ニュース
空白の2か月で変わったものは? 今後の展開を含めて「ドラゴンジェムプラス」開発元にインタビュー
2007/01/10 23:55
(左から)ロックワークス オンライン事業部 プロデューサー 金賢珠(キム・ヒュンジュ)氏,ZEMIinteractive CTO 金勤撤(キム・クンチョル)氏
 2006年12月22日にオープンβテストが再開された,オンラインアクションRPG「ドラゴンジェムプラス」。「ドラゴンジェム」から大幅なリニューアルが施された同作だが,そもそも,なぜタイトルが変更されたのか? 長期に及ぶオープンβテスト中断によって,ゲームの内容はどのように変更されたのか? 今後のアップデートの内容および正式サービスの予定は? それらについて,2006年12月25日に,ちょうど来日中だった開発元 ZEMIinteractive CTO 金勤撤(キム・クンチョル)氏と,ロックワークス オンライン事業部 プロデューサー 金賢珠(キム・ヒュンジュ)氏に聞いてみた。

■20代の男性を視野に入れた,
■ドラゴンジェムプラスへのリニューアル


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。

金勤撤氏金賢珠氏:
 よろしくお願いします。

4Gamer:
 ドラゴンジェムは,2006年10月11日からオープンβテストを一時中断していました。そこでまずは,オープンβテスト再開に至るまでの経緯について教えてください。

金勤撤氏:
 そもそもドラゴンジェムのオープンβテストを中断したのは,日本のプレイヤーの皆さんから寄せられた意見や要望を参考にして,コンテンツを充実させるためです。そして,より日本人の嗜好に合わせた内容を目指してリニューアルを施し,今回ドラゴンジェムプラスとして,12月22日にオープンβテストを再開したのです。



4Gamer:
 つまり,日本人が納得するだけのクオリティに仕上がったということですね。では,ドラゴンジェムが「ドラゴンジェムプラス」に,名称が変わった理由とは?



金勤撤氏:
 中身が変わったからです。とはいえ,プレイヤーの皆さんへのアンケートで,世界観などを変えないでほしいという声が大きかったため,今回のリニューアルでは,もともとのドラゴンジェムが持っていた世界観やストーリーは変更していません。代わりに,クエストやスキルシステムなどのプラスαの部分を大きく追加したという形になったので,名称にプラスを追加しました。

4Gamer:
 ドラゴンジェムに“プラスα”……ということなのですね。具体的に,どういった部分をリニューアルしたのでしょうか?

金賢珠氏:
 まずイメージイラストを変更しています。以前は韓国バージョンのものをそのまま使っていたのですが,どうも日本人の好みとは少々ズレがあると感じたからです。またプレイヤー層を分析してみると,年齢層が韓国とは異なっていました。そこで,日本向けにイメージイラストを新しく起こし,さらにゲーム内のキャラクターデザインにも,そのイメージを反映させています(編注:新しいイメージイラストは4Gamerでも掲載しているので,「こちら」の記事で確認してほしい)

4Gamer:
 そのほかのリニューアル内容も追々お聞きするとして,今お話に出てきた,プレイヤー層について教えてください。韓国とはプレイヤーの年齢層が違うとのことですが,日本でのメインターゲットはどんな層なのでしょうか?

金賢珠氏:
 ドラゴンジェムは,もともと韓国では小学生をターゲットにしたタイトルだったんです。そこで日本でも最初は低年齢層を想定していたのですが,実際にスタートしてみると,プレイヤーの8割近くが20代の男性でした。そのためターゲットを変更し,新しいコンテンツを加えるときにも,20代男性を含めたより広い層を意識するようにしています。イメージイラストの変更も,その一環ですね。

4Gamer:
 競合するタイトルとしては,やはり低年齢層をターゲットにした「メイプルストーリー」や「トキメキファンタジー ラテール」などが挙げられると思います。とくにラテールは後発ということもあって,低年齢層に加えて女性向けを謳い,スタッフも女性で固めるなど差別化を打ち出しています。ドラゴンジェムプラスには,そういった差別化の要素はあるのでしょうか。



金賢珠氏:
 今の話と重なるのですが,ドラゴンジェムプラスは単に低年齢層というよりも,初めてオンラインゲームをプレイするようなライトユーザーをターゲットにしています。そこで「気軽に」「誰でも」プレイできるように,システムを意図的に簡単なものにして,入り込みやすくしています。
 今ドラゴンジェムプラスのプレイヤー層は,上は70代から下は小学生まで本当に幅広いんです。40代男性や主婦の方も多くいらっしゃいますので,皆さんが楽しめるゲームを目指しています。

