。それらの目標をこなしながら,より奥のブロックへと突き進んでいく,というのがこのアサルトにおける基本的な展開だ。
 最終的なブロック数については,現時点では不明である。もしかすると100や200といった数に達するのかもしれないが,アサルトのプレイには30分の時間制限があることから,一度の探索でこれらの全ブロックを踏破するのは不可能。そこで,5ブロック進むたびに侵攻状況をショートカット登録でき,次回以降はその続きからプレイできる仕組みになっているのだ。実際にはこのあたりのシステムはもっと複雑になっているので,後で詳しく説明しよう。

 続いて報酬面についてだが,ナイズル島では,従来のアサルトにおける“作戦戦績”は得られない。その代わりアサルトから無事に脱出すると,その戦果に応じて“トークン”と呼ばれるポイントを獲得できる(トークンの用途については後述)。このトークンと,ブロックの侵攻中に得られる戦利品が主な報酬というわけだ。
 戦利品に関連するシステムとしては,モンスターを倒すと,サルベージと似たような形で,その場所に宝箱がポップする。しかも,ブロックの侵攻中にはノートリアスモンスター(NM)と頻繁に遭遇し,かなりの確率で未鑑定アイテムを獲得できるようになっているのだ。

 それ以外の,依頼を受けてから実際に冒険を行うまでの流れなどは,従来のアサルトとほぼ同一のシステムである。ただし,キャラクターのレベル制限は“無制限”で固定されており,また傭兵階級による制限もない。レベルが高いほうが攻略しやすいため,プレイヤーにとってのハードルの高さという意味では,アサルトよりもサルベージにやや近いといえるだろう。

上段左:ナイズル島の地形は毎回ランダムで生成される。それによって毎回新鮮なプレイフィールを保てるだろう 上段中央:舞台となるエリアの“アルザダール海底遺跡群”は,サルベージ(関連記事)と同一。そのため景観面も近いものとなっている 上段右:ブロック間の移動には,このような“伝送の幻灯”を用いる。最終的なブロック数はどれほどなのだろうか 下段左:宝箱の出現率は高く,中にはテンポラリアイテムや,未鑑定アイテムが入っている。とり忘れのないように注意 下段中央:“アトルガン白門”のエリアに,ナイズル島の担当NPCがいる。複雑なシステムなので説明をしっかり聞いておこう 下段右:ナイズル島への交通の便は極めて良い。“ナイズル島監視哨”の開通は簡単に行えるので,事前に済ませておこう


■“ナイズル島調査指令”に挑戦してみた

エントランスでは,全員が“伝送の幻灯”に触れる必要はない。このメニュー画面が出ている間は,ほかの人は操作ができないので注意
 続いて,この場所で繰り広げられる新しいアサルト“ナイズル島調査指令”のプレイの感触を,大まかにお伝えしていこう。

 実際にアサルトを開始すると,最初はエントランスに相当する場所へと降り立つ。目の前には“伝送の幻灯”(Rune of Transfer)というオブジェクトが据えられており,これを操作して,どのブロックから侵攻するのかを選べる仕組みになっているのだ。もっとも,初期段階ではショートカットの登録を行っていないため,必然的に1ブロック目からの開始となる。ちなみに,ここで伝送の幻灯に全員が触れる必要はないので注意しよう。

 ブロックの行き先を指定したら,いよいよスタートだ。各ブロックのスタート地点には,エントランスと同様の“伝送の幻灯”があり,そこには「敵の殲滅」「特定モンスターの駆逐」「ランプの点灯」などといった“戦術目標”が記されている。この目標を達成すべくブロック内を突き進んでいくわけだ。

 序盤のブロックに出現するザコ敵の強さは,レベル75のキャラクターから見て“ちょうど”程度。ただしNMの出現頻度が高く,1ブロックあたり3〜4体以上が配置されていることも珍しくない。しかも,ミンダルシア大陸に登場した数多くのNMと,ここで“再会”できるというのがユニークだ。実際に,筆者はこれまで15種類前後のNMを確認できたが,そのたびにドロップアイテムの価値の高さを思い出し,胸が高鳴ってしまった。この立て続けに訪れるワクワク感は,ナイズル島ならではの大きな醍醐味の一つといえるだろう。

