Gigabyte UnitedにASUSTeKが出資せず? 揺れる“GIGABYTE”
GIGABYTE TECHNOLOGYが持っていたマザーボードとグラフィックスカードのチャネル(=小売市場)向けビジネスは,2007年1月1日をもって,同社とASUSTeK Computer(以下ASUSTeK)の合弁会社である「Gigabyte United」へ移管された。このことは,4Gamerでも何度かお伝えしてきているので,ご存じの読者も多いだろう。
GIGABYTE TECHNOLOGYが51%,ASUSTeKが49%を出資して新会社を発足させることで両社が合意したと発表されたのは,2006年8月のことだった(関連記事#1,関連記事#2,関連記事#3)。しかし,業界には2007年はじめから,キナ臭い噂が流れている。それは「GIGABYTE TECHNOLOGYとASUSTeKの交渉が決裂し,ASUSTeKが,Gigabyte Unitedという合弁会社をサポートしない」というものだ。これをもって,新会社の先行きを不安視する声も少なくない。
実際,2007年3月上旬の時点でも,ASUSTeKからの出資は完了していない。これは,両社の関係者も認めるところだ。 この背景について,Gigabyte Unitedの関係者は,同社とASUSTeKのマザーボード市場シェア合計が,特定地域において独占禁止法に抵触するほど高まってしまい,法的な問題を事前にクリアする必要があるためと説明する。GIGABYTE TECHNOLOGYとASUSTeKはいまも合弁会社の運営方針などで協議を続けているとのことだが,ASUSTeKの出資完了までには,まだしばらく時間がかかる見込みである。
■再びちらつきだしたFoxconnの影
一方,そんな状況をチャンスと見て,GIGABYTE TECHNOLOGY本体にアプローチをかけている会社があるのも事実のようだ。 その会社とは,Hon Hai Precision Industry(以下ブランド名である「Foxconn」と表記)。OEM(≒相手先ブランドでの製造請負)の巨人であり,世界最大のマザーボードベンダーの一社でもあるFoxconnだが,ことチャネル市場では苦戦を強いられ続けている。そこで,マザーボードだけでなく,最近はノートPCや携帯電話にもビジネスを拡大しているGIGABYTE TECHNOLOGY本体を買収し,Foxconnのチャネルビジネス全体で「GIGABYTE」というブランドを利用する計画が存在するというのである。
以前お伝えしたとおり,ASUSTeKとGIGABYTE TECHNOLOGYの合弁発表前に,FoxconnがGIGABYTE TECHNOLOGYとの合併を検討していたのは,台湾IT業界では周知の事実とされている。そんなFoxconnが再び動き出し,ASUSTeKとの合弁会社事業が行き詰まっているこのタイミングを利用して,再びGIGABYTE TECHNOLOGYを合併交渉のテーブルに着かせようとしているようだと,複数の業界関係者は指摘する。 Foxconnからしてみると,GIGABYTEブランドを手に入れれば,マザーボードやグラフィックスカードのみならず,ノートPCや携帯電話などでも同社が築き上げてきた土台を利用できるわけで,このチャンスをみすみす逃すとは思えない――これが,業界関係者達の見方だ。
ちなみに,Gigabyte Unitedの2007年2月の収入は21.7億台湾ドル(2007年3月時点では1台湾ドル=約3.6円なので,約78.1億円)。GIGABYTE TECHNOLOGY本体の同14.7億台湾ドル(約52.9億円)を上回るなど,Gigabyte Unitedのビジネスそのものは堅調だ。むしろ,GIGABYTE TECHNOLOGY本体の今後の業績を危ぶむ声もあり,4社の今後の動向は要注目といえる。(ライター:賈 大龍)
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