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「FFXI」の上級者向けバトルコンテンツ「サルベージ」を早速プレイしてみた
2006/12/26 20:32
■最初は全員丸腰で挑戦!?
■まったく新たなスタイルのバトルコンテンツが登場


今回は海底に眠るダンジョンが舞台となる。このはるか昔に作られた遺跡には,伸縮する柱や転移装置など,摩訶不思議な仕掛けがぎっしり詰め込まれている
 サルベージ(Salvage)という単語は,一般的に“海難救助,沈没船の引き上げ作業”という意味で使われるが,サルベージの舞台もそれに相応しく“アルザダール海底遺跡群”となっている。もちろん,サルベージで獲得できる報酬も名前に見合うゴージャスなもので,「アトルガンの秘宝」という拡張データディスク名にもぴったりの内容だ。

 サルベージに挑戦するためには,アトルガンミッションをある程度進めたうえで,“謎の証文”なるアイテムを確保する必要がある。これは「アサルト」で得た作戦戦績2000点と引き換えに入手でき,一度サルベージに挑戦すると失われてしまう。従来の「デュナミス」や「リンバス」とは違い,参加権をギルで直接購入するタイプではないので注意してもらいたい。そして一度“謎の証文”を購入すると,次回の購入は現実時間の24時(深夜零時)を過ぎるまで待たなければならない。アサルトの作戦戦績を獲得するペースには上限があることから,熱心なプレイヤーでも,サルベージに挑戦できるのは大体2〜3日に一度になるだろう。

 サルベージの最大の特徴は,スタート時にキャラクターの行動の大半が封じられていることだ。この制限は「アルザダールパトス」(以下,パトス)と呼ばれ,具体的には,“武具”“ステータス”“呪文”“アビリティ”“サポートジョブ”といったジャンルがある。
 各ジャンルはさらに複数のパトスに分けられていて(合計で20項目),これら全部が冒険者にのしかかることになる。つまり最初は,呪文やアビリティなどを一切使えず,しかも丸腰(!)という赤子同然の状態で挑まねばならないのだ。

 しかし冒険中にモンスターを倒すことで,“インビュードアイテム”を入手し,それによって自分に課せられた制限を一個ずつ解除することが可能だ。インビュードアイテムは20種類のパトスにそれぞれ個別に対応しており,また一度にドロップする数も限られている。そこで,ドロップしたインビュードアイテムを一体誰に(どのジョブに)与えるか,という判断が重要になってくる。加えて,単純に敵を倒すのではなく,限られた条件下でいかに工夫して力を発揮するかという,新たなノウハウがサルベージでは求められるのだ。

 サルベージの攻略には100分の制限時間が設けられており,いかなる方法でも延長することはできない。この時間内において,最初は冒険者としての本来の力を取り戻すことに専念し,トリック満載のエリアを突き進みながら最深部のボスを倒す,というわけだ。パトスやインビュードアイテムのシステムは非常に新鮮で,読者の中には一体どのようなプレイフィールになるのか想像すらできない,という人もいるかもしれない。

左:サルベージを開始した直後の場面。装備スロットにはことごとくバツマークが付けられ,ステータス類には極端なペナルティが課されるなど,まるでレベル1に逆戻りしたかのような気分 中央:“真輝管”を入手し,20種類のパトスを一つずつ解除していく。周囲のメンバーも含め,どういった順番でパトスを分配するかが鍵だ 右:サルベージに挑戦する都度,アサルト用の“作戦戦績”が必要となる。アサルトを定期的にこなしながら,たまにサルベージに挑戦,といった遊び方が一般的になるだろう


 ここまでの苦難を乗り越えた先にある報酬面についてだが,現時点ではとりあえずジョブ別に分けられた防具シリーズが,5種類明らかになっている。これに関しては,ゲーム内で直接ステータスを確認できるので詳細説明は控えるが,驚くほど高性能の装備品が用意されている。例えば“リフレッシュ”“リジェネ”“ファストキャスト効果アップ”“移動速度アップ”をはじめ,大幅なステータスブーストやコンビネーション効果が散りばめられている。
 これまで冒険者の最終目標の一つであった“レリック装束”や“免罪装備”を,明らかに上回っているものも少なくない,と言えばどれだけ凄いのかお分かりいただけるだろうか。

 なお,舞台となる“アルザダール海底遺跡群”は,サルベージの実装と同時にエリア拡張がなされている。現在はこの場所から,「ゼオルム遺構」「アラパゴ遺構」「バフラウ遺構」「銀海遺構」の,サルベージ用の各エリアへとつながっている。そしてここには“ナイズル島監視哨”という,“アトルガン白門”からの新たなウェイポイントも設けられている。この監視哨は比較的簡単に開通できるので,折を見て一度訪れておくのがよいだろう。

左:アサルトとは,アトルガン皇国から指示された作戦を遂行するというもの。戦闘が一切ないタイプもあるなどバリエーションが豊富で,「アトルガンの秘宝」を代表する優れたコンテンツだ 中央:報酬アイテムを見て,あまりの性能の高さに驚いた人も多いのではないだろうか。今後しばらくは,冒険者にとっての最大の目標の一つになるだろう 右:このようなウェイポイントは,アトルガン地方に計6か所開通している。サルベージのみならず,アサルトやレベリングをはじめとした,あらゆる冒険の移動時に重宝するのだ