 ダンジョンの構造がランダムで生成されていることから,実際のプレイ感覚は思った以上に手探りの度合いが強い。例えば,エリアマップの表示や“広域マップ”アビリティといった,普段の冒険では当たり前の行動ができず,気を抜くとすぐに迷ってしまうのだ。また,迷路状になっている場所では,角を曲がったらいきなりモンスターと鉢合わせ,といったこともある。
 しかしアサルトの滞在時間は30分と限られていることから,慎重かつ迅速に進まねばならない。パーティ全体の動きを指揮するメンバーをあらかじめ決めておくとよいだろう。

左:新しいブロックに移動したら,すかさず目標をチェックしよう。キーボード操作の人は,F8キーが便利だ 中央:目標を目指してブロック内を突き進んでいく。NMが紛れている可能性が高いので,強さを確認するクセをつけよう 右:パーティの先導役の的確な指示は何よりも重要。マップ表示は使えないが,画面左下のコンパスをうまく活用しよう


無事に作戦目標をクリア。広いブロックでは時間短縮のため,一名を早めに“伝送の幻灯”まで戻らせるテクニックもある
 一ブロックにおける実際の所要時間は,戦術目標の種類とランダムマップの構造によってだいぶ幅がある。運が良ければ,最初に立ち入った部屋にいるNMを倒しただけで目標を達成し,その場合は2〜3分で次のブロックへと進める。しかしその一方で,戦術目標を見ただけで頭を抱えてしまうようなケースもある。
 それらの中で,現在最もプレイヤーに恐れられているのは,「ブロック内に複数配置されたランプを正しい順で点灯せよ」という戦術目標である。これは「失敗すると最初からやり直し」「ランプの名前が全部同じ」などの理由で極めてややこしく,クリアするまで15〜20分はかかることを覚悟しなければならない。

 このような苦労の末に作戦目標を達成して“伝送の幻灯”へ戻ると,「次のブロックへ移動」または「アサルトからの帰還」のいずれかを選択できる。基本的にはこれの繰り返しで,時間が許す限り奥のブロックへと進みたいところだが,実はここで帰還を選んでもメリットがある。任意での帰還を行うと,踏破したブロック数に応じた“トークン”を,メンバー全員が得られるのだ。
 ただし,時間切れで強制退出された場合は,トークンは一切もらえない。着実にトークンを稼ぐか,あるいは奥のブロックで一体でも多くのNMを倒すか,判断が悩ましいところだ。

 また,一度のアサルト侵攻で5ブロック分を踏破すると,次回から使えるショートカットの登録を行える。ただし,ショートカット登録を行えるのは「アサルト開始時にブロックの行先を指定したメンバー」の1名のみで,またショートカットの使用時は,ブロック数に応じたトークンが別途必要となる。この部分の仕組みが難解で,しかもゲーム内で簡潔に説明されていないため気をつけてほしい。

 例えば,15ブロックまでのショートカット登録を行っているメンバーがいたとしよう。そのメンバーがトークンを持ってさえいれば,パーティを編成したほかの5名を,いきなり15ブロック目からの冒険に動向させることが可能だ。その際に,5名のメンバーはトークンを持っている必要はないのである。

左:ギアのようなモンスターを倒すと,制限時間などにペナルティを受けてしまう。サルベージにおけるパトス効果もあるようだ 中央:戦術目標によってはモンスターの殲滅は必須ではない。プリズムパウダーなどの薬品類も準備しておくとよいだろう 右:さらに奥のブロックを目指すか,それとも確実にトークンを獲得するか。ブロックの難度にばらつきがあるため難しい判断だ


■従来のものとは違う,「特別なアサルト」との認識が必要

ナイズル島では,これまでに見たこともないようなNMに驚かされることが多い。ドロップアイテムなどの全貌が明らかになるのはまだ先のことだろう
 ここまで読んでもらえればなんとなくイメージしてもらえるかもしれないが,このたび実装されたナイズル島は,想像以上にハードルの高いコンテンツである。サービス開始から5年目を迎えるMMORPGであるため,コアプレイヤー向けのコンテンツが追加されることは歓迎すべきだ。ただ,それが“アサルト”と冠されていることに対し,戸惑っているプレイヤーもいるように思える。