4Gamer:
 なるほど。まずは間口を広くして遊んでもらうと。

金賢珠氏:
 ええ。またプレイヤーの皆さんからは,キャラクターの可愛らしさや,NPCやクエストなどのコミカルな部分に対して大きな反響がありました。そこで特定層だけに支持されるものではなく,幅広い層のプレイヤーに受け入れられるキャラクターデザインや会話の内容も意識しています。
 そのほか,ドラゴンジェムプラスは見た目が2Dですが,実は3Dグラフィックスエンジンを採用しています。そのためスキルのエフェクトなどの演出面で,ほかのタイトルと違ったものをお見せできると思いますよ。



■オープンβテスト再開で追加された大量のクエストと,
■キャラクター育成要素「スキルスクロールシステム」について


4Gamer:
 それでは,「プラス」になるにあたって変更されたり追加されたりした部分を,具体的に教えてください。クエストに関しては「最終調整」ということで,オープンβテスト再開前には詳細が公開されていませんでしたよね。

金勤撤氏:
 そうですね。今回はレベル15〜20のプレイヤーを対象にしたクエストを,90個ほど追加しています。また,新実装したアンドラス大陸でのクエストも30個以上ありますね。

4Gamer:
 クエストの内容は,どういったものになるのでしょう?

金勤撤氏:
 ドラゴンジェムプラスのクエストは,主に童話や寓話などをベースにしています。今回追加したアンドラス大陸のクエストでは,「ピノキオ」「眠れる森の美女」「不思議の国のアリス」をベースにしたものが登場します。

4Gamer:
 それらは,ゲーム全体を通した一連のクエストになるのでしょうか。それとも,それぞれ別個のものになるのですか?

金賢珠氏:
 レベルごとに発生するタイプと,特定のクエストをクリアすると連続して発生するタイプの両方がありますね。詳細はここではお話しできないので,実際にプレイして確認してみてください。

4Gamer:
 分かりました。それでは,新しいスキルシステムについて教えてください。

金勤撤氏:
 スキルについては,「パーティスキル」と「スキルスクロールシステム」を追加しました。パーティスキルはパーティを組んでいるときにだけ使用できるスキルで,職業ごとにレベル1〜5の5段階が用意されています。

4Gamer:
 パーティを組むと,より有利に戦えるというわけですね。ではもう一方の,スキルスクロールシステムとは,どのようなものですか?

金勤撤氏:
 ドラゴンジェムプラスには,キャラクターがレベルアップしたときにステータスを振り分ける要素がないんです。これはオンラインゲーム初心者も気軽にプレイできるようにという配慮なんですが,半面,ある程度慣れている人にとっては物足りない部分でもあるようです。その物足りなさを解消するために,採用したシステムですね。

4Gamer:
 なるほど。具体的には,どのようなシステムなんでしょうか。

金勤撤氏:
 スキルは通常,レベルアップ時や転職時にNPCから購入したスキルスクロールを使用して習得します。しかし今回,モンスターもスキルスクロールをドロップするように変更しました。このモンスターがドロップしたスクロールからは,通常のものからよりも高い能力のスキルを習得できます。
 例えば範囲攻撃スキルであれば,効果の及ぶ範囲が広がります。あとは攻撃力が上がる,あるいは習得に必要なレベルが通常より低くなるといった場合もあります。また,キャラクターが習得済みのスキルだった場合には,より効果の高いスキルとして上書きされていきます。
 こうしたスキルスクロールは,一種のレアアイテムとして,ゲーム内でトレードしたり売買したりできるようになっています。

4Gamer:
 通常のスキルの強化版をドロップするということで,ゲームに慣れた人に探して収集する楽しみが提供されるというわけですね。

左:スキルスクロール,右:パーティスキルのスクロール


■「ペットシステム」「ギルドシステム」など
■今後の展開について


4Gamer:
 それでは,正式サービス開始を含めた,今後のアップデート予定について教えてください。

金勤撤氏:
 まず2007年1月中旬に,新しいマップと「ペットシステム」を実装します。そのほか,アンドラス大陸のイベントを多数追加していく予定です。

4Gamer:
 ペットシステムは日本で企画されたものということですが,詳細を聞かせてください。

金勤撤氏:
 ペットは今のところ,うさぎと猫の2種類を準備しています。うさぎは、モンスターがドロップした通貨を拾い集めてくれます。一方、猫はモンスターがドロップした通貨やアイテムを拾い集めてくれます。どちらも戦闘に参加することはありません。
 また,ペットには育成要素があります。通常はプレイヤーキャラクターと一緒にレベルアップしていくのですが,長時間エサを与えないと怒って出てこなくなります。また,安くて質の悪いエサばかり与えていると,コレステロールが溜まっていきます。

4Gamer:
 コレステロールですか,なにやら不健康な響きですね(笑)。コレステロールが溜まるとどうなるのでしょう?



