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生産から,フィールド/ダンジョン,合戦までを紹介。「三國志 Online」プレイレポート#2
2007/02/13 21:04
 コーエーが開発中のMMORPG「三國志 Online」は,クラス制を廃し,使用武器によってキャラクターの特性を切り替えたり,有名武将との関わりを実感できたりと,特徴的なシステムが目を引くタイトル。前回のプレイレポートでは,1月24日から2月6日まで実施されたクローズドβテストでのキャラクター作成から,序盤のゲームプレイの様子までをお伝えした。第2弾となる今回は,本作における採集と生産,フィールドやダンジョン,合戦についてを紹介しよう。

■採集と生産

 三國志 Onlineには,プレイヤーが自分で材料を集め,それを使ってアイテムを作り出す「採集」「生産」の仕組みがある。どちらのシステムも特別に変わったものではなく,ある程度の生産システムを持つMMORPGに慣れている人なら,比較的簡単に全体をイメージできるものとなっている。とくに同じコーエーのMMORPGである「信長の野望 Online」の採集/生産の仕組みとは重なる部分が多いようだ。

 今回のクローズドβテストで習得可能だった生産技能には以下のようなものがあり,取得できる生産技能は一キャラクターにつき一種類のみとなっていた。

生産技能  作れるもの
金属武器加工  片手武器,双手武器,両手武器
金属防具加工  金属製の防具(頭,腕,胴,脚)
木材加工  投射武器,妖術武器,練丹武器,霊符
皮革加工  革製の防具(頭,腕,胴,脚)
布地加工  布製の防具(頭,腕,胴,脚)
宝飾加工  指輪,耳飾り,首飾り,腰帯
医食調合  食べ物,薬

 木材加工で作れる「霊符」は術の力が込められた消費型のアイテムで,ファンタジーの世界で言えば“魔力の込められたスクロール”にあたるものだ。医食調合の生産物である「食べ物」は,摂取すると一時的に体力や気力が増えたり,能力が伸びたりする。「薬」はいわゆる“ポーション”にあたるものとみてよさそうだ。

 これらを作るのに必要な材料は,主に採集技能を使って集める。クローズドβテストでは以下の三種類の技能があり,生産技能と同じく一種類を選択できるようになっていた。

採集技能  採れるもの
鉱石採掘  いろいろな鉱石や砂
木材伐採  いろいろな木や竹
材料採集  木の実や根,石,植物,魚など

 採集をするには,フィールドマップ上に設定されている「その材料が採れる場所」を探し出して,そこで繰り返し技能を使えばよい。採集ポイント自体はマップごとにあらかじめ決まっていて,採集ポイントに応じた技能を使う必要がある。生産素材の中には,これらの技能を使って採れるもの以外に,シカやイノシシなど動物の敵を倒すことで得られるものがある。主に獣の骨や皮などだ。

 どの生産技能も,最初のうちは自分で採った材料だけで作業が進められるが,レベルが上がっていくに従って,良いものを作るには,ほかの生産者が作った中間材料が必要になるようだ。出来上がった装備アイテムには,製作者として自分の名前が刻まれる。また,完成品の性能は一様ではなく,同じ名前のアイテムを作っても最終的な性能にはばらつきが生じる。こういった要素は,生産や商売に力を入れたいプレイヤーにとっては魅力的なもののはずだ。

 採集技能は採集をするたびに,生産技能は生産をするたびに,その技能に対して経験値がたまり,レベルアップしていく。キャラクターの総合レベルは,戦闘技能,採集技能,生産技能のうち,最もレベルが高い技能のレベルで決まる。だから戦闘をまったくせずに,採集だけで総合レベルを上げていく,といったことも可能だった。

 今回のクローズドβテストでは,材料は簡単に,豊富に採れるようになっていた。さらにそれを適度に加工してNPCに売るだけでも,所持金がかなり良いペースで増えていく。プレイヤー同士でアイテムを売り買いする仕組みはほとんど整備されていなかったことも含めて考えると,今回のテストではコストや経済的な要素はひとまず置いておいて,まずは生産や採集の技能がきちんと動くかどうかを検証することに主眼が置かれていたようだ。そんな事情もあって,生産した高性能な武器や装備品などを,合戦前に味方プレイヤーに無料で配る職人の姿もよく見られた。

左:採集ポイントで生産の材料となる素材を集める 中央:生産技能は町や村にいる「師範」から教わっていく 右:材料を持って施設のある場所におもむき,生産をする


■フィールドと町

 育てているキャラクターの総合レベルが10になってから,いちばん初めの村である“水鏡村”の村長に話しかけると,“長安”に行くことを勧められた。クローズドβテストで実装されているフィールドゾーンは,水鏡村のあるゾーン「荊州」と,長安のあるゾーン「司隷」の二つだ。「荊州」はレベル1〜10用のゾーン,「司隷」はレベル11〜20用のゾーンという印象である。

