NVIDIA,Vista正式対応の「ForceWare 100.65」をリリース
一般ユーザー向け「Windows Vista」の発売から3週間。NVIDIAはついに,GeForce 6/7/8ファミリーをサポートする正式版グラフィックスドライバ「ForceWare 100.65」をリリースした。32bit,64bit版ともに,ダウンロードは4Gamerの最新ドライバページからどうぞ。
これまでの最新β版「ForceWare 100.64 Beta」からわずか0.01のバージョンアップに留まる正式公開版だけに,残念ながら修正箇所は多くない。リリースノートによれば,修正されたのは32bit版にあった,以下の2点のみである。
●ForceWare 100.65で解決した主な問題(32bit版Windows Vista)- 複数のユーザーアカウントが登録されている環境で,NVIDIAコントロールパネルの「3D設定の管理」にある「プログラム設定」(=アプリケーションプロファイル)が正常に動作しなかった問題
- 1080i入力に対応した外部機器に出力したとき,GeForce 7ファミリーの1080iオーバーレイ再生画質が低かった問題
正式版とはいえ,Windows XP上で動作するNVIDIAコントロールパネルでは利用できた機能のうち,まだ使えないものが多くあったり,NVIDIA SLI(以下SLI)は「DirectX 9およびOpenGLにおけるGeForce 6/7のSLI,およびDirectX 10におけるGeForce 8のSLIは,将来のドライバで対応する」と宣言されたβサポートになっていたりと,機能面ではまだ多くの制限がある。また,以下のとおり,複数の問題が未解決のままだ。
●ForceWare 100.65が抱える主な問題(32bit版Windows Vista)- 多くのアプリケーションにおいて,画面右上にライン(多くの場合は黒色)が表示されてしまう
- Aeroを有効にすると,透過処理が一部おかしくなる
- 一部の液晶ディスプレイにおいて,ドライバ側のディスプレイ解像度設定が正しく機能せず,解像度が800×600ドットに固定されてしまうことがある
- グラフィックスメモリ320MB版「GeForce 8600 GTS」のグラフィックスメモリ容量が,Windows Vistaから256MBと報告されてしまう(実際には320MBで認識されている)
- NVIDIAコントロールパネルの「デスクトップカラー設定を調整」の変更内容が,次に同コントロールパネルを開いたときにリセットされてしまう
- [Ctrl]+[Alt]+[Del]キーで,ユーザーアカウントの制御ダイアログを表示させると,画面表示がおかしくなる
- 「GeForce 8800」シリーズ搭載環境で,S3/S4ステート(≒サスペンドモード)からの復帰ができない
- GeForce 8800シリーズ搭載環境で,ハイビジョンテレビあるいはHDTVなどと呼ばれる高解像度テレビにビデオ出力すると,画面が白黒になってしまう
- GeForce 8800シリーズ搭載環境で,コンポーネント/S/コンポジットビデオ出力設定の変更内容が,次にNVIDIAコントロールパネルを開いたときにリセットされてしまう
- 「GeForce 8800」シリーズ搭載環境で,「Windows Vista Ultimate」の特典「Ultimate Extras」に付属するゲーム「Texas Hold'em」をプレイすると,画面表示がおかしくなる
- 「The Elder Scrolls IV: Oblivion」や「Tom Clancy's Rainbow Six Vegas」など,HDRレンダリングを利用できるタイトルで同機能を有効化すると,アンチエイリアシングを利用できない
- 「GeForce 8800 GTX」「GeForce 7900 GTX」搭載環境で「Company of Heroes」をプレイすると,シェルブール港奪還シナリオをロードしようとしたときにハングアップする
- GeForce 8800 GTX搭載環境で「Prey」をプレイして,ゲーム側でディスプレイ解像度を変更すると画面表示がおかしくなる
- GeForce 7ファミリー搭載環境で「Serious Sam II」をプレイすると画面表示がおかしくなる
- 「GeForce 7800 GTX」搭載環境で,NVIDIAコントロールパネルからアンチエイリアシング設定を行うと,「Sid Meier's Civilization IV」を正常にプレイできない
- 「GeForce 7300」で「Black & White 2」をプレイすると画面表示がおかしくなる
- 「Madden 2007」を正常にプレイできない
- NVIDIAのデモ「Cascades」で画面表示が一部おかしくなる
- SLI環境で,NVIDIAコントロールパネルからSLIを無効化すると,実際には再起動が必要にもかかわらず,それを促すダイアログが表示されない
●ForceWare 100.65が抱える主な問題(64bit版Windows Vista)- NVIDIAコントロールパネルにある「デスクトップカラー設定を調整」の設定内容が,システムの再起動時に初期化されてしまう
- 「GeForce 8800」シリーズ搭載環境で,「Windows Vista Ultimate」の特典「Ultimate Extras」に付属するゲーム「Texas Hold'em」をプレイすると,画面表示がおかしくなる
- GeForce 8800シリーズ搭載環境で,ハイビジョンテレビあるいはHDTVなどと呼ばれる高解像度テレビにビデオ出力すると,画面が白黒になってしまう
- GeForce 8800シリーズ搭載環境で,コンポーネント/S/コンポジットビデオ出力設定の変更内容が,次にNVIDIAコントロールパネルを開いたときにリセットされてしまう
というわけで,諸手を挙げて歓迎できる完成度ではないのだが,「正式版」として公開された以上,ある程度の信頼は与えられそうだ。これまでドライバの不備を理由に,Windows Vista上でGeForceを使うのをためらっていた人にとっては,十分に意味のある今回の正式版リリースといえる。同時にNVIDIAには,今ある制限や問題への対応を引き続き期待したい。
なおリリースノート(※クリックするとPDFファイルのダウンロードが始まります)17ページ以降には,ForceWareが原因ではない問題について,状況の説明がある。とくに19ページでは,「Call of Duty 2」や「The Sims 2」「Need for Speed: Carbon」などに関し,一部は“当座のしのぎ方”付きで解説が行われているので,(英語版しか用意されていないが)一度チェックしてみるといいだろう。(佐々山薫郁)
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