■各ジョブがどのパトスを解除すれば「働ける」のか?
■インビュードアイテムの分配方法がサルベージ攻略の鍵

サルベージの開始直後は,なんと全員が丸腰という状態。前衛/後衛関係なしに,寄ってたかってポカポカ叩いてるのは,なんともいえず不思議な光景だ
 基本的なゲームシステムの説明は以上である。続いて,実際にサルベージに挑戦した感触などを,ざっくりとお伝えしていこう。
 サルベージの開始直後は全員裸同然というのは先述した通りだが,これはやはり強烈なインパクトがある。この状態で唯一できる戦闘行動は,ただひたすら素手で殴り続けることだけ。たとえ冒険者が必死でも,客観的にはなかなか微笑ましい戦闘光景が,序盤では繰り広げられるのだ。

 冒険者はパトスによってあらゆる能力が制限されているものの,序盤に登場するモンスターの強さも相応レベルに抑えられているので,多少は気が楽だ。とはいえ仮に複数のモンスターに見つかってしてしまうと,有効な対処法は逃走以外にないため,たちまち阿鼻叫喚となる。そういった苦労の末にモンスターを倒すと,多くの場合において“***の真輝管”というアイテムをドロップするだろう。これがインビュードアイテムで,説明欄を見ると,どのパトスに対応しているのかが記されている。

 ドロップしたこのインビュードアイテムを,最も有効活用できるのは一体誰か? サルベージの攻略中は,常にこの判断の必要に迫られる。例えば前衛ジョブにとっては“武器”,後衛ジョブにとっては“呪文”の優先順位が高いのは,容易に想像できるだろう。
 しかし中には意外なパターンもあり,狩人は“遠隔武器”さえ解除すれば,たとえ通常武器が無くとも最低限の活動ができる。もっとユニークなのはモンクで,格闘スキルを持っていることから,たとえ開始直後の素手の状態でも,ほかのジョブと比べてダントツの戦闘力を発揮するのだ。このインビュードアイテムという新たな基準で考えると,いままで見慣れてきたはずのジョブの違った面があらわになるのが面白い。

 最初は文字通り丸腰だった冒険者達も,少しずつ本来の力を取り戻していく。また,パトスが解除されると戦いやすくなるため,チーム全体としての戦闘力は加速度的に高まっていくのだ。サルベージ開始直後がどん底の状態だっただけに,通常通りの活動ができるようになったときの喜びはひとしおである。

左:序盤は戦術の幅が狭く,たった1リンクで大惨事となりかねない。薬品類や“呪符リレイズ”など,パトスに関係なく使えるアイテムはあらかじめ用意しておきたい 中央:パトスを解除するための“真輝管”は,どれも似たような名前なので判別がつきづらい。アイテムの説明欄を見て,自分に必要なものかどうか見極めよう 右:パトスを解除し,少しずつ本来の力を取り戻していく。まるで,レベル1から75まで急速に駆け上がっていくかのような,不思議な感触だ


 とはいえ,サルベージの最終目標はパトスを解除することではなく,むしろここからが本番ともいえる。このエリア内部は,いくつかの層に分けられた構造になっており,一方通行のワープによって順に移動していく。そして各層に張り巡らされた仕掛けを乗り越えつつ,最深部にて待ち受けるボスを倒さねばならないのだ。

 これらの仕掛けは,かなり手強い印象を受ける。参考までに,筆者が実際に遭遇した例を挙げておこう。ある場所に,機械のギアらしきモンスターがいたので近づいてみたところ,こちらを見つけるやいなや転移魔法(テレポ)でどこかへ消え去ってしまった。その後,さらに進んだ場所にいた,機械のような巨大なモンスター(もしかするとボスかもしれない)と戦ったところ,こちらにはまるで勝てる気がしなかった。筆者が察するに,この両者の間には何らかの因果関係があるのかもしれないが,一体どのように対処すればよいのだろうか?

 また別の場所では,地面をターゲットできる意味深なポイントも確認できた。このような場合,いままでの例で考えると,特別なアイテムをトレードしてノートリアスモンスター(NM)を出現させる仕掛けなのかもしれないが,一体そのアイテムが何なのかもさっぱり分からない。現時点では,これらの仕掛けについて全体の半分も把握していない気がする。

 しかし少なくとも,インビュードアイテムの分配をいかに手早く行うかは,サルベージ攻略の重要なポイントの一つだと感じた。とくに中盤以降では,時間あたりにドロップするインビュードアイテムはかなりの数になる。ここで分配に手間取ってしまうと,なかなか各メンバーにアイテムが行き渡らず,ひいてはチーム全体の戦闘力が底上げされないのだ。サルベージにおける100分という制限時間はかなりキツいため,これによるタイムロスの影響はそれなりに大きい。

 したがって,インビュードアイテムの分配については,事前に大まかな方針を相談しておくといいだろう。そのうえで,実際にドロップしたときにお互い声を掛け合って臨機応変に対応すると,分配作業は大分スムースに運ぶはずだ。