 さっそく司隷を通って長安を目指してみる。自分よりもレベルの高い敵に見つかってしまわないように気をつけつつ,地図を頼りに道をずんずん進んでいく。本作のフィールドゾーンは非常に広い。足が速くなる術を使ってもまだ広いと感じる。中国大陸の広大さを表現しているともいえるが,景色はやや変化に乏しいと感じた。これは,今後充実していく部分なのかもしれない。道沿いにさらに進んでいくと,無事に長安に到着した。

 長安の町は独立した一つのゾーンとなっていた。中には立派な建物や賑やかな商業区,設備の揃った生産用の区画などがあり,プレイヤーキャラクターもNPCも多い。ゆくゆくはプレイヤー経済の中心地となっていくのだろう。

 長安の周辺には,レベル10以上のキャラクターが経験値稼ぎをするのにちょうどよさそうな敵が多くいた。中には攻撃的ではないものもいるので,そういった敵を連続で狩り続けるプレイヤーの姿が多く見られた。モンスターは倒されてもすぐに再出現するようで,数が不足して取り合いになるような状況はほとんど経験しなかった。

上段左:水鏡村長に長安へのお使いを頼まれた 上段中央:「荊州」は草の緑色の地面が広がる湿地風の土地 上段右:「司隷」は荊州に比べるとやや乾いた印象の土地 下段:長安の風景


■ダンジョン

 クローズドβテストで体験できた冒険用のゾーンとしては,フィールドゾーンである「荊州」「司隷」のほか,ダンジョン「石林」があった。この石林は,本来はもっと遠いところにあるダンジョンらしいが,テストでは長安の側にいるNPCに話しかけることで,その入り口まで移動できるようになっていた。

 「石林」は名前のとおり,天然の石柱がまるで林のように立ち並ぶ野外タイプのダンジョンだ。筆者が初めて「石林」にゾーンインしたとき,少し向こうで誰かが巨大なクモと戦っているのが見えた。そしてほどなく,そのキャラクターは筆者の目の前でばったり死んだ。ウワサに聞いていたとおり,やはりここは非常に恐ろしい場所のようだと実感した。クモのレベルは16で,このときこちらのレベルは15程度だった。試しに挑んでみたが,やはりあっけなく倒されてしまった。もっと奥にはたくさんのクモが群れているのが見え,ここはグループで来るところなのだろうと,このときはおとなしく退散した。

 その後,石林に行く機会があったのはクローズドβテストの最終日だった。最終日だけあってこのときはプレイヤー達のテンションも高く,石林の入り口周辺は多くのキャラクターで賑わっていた。とくにテスト終了間際にはかなりの数のキャラクターがここに集まり,一団となってその奥を目指していた。だが……敵が強いのに加えて,倒されてからの再出現もかなり早く,連合以上の大集団で挑んでも,最深部にはなかなか到達できない。この日は最深部にボスクラスの敵(牛魔王?)が配置されていたらしいのだが,結局筆者はそれを見ることができなかった。残念。とはいえ,お祭りのような楽しい雰囲気を味わうことができたので,ひとまずは満足だ。

ダンジョン「石林」


■合戦

 クローズドβテスト時の長安には,魏,呉,蜀それぞれの勢力のNPCが配置されており,好きな勢力に簡単に所属できるようになっていた。どの勢力に所属していようと,通常のプレイには影響ない。これらが意味を持つのは,もちろん合戦のときである。

 合戦は,ランダムに発生したり,プレイヤーが自分達で開始したりするものではなく,あらかじめ告知された決まった時間に行われる。戦場としては,通常の冒険エリアとは完全に切り離された合戦専用のゾーンが用意される。クローズドβテストでは,合戦開始時間の前にNPCに話しかけることで,合戦場ゾーンに移動できるようになっていた。

 合戦は一国対一国で行われる。合戦場には双方の拠点である砦があったりするが,今回のテストではごくシンプルに,倒した敵兵の数が多いほうが勝利するルールとなっていたようだ。また,戦闘時間は45分となっていた。