金勤撤氏:
 コレステロールが溜まると,ペットがまさに不健康な状態になって,レベルアップの速度が遅くなります。このシステムについては,「たまごっち」を想像してもらえば分かりやすいと思うのですが,プレイヤーが愛情を持って世話をしないと,ペットはうまく成長してくれません。

4Gamer:
 なるほど。ペットの健康に気を遣わないと,なかなか育たないと。では,成長したペットには何ができるのですか?

金賢珠氏:
 「お座り」「笑う」「泣く」といったようなエモートを取らせることが可能になります。モンスターと遭遇したときに,エモートで「死んだふり」をさせるようなこともできますよ。

4Gamer:
 それは面白いですね。エモートは,ペットが自発的に行うのですか?

金勤撤氏:
 いいえ,プレイヤーがコマンドを打ち込むことで実行します。

4Gamer:
 分かりました。それでは正式サービスの予定について教えてください。

金勤撤氏:
 調整が済めば,2007年1月中旬〜下旬の予定です。課金アイテムの内容は,ファッション/アバター系の,主に見た目を可愛らしくするものですね。例えば,武器にアイスキャンディーの外装を施すようなものもあります。

4Gamer:
 なるほど,それは面白い見た目になりますね(笑)。ほかには,能力アップのアイテムはないのですか?

金賢珠氏:
 当然ありますが,アバター系と比較すると少ないですね。だいたいアバター系が7割,能力アップ系が3割といった比率になります。

4Gamer:
 やはり幅広い年齢帯で購入しやすい,見た目を重視したアイテムをメインにしているわけですね。では,現在開発中のシステムは何かありますか?

金勤撤氏:
 現在,「ギルドシステム」を開発中です。ドラゴンジェムプラスには,ギルド戦などの対人要素はないのですが,ギルドメンバーが協力して任務を達成することによって,「イベントマップ」に進入可能となるキーアイテムを手に入れることができます。イベントマップでは,通常入手できないような特別なアイテムをモンスターがドロップします。

4Gamer:
 日本のプレイヤーに向けた企画はどうでしょう?

金勤撤氏:
 クエストでは「桃太郎」など,日本の童話をベースにしたものを企画/開発中です。
 また,オープンβテスト再開直後にはクリスマスイベントを開催しましたし,1月4日からはマップに門松を配置した「お年玉」イベントを開催しています。その後も3月には,ひな祭りを予定していますし,その他季節に応じたさまざまなイベントを展開していきますよ(編注:実施中のお年玉イベントについては,「こちら」の記事でご確認を)

金賢珠氏:
 日本のプレイヤーは,そういった季節のイベントを本当に楽しんでくれます。季節ごとの行事や記念日を意識して,企画を立てていこうと考えています。

金勤撤氏:
 皆さんに喜んでいただける面白いイベントやクエストを,がんばって開発していきます。

お年玉イベントの様子


4Gamer:
 それでは最後に,あらためて日本のプレイヤーにメッセージをお願いします。

金勤撤氏:
 ドラゴンジェムプラスが皆さんに心から愛されるような存在になるべく,がんばって開発しています。これからも多くの意見や要望をお寄せください。

金賢珠氏:
 ドラゴンジェムプラスは,これまでのオンラインRPGよりも気軽に,短い時間でも楽しめるゲームです。より多くのプレイヤーの皆さんが,遊んでくださったら本当に嬉しいです。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

 インタビュー後,社名である「ZEMI」は「楽しみ」という意味であると説明してくれた金勤撤氏。多くのプレイヤーに楽しんでほしい,より多くの楽しみを与えたいという願いから,この言葉を社名に選んだと熱心に語っていた姿が印象深い。また,イメージイラストの変更や,1月中に実装される予定のペットシステムが日本で企画されたものであることからもうかがえるように,相当に日本市場を意識しているようだった。
 そんな彼らの姿勢が,いかにしてゲームの内容に反映され,またプレイヤーに受け入れられていくのか。まずは1月のアップデートおよび正式サービス開始に対する,日本のプレイヤーの動向に注目したい。(ライター:大陸新秩序)

(2006年12月25日 収録)


ドラゴンジェムプラス(DragonGem+)
■開発元:ZEMI INTERACTIVE
■発売元:ロックワークス
■発売日:2007年内
■価格:N/A
→公式サイトは「こちら」

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/news/history/2007.01/20070110235521detail.html