CeBIT 2007で公開のゲーマー向けマウス&キーボードあれこれ
なんの説明もなくただ展示されていたThermaltake製キーボード(キーパッド)「Fare Board」
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ドイツで2007年3月15日から21日まで開催されたIT関連展示会「CeBIT 2007 Hannover」では,さまざまなPC用周辺機器が展示されており,そのなかには,ゲーマー向けと位置づけられていたキーボードやマウスも多くあった。
今回は日本で発売されそうな製品について,各ブースの担当者からいろいろと情報を聞き出してきたので,ここにまとめて紹介してみたい。
■デュアルレーザー&ウエイト採用のマウス ■&独自機能搭載のキーボードを公開したA4Tech
3連射ボタン「3XFire」でゲーマー向けマウス市場を席巻したA4Techは,マウスとキーボードの新製品をCeBITで公開した。
2個のレーザーセンサーを装備し,より精度の高い制御を可能にすると謳われる新モデル
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ゲーマー向けマウス「X7」シリーズの新製品としては,センサー部に二つのレーザーを装備し,マウスの認識精度を高めたという“デュアルレーザーセンサー”,Philipsの「Twin-eye laser」技術を搭載したものが用意されていた。同技術は,マウスの移動方向によって生じる両レーザー間の読み取り信号の差(ドップラー効果)を利用して,より自然で高速なマウス制御を実現するというもの。その読み取り精度=解像度は最高3600dpiに達する。
A4TechはこのTwin-eye laser技術を採用したマウス4製品をCeBITで発表したが,このうち最上位モデルとなる「X-770FP」と中位モデルの「X-755FP」は,ショーケースに収められる形で一般にも公開された。 解像度は(もちろん)最高3600dpiで,スクロールホイール手前に用意された切り替えボタンにより,多段階の切り替えが可能。マウス内にフラッシュメモリを内蔵し,X-770FPは13種類,X-755FPは11種類の操作をプログラマブルボタンに割り当てられるという。 また,上位モデルのX-770FPは,マウス裏に重りを装着できるスペースが設けられ,ユーザーの好みに応じた重さに調整できるとのこと。一方,X-755FPには,マウス左側面に親指で5方向操作が可能なサム・ボタンが装備される。
左:X-770FP。本体底面にウェイトを装備することで,操作しやすい重さに調整可能という。3XFireボタンが左メインボタンの“外”へ移動した点にも注目したい
右:X-755FPには,左脇に親指で5方向の操作を可能にするサム・ボタンが用意されている。3XFireはやはり外側だ
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同社はさらに,これらに小型のファンを内蔵し,手のひらを乾燥させるタイプのマウスも投入予定とのことで,最近のトレンドを片っ端から採用している印象だ。投入時期,価格は未定だが,2007年中頃には市場投入される見通しとなっている。
X7 G700。[W/A/S/D]キーとカーソルキーはキートップがゴムになり,滑りにくくなっている
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一方,キーボードシリーズとしての「X7」は,“3倍早いレスポンス”をコンセプトに,ゲームに特化したハードウェア作りがなされている。スタンダードモデルとなる「X7 G600」,4個のプログラマブルキーとアームレストを装備した「X7 G700」,そして,15個のプログラマブルキーと,テンキーの右側に7個のいわゆるマルチメディアボタンを配した「X7 G800」の3ラインナップ構成だ。
最大の特徴は,キーの応答速度をスイッチで4段階に切り替えられる「4-Speed Shift」と,方向制御キーを,ハードウェアで[W/A/S/D]キーとカーソルキーの間で切り替えられる「Quick Direction Keys Shift」をサポートすること。さらに,キートップをやや小振りにすることで,キーピッチを広めに取り,複数キーの同時押しを必要とする操作でも,キーの押し間違いが減らせるような工夫も盛り込まれている。 また,防水機能が備わっているのも特徴で,うっかりコーヒーやジュース類をこぼしても問題ないとして,会場では水槽にキーボードを浮かべるデモも行われた。独自仕様というわけではないが,X7 G700/G800にはUSBハブ機能とマイク/ヘッドフォン端子も用意されており,ヘッドセットなどをキーボードに接続して利用できるのも,X7のウリの一つだ。
キーボードそのものは,メンブレンタイプを採用しているようで,キーストロークは浅めだった。
左:X7 G600を水槽の中に置いたデモ。キー同士の間隔をやや広めに取ることで,ほかのキーとの干渉を防ぎ,武器の切り替えなども素早くこなせるようになっている点にも注目したい
右:X7 G800。写真右奥に並んだ7個のボタンがマルチメディアボタンだ。15個のプログラマブルキーのうち,一部はキーボードを囲むように配置される
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■年内の国内市場参入を狙う ■「Revoltec」ブランドのマウス&キーボード
FightMouse Advanced RE061
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日本国内だと「be quiet!」ブランドの電源で知られる独Listan Groupは,「Revoltec」ブランドの新製品として,マウスやキーボードを出展した。
「FightMouse Advanced RE061」と名付けられたマウスは,レーザーセンサーを搭載するワイヤードタイプの右手用モデル。スクロールホイール手前のボタンを押すことで,解像度設定を400/800/1600/2000dpiのなかから選択できるほか,ちょうど手のひらを置くことになる部分には,10/15/20gのウエイトを格納して重量調整可能,左側面のボタン×2とスクロールホイールのボタンはプログラマブルであるなど,総じてイマドキの仕様を網羅した仕様といえるだろう。 マウスは欧米仕様でかなり大きめだが,同社スタッフによると,アジア市場向けに,一回り小さなモデルも開発中とのことだった。
