「ゲームマーレ」,事業戦略記者発表会を開催。同社が目指すものとは?
ゲームマーレ取締役社長
光澤嘉一朗氏
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本日3月14日(水),恵比寿イーストギャラリーで,ゲームマーレの事業戦略記者発表会が行われた。同社は,オンラインゲームの開発/運営を行う新会社で,2006年11月24日に設立されたばかり。同社取締役社長 光澤嘉一朗氏はまず,「オンラインゲームは,“コンテンツ配信”ではなく,“顧客サービス”を売るビジネスだ」と,冒頭のあいさつの中で語った。設立3か月という同社が目指すものとはどのようなものなのだろうか。
ゲームマーレ(GAME MARE)の“MARE”とは,ラテン語で“海”を表す言葉。さまざまな魅力的な表情を持ち,何度も訪れたくなるような“(ゲームの)海”を提供したいという思いで付けられた名だという。 光澤氏によれば,そんな同社の事業戦略は大きくわけて四つ,「運営サービス」「オリジナル」「IP(知的財産)のオンライン化」「グローバル」だ。
■市場ニーズにあった運営サービス ■提供タイトル第一弾は,横スクロールアクション「エコマジ!」
海外のゲームをローカライズするとき,まず問題となるのが“どのゲームを選択するのか”だ。同社はゲーム導入プロセスとして,対象となるタイトルの詳細な選定と評価を行う,独自の分析を実施しているという。 まず,そのタイトルの市場性,ゲーム性,日本向けローカライズの可否などを含む技術性などを調査し,ニーズに合うタイトルを選択。その後,ゲーム評価システムでローカライズするかタイトルの選択をやり直すかを判断するとのこと。
続いて発表されたのは,提供タイトル第一弾となる「エコマジ!」。本作は,すでに韓国で「Master of Fantasy」(マスターオブファンタジー)というタイトルで正式サービスが行われている。主に,オンラインゲームの初心者や女性をターゲットとしており,簡単な操作による爽快な戦闘や,可愛らしいキャラクターで着せ替えが楽しめるという,2D横スクロールアクションゲームだ。すでにローカライズ作業も開始されており,4月中旬にクローズドβテストが実施される予定とのこと。 ローカライズにあたり,キャラクターのアバターを日本人プレイヤー向けに一新しているという。なお,本作は基本料金無料のアイテム課金制でサービス予定だ。
■日本のゲーム開発力と韓国のネットワーク技術を融合 ■シナジー効果によるオリジナル作品の開発
「エコマジ!」の紹介に続いて,さまざまなゲームで共有できるプログラムとして共通プラットフォームを用意し,次期開発ゲームの投入リスクを軽減させる,“ブランドプラットフォーム”戦略が発表された。光澤氏によると,具体的には,“アバター”“チャット”などの,多くのゲームで利用されるシステムを一つのモジュールとして用意するのだという。開発会社は,共通化されたモジュールを用いることにより,フレンド登録情報や課金システムといったユーザー情報の共有化が容易になり,プレイヤーには,ゲームごとにキャラクターを作成するのではなく,一つのキャラクター(アバター)を利用して,さまざまなゲームを楽しめるといった恩恵が受けられるという。
トーセ取締役社長
齋藤茂氏
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そして,このゲーム開発をサポートするのが,京都に本社を置くゲーム開発会社トーセである。同社は,1979年に京都で創立されて以来,アーケード/家庭用ゲーム機などで,実に累計1450本ものゲームソフトの受託開発を行ってきた開発会社だ。光澤氏に紹介される形で登壇した,トーセ取締役社長 齋藤茂氏の「縁の下の力持ち」という言葉どおり,あまり社名を表に出さないことでも知られており,同社のことを知らない人も多いだろう。同社が開発に携わった代表的な作品として,エニックス(現スクウェア・エニックス)の「ドラゴンクエスト モンスターズ」シリーズなどが挙げられる。
BuddyBuddy取締役社長
黄智潤(ファン ジヨン)氏
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次に,オンラインゲームに欠かせない技術である,ネットワーク技術をサポートするのが,韓国BuddyBuddyである。齋藤氏に続いて挨拶に立った,BuddyBuddy取締役社長 黄智潤(ファン ジヨン)氏によると,同社は,2000年に韓国で“バディーバディーメッセンジャー”を公開して以来,10代のユーザーを中心に高い人気を集め,2006年3月には累計会員1900万人を達成したという。同社はこのノウハウを生かし,2006年12月に韓国でゲームポータル「buddyGAME」をオープン。日本のプレイヤーに馴染み深い「トキメキファンタジー ラテール」や「ファンタテニス」など,現在クローズドβテスト中のものを含めて計6タイトルを運営し,登録ID数は60万とのこと。ゲームマーレ提供タイトル第一弾である「エコマジ!」も,韓国では「buddyGAME」を通じて提供されている。
■さまざまな企業との連携による ■IP(知的財産)のオンライン化とグローバル展開
続いて光澤氏は,ゲームマーレのIP(知的財産)のオンライン化と,グローバル展開の紹介に移った。これは,ゲームマーレが中心となって収益を共有化し,他社ゲームメーカーなどのIPを素材としたオンラインゲームを,各社サポートの元,グローバルに展開していこうというものだ。これについては現在,数社と協議中とのこと。
Sidus取締役副社長 崔七圭(チョイ チルギュ)氏
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そして,日本タイトルを韓国などにグローバル展開を行うパートナーとして,韓国Sidusが協力する。同社は,「私の頭の中の消しゴム」「八月のクリスマス」などの映画配給を行っている,エンターテイメント企業。壇上に招かれた,Sidus取締役副社長 崔七圭(チョイ チルギュ)氏によると,同社は2005年からオンラインゲームのパブリッシングを始め,タイトーの「武刃街」のオンライン化ライセンスを確保したことでも知られている。崔氏は,「オンラインゲームパブリッシングと,事業提携は最優先の事業目標」であると語っており,同社が持つ映画素材などの豊富なコンテンツ資産は,大きな魅力だといえる。こうした各社とのコラボレーションを通じて,ゲームマーレがどのような展開していくのか,今後の情報を楽しみに待とう。(Nobu)
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