 そういったプレイヤーはおそらく,従来のアサルトと同様に,“レベル50以上の冒険者なら手軽に挑戦でき”“そこそこの緊張感があり”そして“着実に報酬品に近づく手応えを得られる”コンテンツという期待感を持って挑んでいるのだろう。しかし,公式サイトの「こちら」「ナイズル島における作戦は,アサルトの中でも特別な扱い」と記されているように,これまでのものとは違うコンテンツ,だという認識が正しいようだ。

 もっとはっきり言うと,ナイズル島のアサルトは難度が極めて高いのである。具体的には,まず,エリアに滞在できる時間がどうにも短い。理想パターンとしては,一度の探索でブロックのショートカットを更新したいところだが,そのためには1ブロックあたり平均5〜6分でクリアする必要がある。これは実際に挑戦した人ならば分かるように,かなり急かされるプレイとなる。ランダム生成されるマップの広さや,作戦目標に何がくるかという“運”の要素に大きく左右されてしまうのだ。

さすがに,“戦術目標:ランプの点灯”だけは改善を希望したい。3DタイプのMMORPGでは少々酷なシステムである
 ちなみに筆者は,この原稿のために30回弱の“ナイズル島調査指令”を一般公募で主催しているものの,恥ずかしながら一度たりとも5ブロック分を踏破できていない。運が良くても,どうしても3〜4ブロックが終わるくらいで時間切れとなってしまうのだ。これは体感的には,かつてのプロマシアミッションにおける,実装直後の“プロミヴォン”や“応龍戦”を彷彿とさせる難度である。

 そのほかにも現時点におけるナイズル島のアサルトは,目標となる報酬品が明示されていない,トークンを消費するのが主催者のみ&(ショートカット登録を行わない限りは)ほかのメンバーにとって用途がない,というのは,従来のアサルトと比べてやや寂しい気がする。

 むろん,ナイズル島ならではの魅力も多くあり,今後のアップデート内容によっては化ける可能性も十分ある。例えば,多くのNMと戦えるワクワク感や,マップが自動生成されるためルーチンワークになりにくい点は,従来のアサルトに勝っている。また,“作戦戦績”を得られないアサルトが導入されたことで,戦績交換品の取引価格の下落にある程度歯止めをかけられるのも,長い目で見れば大きな効果があるだろう。
 それに,例えばプロマシアミッションは,実装直後から現在までの間にゲームバランスはがらりと変化している。実装されたばかりの「ナイズル島調査指令」も同様に,より多くの人が挑戦しやすいよう,今後調整されていくことに期待したい。

 最後に,忘れてはならない点がもう一つある。ナイズル島に関しては,ここを舞台としたまったく別のアサルト作戦が,今後実装されることが期待できる。例えばFFXI版の「不思議なダンジョン」や,「Diablo」シリーズのダンジョンのようなものを求める人は結構多いのではないだろうか? 果たして「自動生成型ダンジョン」という素材で,いったいどのようなコンテンツを今後産み出していくのか,同社の手腕に引き続き注目していきたい。(川崎政一郎)

アサルトに挑戦するためのチケットは,約1日に1枚しか得られない。したがって,コアプレイヤーは“ナイズル島調査指令”または“サルベージ”,そしてライトプレイヤーは従来のアサルトを主にプレイ,という住み分けになるのではないだろうか

ファイナルファンタジーXI
■開発元:スクウェア・エニックス
■発売元:スクウェア・エニックス
■発売日:2002/11/07
■価格:オープン
→公式サイトは「こちら」
ファイナルファンタジーXI アトルガンの秘宝
■開発元:N/A
■発売元:スクウェア・エニックス
■発売日:2006/04/20
■価格:オープンプライス
→公式サイトは「こちら」

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/news/history/2007.03/20070324000242detail.html