表面はステンレスコーティングされているが,これは汗をかきにくいようにという配慮とのこと。解像度設定は,スクロールホイールに隣接したボタンのLEDの色で判別できるようになっている。ちなみに右の写真は底面を撮影したものだ
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FightPad Advanced RE069(左)。右はFightMouse Advanced RE061
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一方,「FightPad Advanced RE069」は,FPSやRTSなどでよく利用されるキーと,20個のプログラマブルマクロキーの合計37キー構成のキーボード(キーパッド)だ。いわゆる片手用キーボードである。また,[W/A/S/D]キーと[Q][E][R]キーの色をブルーグレーに変更できるほか,フルキーボードを囲む形で上と左右に11個のプログラマブルマクロキーを配した「FightBoard Advanced RE057」もラインナップしていた。
be quiet!ブランドの電源ユニットは九十九電機が国内で取り扱っているが,Revoltecに関しては「交渉中」(Listan Group)。2007年内の日本市場参入を予定しているという。
左はFightPad Advanced RE069のキー部分を拡大したもの。中央と右はFightBoard Advanced RE057だ。後者に関して,日本語キーボード登場の可能性は未定とされている
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■GIGABYTEのゲーマー向けキーボード「GK-K8000」 ■「Silent-Pipe」の新型は次世代GPU用に
「GK-K8000」のエンジニアリングサンプル
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GIGABYTEブランドは,ゲーマー向けを謳うキーボード「GK-K8000」のエンジニアリングサンプルをブースで展示した。 GK-K8000は,米Cherry製のメカニカルキーボードスイッチ「Cherry MX」を採用。Cherry製スイッチは,キーの押し上げ圧の違いによって,黒,白,青などの種類があるが,最も押し上げ圧が強いうえ,キーストロークに応じて押し上げ圧が上がっていく,いわゆる“黒軸”が用いられている。 GIGABYTEによれば,GK-K8000はこのスイッチにより,6000万回のキーストロークライフサイクルを実現したとのこと。「ゲーム中に激しくキーを叩いても,びくともしない耐久性を実現する」と,キーボードやマウス,グラフィックスカードのマーケティングを担当するEddie Lin(エディ・リン)氏は説明する。ゲーム用キーボードということで,ホットキーの色を変更できるよう,オプションのキートップを同梱する計画も持っているそうだ。 価格や発売時期はまだ決定していないが,同社は日本市場への投入も検討中。Lin氏によれば,同社は(欧米を中心に展開している)ゲーマー向けマウスについて,第2弾の開発も進めており,こちらは2007年6月に開催される「COMPUTEX TAIPEI 2007」で公開,2007年後半の市場投入を目指すという。
左,中央:GK-K8000のキーボード表面はアルミのヘアライン仕上げ。キーの色を交換できるよう,“替え”をオプションで同梱することも検討されているという。なお,展示されていたのは開発途上版なので,デザインは変更される可能性アリ
右:ゲーム用マウスの現行品。これでは日本人の手には大き過ぎるため,新モデルでは小型化と重量バランスの配分などを追求していくことになるという
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GeForce 7600 GT搭載カードにSilent-Pipe 3を装備したエンジニアリングサンプルが展示されていた
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なお,本稿の趣旨とは少々離れるが,GIGABYTEはグラフィックスカード用の独自ファンレス冷却システム「Silent-Pipe 3」も公開していたので,これを最後に紹介しておきたい。
Silent-Pipeは,PCケースの外から冷たい空気を取り入れる仕様になっているのが特徴だが,Silent-Pipe 3では,“入り口”となるフィン部分の内部に小さなフィンを設けることで,より複雑な空気の流れを作り,冷却効率を高めたとのこと。また,ヒートパイプの配置とパイプ長を調整して,ヒートシンクの90%をカバーできるようになったとされている。このほかにも,ヒートシンク部では外周のフィンを大型化してケース内エアフローをより効果的に利用できるようにしたり,GPUの熱を受ける部分などに銅板を採用して熱伝導効率を高めたり,グラフィックスカードの基板を冷却するための外気吸入用スリットをブラケット部に設けたりといった工夫が盛り込まれているとのことだ。
GIGABYTEでは,消費電力の増大する高性能グラフィックスカードにおいて静音性を追求し,他社との差別化を図る意向。Lin氏は「このSilent-Pipe 3を搭載したグラフィックスカードは,NVIDIAの次期グラフィックスチップ搭載モデルから採用する」と述べており,2007年4月の正式発表が予想される「GeForce 8600」シリーズから,採用モデルが投入される見込みとなっている。(ライター:本間 文)
Silent-Pipe 3では,GPUの熱だけを効率的に伝導できるよう,メモリチップやVRMなど,高温になるほかの部品と干渉しないような配慮がなされているという。上段中央は“フィンの内側にある小さなフィン”,同右は“ブラケット部のスリット”を撮影したもの。下段はメリットを説明するGIGABYTE提供のスライド
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