[GDC07#32]インディーズゲームの祭典,「Independent Game Festival」
GDCではもはやお馴染みとなった「Independent Game Festival」(IGF)が,今年も行われた。デベロッパーズチョイス・アワードに併催という形だったこともあり,モスコーニ・センターのSouthホール,Esplanadeルームという広い場所で,大勢の観客を前に大々的に授賞式が執り行われた。 IGFは,インディーズ(大手制作/販売会社などに所属していない人/団体/会社)制作のゲームの授賞式で,今年で9回目。デベロッパーズチョイス・アワードの作品と違い,こちらはインディーズという性質上,どうしても日本では馴染みの薄いタイトルが多いが,結果や受賞の模様などを紹介しておこう。
●Seumas McNally Grand Prize(大賞)……賞金2万ドル(約240万円) 「Aquaria」(Bit Blot) URL:http://www.bit-blot.com/
●Best Web Browser Game……賞金2500ドル(約30万円) 「Samorst 2」(Amanita Design) URL:http://samorost2.net/
●Technical Excellence……賞金2500ドル(約30万円) 「Bang! Howdy」(Three Rings Design) URL:http://www.banghowdy.com/
●Design Innovation Award……賞金2500ドル(約30万円) 「Everyday Shooter」(Queasy Games) URL:http://www.everydayshooter.com/
●Excellence in Visual Art……賞金2500ドル(約30万円) 「Castle Crashers」(the Behemoth) URL:http://www.castlecrashers.com/
●Excellence in Audio……賞金2500ドル(約30万円) 「Everyday Shooter」(Queasy Games) URL:http://www.everydayshooter.com/
●Best Singleplayer FPS MOD……賞金5000ドル(約60万円) 「Weekday Warrior」(Cut Corner Company Productions/Guildhall at SMU) ※「Half-Life 2」用MOD URL:http://students.guildhall.smu.edu/~weekdaywarrior/
●Best Student Game……賞金2500ドル(約30万円) 「Toblo」(DigiPen Institute of Technology: Toblo) URL:http://www.toblo.info/
大賞にあたるSeumas McNally Grand Prizeに輝いたのは,独特のタッチで描かれた,水中を探索する2Dアクションゲーム「Aquaria」。見ためもシンプルだが(画面上のインタフェースとしては,右下にミニマップがあるだけ),操作もシンプルで,2ボタンマウスだけでプレイできる。公式サイトにはムービーが用意されているので,興味がある人は見てみよう。 ちなみに,なぜこの賞に“Seumas McNally”という人名がついているかについては,2005年のIGFの記事に詳しく載っているので,気になる人はそちらでご確認を。
二冠となった「Everyday Shooter」は,“シューティングゲームのアルバム”,というソフト。もちろん写真を挟むほうではなく,音楽CDなどの“アルバム”の意味で,個性的なシューティングゲームが複数収録されている。フルバージョンのリリースは2007年内の予定。こちらも公式サイトに,ムービーが用意されている。 ところで余談だが,Best Student Gameの発表時,ちょっとしたハプニングがあった。受賞した「Toblo」の開発者が,喜びのコメント中に,なんと恋人にプロポーズしたのだ。彼女はその場でOKし,二人は抱擁。
会場は大いに盛り上がったのだが,その次に登壇したのが,Everyday Shooterの開発者。開口一番「コーリン,僕と結婚してくれ」と,これまた会場を沸かせていた(ちなみに二人とも男性で,コーリンの返事は「No!」)。その後もこの開発者は,コメントするたびに必ず笑いをとっていたのだが,Everyday Shooterには,そのユーモアの精神が生かされているのではないだろうか。
なお,Best Web Browser Gameとなった「Samorst 2」は,まぁ説明するまでもなくブラウザゲームで,公式サイトですぐにプレイできる。
GDCのエキスポ会場には,IGFのブースも用意されており,Aquariaをはじめとするノミネート作品をプレイできた
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さて,余談ばかりで恐縮だが,任天堂の宮本茂氏は,現地時間の3月7日に行われた基調講演の中で,このIGFの受賞者達について触れていた。ディテールは省略するが,氏は彼らを見て“安心した”というのだ。宮本氏が,心底安心して引退できる日(基調講演の中では,宮本氏の奥さんがゲームクリエイターとして大活躍するようになれば,と話していたが)が早まってしまうかもしれないが,これらインディーズのクリエイター達が,今回の受賞で満足することなく,(勝って)兜の緒を締め,さらに魅力的なゲームを作り出してくれることに期待したい。(Iwahama)
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