多数の修正が行われた公式β版「ForceWare 101.41 Beta」公開
NVIDIAが運営するWebサイト「nZone」は,GeForceファミリー向けとなる32/64bit版「Windows Vista」用グラフィックスドライバの最新β版「ForceWare 101.41 Beta」を公開した。2007年3月5日現在,日本語を含む他言語版がダウンロード可能になっている。
今回の最新β版は,驚くほど広範な修正が行われたのが特徴だ。まず,懸案のNVIDIA SLI(以下SLI)動作とOpenGLサポートにメスが入っており,DirectX 9およびOpenGLにおける,GeForce 6/7世代のGPUによるSLI動作が正式サポートされたほか,SLI構成時において高解像度のパフォーマンスが向上したとのこと。また,シングルグラフィックスカード/SLI構成を問わず,OpenGLパフォーマンスの向上も図られているという。
また,2007年3月5日時点の正式最新版「ForceWare 100.65」が抱える問題の多くが解消したとされているのも,本β版の特徴といえる。主だったところは以下のとおりだ。
●ForceWare 101.41 Betaで解決した主な問題(32bit版Windows Vista)- OpenGLアプリケーション実行時にV-Syncを(NVIDIAコントロールパネルから)無効化できなかった問題
- NVIDIAコントロールパネルにある「フラットパネルスケーリングの変更」が正しく動作しなかった問題
- NVIDIAのデモ「Cascades」で画面表示が一部おかしくなる問題
- 「GeForce 8800 GTX」搭載環境で,NVIDIAコントロールパネルの起動に19〜24秒かかっていた問題
- 「Battlefield 1942」をプレイすると,メインメニューの上端と下端に白いバーが表示されたり,ゲーム中に照準マークが表示されなかったりする問題
- 「Madden NFL 2007」を正常にプレイできない問題
- 「Galactic Civilizations II: Dark Avatar」で,ゲーム中にシステムがハングアップする問題
- 「Quake 4」を実行し,ゲームの設定から「Multiple CPU/Core」を有効化してマルチプロセッシングを有効化すると,フレームレートが大きく落ちたり,ゲームがクラッシュしたりする問題
- 「The Lord of the Rings: The Battle for Middle-Earth II」で,一部のビデオ再生がおかしくなる問題
- 「Tom Clancy's Ghost Recon: Advanced Warfighter 2」で影の表示がおかしくなる問題
- GeForce 8800 GTX搭載環境で,DirectX 10 SDKに含まれる「CubeMapGS」を実行したときにパフォーマンスが上がらない問題
- GeForce 8800 GTX&デュアルコアCPU搭載環境で「Dark Messiah of Might and Magic」をプレイすると,特定条件においてゲームがクラッシュする問題
- GeForce 8800 GTX搭載環境でアンチエイリアシング設定を有効化して「Microsoft Flight Simulator X」をプレイすると,一部の画面表示がおかしくなる問題
- GeForce 8800 GTX搭載環境で「Warcraft III」をプレイすると,ゲーム中の画面表示がおかしくなる問題
- GeForce 8800 GTX搭載環境でアンチエイリアシング設定を有効化して「Gothic 3」をプレイすると,画面表示がおかしくなる問題
- GeForce 8800 GTX,あるいは「GeForce 6800 GT」搭載環境で「Far Cry」をプレイすると,一部の画面表示がおかしくなる問題
- GeForce 6/7ファミリーのGPU搭載環境で「Condemned: Criminal Origins」をプレイすると,フレームレートが低下する問題
- 「GeForce 7300 GS」搭載環境で「Medieval 2: Total War」のデモをプレイすると,ゲーム内オプションのアンチエイリアシング設定を行えない問題
- SLI環境で,NVIDIAコントロールパネルからSLIを無効化すると,実際には再起動が必要にもかかわらず,それを促すダイアログが表示されない問題
- SLI環境でForceWareを再インストールしようとすると「code 43」エラーが発生する問題
- SLI環境で「Sid Meier's Civilization IV」をプレイすると,画面表示がおかしくなる問題
- SLI環境で「Serious Sam II」をプレイするとフレームレートが低下する問題
- SLI環境で「Call of Duty 2」をプレイすると,SLIの恩恵を一切受けられない問題
- SLI環境でFar CryのHDRレンダリングを有効化すると,画面表示がおかしくなる問題
- SLI環境で「Guild Wars」をプレイすると一部のシーンでフレームレートが低下する問題
- GeForce 8800 GTXのSLI環境で,解像度2560×1600ドット,16xQアンチエイリアシングを有効化すると,「X3 Reunion」がクラッシュする問題
- GeForce 8800 GTXのSLI環境で「F.E.A.R.」をプレイすると,たまにスプラッシュスクリーンでハングアップしたり,フレームレートが低下したりする問題
- 「GeForce 7800 GTX」あるいは「GeForce 6600/6800」シリーズのSLI環境で,SLIアンチエイリアシングを有効化すると,Far Cryでエラーが発生する問題
●ForceWare 101.41 Betaで解決した主な問題(64bit版Windows Vista)- OpenGLアプリケーション実行時にV-Syncを(NVIDIAコントロールパネルから)無効化できなかった問題
- 「Battlefield 1942」をプレイすると,メインメニューの上端と下端に白いバーが表示されたり,ゲーム中に照準マークが表示されなかったりする問題
- 「Madden NFL 2007」を正常にプレイできない問題(=画面表示だけ停止してしまう問題)
- GeForce 7300 GS環境で,「nView」からクローンモードを有効化していると,「3DMark05」がクラッシュする問題
……このほかにも,NVIDIAコントロールパネルや,Aeroデスクトップに関連した多くのバグフィックスがある。そのすべてはとても紹介しきれないが,代表的なところだけでも,「Aero有効時に透過処理がおかしくなる問題」をはじめ,NVIDIAコントロールパネルのディスプレイ出力やビデオ出力周りにあった,「設定がリセットされてしまったり,解像度変更をうまく行えなかったり,ディスプレイ以外の出力機器がうまく認識されなかったりといった問題」は,ことごとく“潰され”ている印象。休止状態やサスペンドからの復帰に失敗するといった致命的なトラブルや,ビデオ再生をうまく行えないというバグも解消されているようである。
繰り返しになるが,ForceWare 101.41 Betaはあくまでβ版に過ぎない。そのため,導入を強く勧めることはしないが,英語版リリースノート(※リンクをクリックするとPDFファイルのダウンロードが始まります)を見る限り,Windows VistaでGeForceファミリーのGPUを使っているなら,試してみる価値がありそうなのも確かだ。ForceWare 100.65を使っていて,どうしても堪えられない不満のある人は,「何が起こっても保証外」を覚悟のうえで,導入してみるといいかもしれない。(佐々山薫郁)
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