 合戦では,自分の戦闘技能を使って敵兵を攻撃したり,味方をサポートしたりする以外にもやることがある。一つは資源の収集だ。木材などを協力して集めることで,自勢力は投石機や攻城兵器を作れるようになる。それらが作れるようになったら,今度はそれを作成し,運用する。例えば投石機は五人まで乗り込むことができて,各人が押す(乗り込んだ状態で前進キーを押す)ことで,より速く移動させられるようになっていた。こういったものを上手に運用することで,戦いを有利に進めていける。
 実際に動かしてみたが,この投石機は非常に強力だった。一撃で多くの敵がバタバタと倒れていくほど攻撃力が高い。ただ投石機は移動や方向転換が非常に遅い。また弱点をうまく突いて,乗員だけを倒せば,投石機を奪うことも可能になっている。これらをどう動かすか,またはこれらにどう対処するかは,勝負の行方に深く関わる要素となりそうだ。

左:投石機。クローズドβテストの合戦ではこれが主力兵器となっていた 中央:連合編成のウィンドウ。最大5徒党25人で連合が組める 右:陣形は本作の合戦の戦い方に大きな影響を及ぼしそうな要素


 また,合戦では“連合”を組むことが推奨されているようだった。なぜなら連合を組めば“陣形”が使えるようになるからだ。連合は複数の徒党から成り立つ最大25人の大グループで,陣形は徒党ごとに違ったものが使用できる。
 陣形は「徒党全体に効果が及ぶバフ」のようなもので,移動速度を速める陣形,防御力を上げる陣形,回復の効果を高める陣形などが用意されている。またこのパッシブな効果のほかに,陣形を選択した徒党リーダーは,陣形ごとに設定されている“戦法”を使用可能になる。戦法は通常の技能のように,使いたいときにアイコンをクリックすることでアクティブに使用するものだ。
 例えば,「鉄壁陣形」には「盾装備中の徒党員の防御力と術受止率を上げ,移動速度を下げる」というパッシブな継続効果があり,さらに党首は「聖なる盾」という,「参加者全員を強力な障壁で包む」という戦法を,ここぞというときにアクティブに使えるようになる……といった具合だ。陣形は使い方によってはかなり大きな効果を上げられそうなので,プレイヤーに「もっと研究してみたい」と思わせる興味深い要素だと感じた。

 本作の合戦は,時間も戦場も区切られている。そのため長すぎる準備時間は必要なく,敵を求めてウロウロするような事態も発生しない。また偵察を行ったり,拠点を守ったりする必要性も(現在のところは)ないため,基本的には全員が“前線の兵士”として戦闘に参加することになる。
 前線は投石機を軸として構築され,兵士達はなるべくまとまって行動することを心がけているようだった。なにぶん大人数同士の戦いなので,勝敗に関わる要素としては各個人の力量/レベルよりも,連係やチームワークのほうが重要になるようだ。そう考えるプレイヤーは,積極的に“戦場チャット”を使い,味方全体に対して戦況の報告や作戦の提案を行っていた。この感触は,近年のゲームとしては「ファンタジーアース ゼロ」で戦争をしているときのものに通じるところがあるだろうか。短時間で,スポーツライクに楽しめる本作の合戦は,フリーなPvPが好きではない人でも,抵抗なく参加できるものだろう。

合戦の様子


■まとめ

 クローズドβテストの段階では,本作は「基本的にはソロプレイで,六つの戦闘技能全部のレベルを上げるゲーム」になっていたように思う。徒党や連合を組んだとしても,戦術的な立ち振る舞いが必要になる局面は少なく,全員が全力で敵を叩くだけ,といった戦いになりがちだった。合戦においても状況は似たようなもので,それぞれの武器技能(クラス)が,各々ならではの持ち味を適切に発揮できる戦いは,まだ実現できてはいなかった。
 だが,六つの役割が用意されているのだから,今後は当然,それを生かせる徒党や連合でのプレイをする場面も増えるはずだ。そして,これこそがMMORPGの核であると捉え,ゲームを選ぶうえでその出来を最重視するプレイヤーも少なくない。今回心残りなのは,その部分がどうなっているのか,どうするつもりなのかを実感できなかったことだ。

 先日行った,本作プロデューサーである上野彰三氏へのインタビューでもお分かりいただけるとおり,今回のクローズドβテストはプロモーションを目的としたものではなく,プログラムの安定性などをチェックする,純粋な意味での“テスト”だった。テスト開始当初はやや不安定だったサーバーや,クライアントの重さが改善されれば,次は内容の練り込みだろう。多くのプレイヤーが「ああ,これならば」と納得できるような,プレイしていて心地よいゲームに仕上がることを期待しつつ,次回のβテスト開始を待ちたいと思う。(ライター:星原昭典)


三國志 Online
■開発元:コーエー(KOEI ENTERTAINMENT SINGAPORE PTE. LTD.)
■発売元:コーエー
■発売日:2007年内
■価格:N/A
→公式サイトは「こちら」

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/news/history/2007.02/20070213210456detail.html