 もう一つ,各メンバーはできる範囲内で積極的にチームをサポートする,というのも大事なポイントである。実際に筆者が接した中では,とくに後衛系のジョブは“呪文”のパトスを解除するまではやることが何もない,と思ってしまう人は結構いたようだ。確かに呪文の詠唱はできないが,上述のアイテム分配をサポートする役割にはうってつけといえる。ほかにも,余ったインビュードアイテムや“ハイポーション”といった薬品類を,バザー販売するのもチームにとって大いに助かるだろう(通常のトレードよりも手早く受け渡しができる)。

 ここで大切なのは,各ジョブが最も活躍できるタイミングがそれぞれ異なる,というのを知ることだろう。そしてそのタイミングがいつ訪れるのかを認識したうえで,現在の自分はチームにどのような形で貢献できるのか,というのを意識することだ。これらを各メンバーが念頭に置くだけで,サルベージの攻略は大分サクサクと進むはずだ。

左:敵は頻繁に宝箱をドロップするが,その中にはテンポラリ属性の回復ポーションなどが複数入っている。とくに序盤では重宝するので,積極的に確保しておこう 中央:エリアの内部は複数の層に分かれており,このようなワープ装置を用いて移動する。各層における仕掛けは多く,まだ全貌を把握するには程遠い状態だ 右:それまでかなり苦労するだけに,キーとなるパトスを解除して一人前に動けるようになるととても嬉しい。あとは突き進んでボスを目指すのみだ


■自分自身の手で探索する面白さを満喫してほしい

かなりマレにだが,装備品のパーツもドロップする。これらを複数集め,さらに素材アイテムを組み合わせて鍛えることで,最終的な報酬品を得られる仕組みのようだ
 実際にサルベージに触れたプレイヤーは,サルベージがこれまで以上にチャレンジングなコンテンツであることを理解しただろう。このサルベージが,ヴァナ・ディールの世界に与える影響面について考えてみたい。

 まず評価すべきは,本作における新しい遊び方を提供していることだ。MMORPGである以上,基本的にキャラクターは成長し続けていくわけで,それに見合う新たな冒険の舞台を随時実装しなければならない。つまり,速度の違いはあれどもパワーインフレの流れは避けられず,これが長期運営を続けるMMORPGタイトルにとって,大きな懸念材料の一つとなって次第にのしかかって来るのだ。
 そしてタイトルによってはこの問題に対し,より強力なモンスターを,そしてより強力なアイテムを頻繁に実装し,その結果,既存コンテンツにおけるゲームバランスが崩壊してしまうこともある。

 しかし本作では,上述のような強さの上限を引き上げる安易な方法を選ばず,パトスという独創的なアイデアによって活路を見出している。かつてプロマシアミッションにおける“レベル制限エリア”で同様のチャレンジを行っていたが,サルベージはこれと比べて,準備段階の手間の量がまったく異なる。“ナイズル島監視哨”による移動サポートなど,人数と“謎の証文”さえ揃えばたった10〜20分程度でサルベージに挑戦できる環境が,しっかりと整えられているのだ。

 “謎の証文”の入手に,アサルトによる作戦戦績が必要となることから,サルベージがヴァナ・ディールの経済面へ与える影響についても,今後は要注目となりそうだ。サルベージの挑戦時に用いるアサルトの作戦戦績は,ご存じのように装備品とのトレードにも用いられる。サーバーによって相場は多少異なるが,原稿執筆時点における“作戦戦績2000”は,プレイヤー間の装備品の取引き価格で約10万ギルに相当する。しかし今後サルベージが盛り上がれば,装備品の供給量が減ることで,この相場価格が緩やかに上昇する可能性はあるだろう。となると,これを見込んだアサルトによる金策活動も期待できそうだ。

左:サルベージはデュナミスやリンバスとは違い,単独の集団でエリアを独り占めするシステムではない。エリアの奪い合いなどのトラブルは生じないので非常に助かる 中央:サルベージの報酬品が,5種類の防具シリーズのみとは考えにくい。現段階では世界中の誰もがまだ見たことのない報酬品があるのではと,期待してしまう 右:アトルガンミッションは意外と(?)易しめのゲームバランスとなっている。未経験だという人は,この機会に挑戦してみてはどうだろうか


 サルベージのゲームバランス面については,まだ実装後間もないことから,この時点で評価を下すのは早計である。「制限時間が厳しい」「トレジャーがなかなかドロップされない」といった意見もあるかもしないが,プレイヤー達が慣れてくることで今後印象は大きく変わっていくだろう。
 いまのサルベージの状況は,2004年2月にデュナミスが実装された直後の頃と,非常によく似ている。実装直後のデュナミスを体験した人の中には,「なんだこれは!」と驚かされた人も多かっただろう。しかし現在のデュナミスは,見ての通り本作におけるメインコンテンツの一つとして完全に定着している。

 ちなみに筆者が初めてサルベージに挑戦したときは,自分自身も含めてパトスなどのシステムをあまり理解していなかったため,壊滅を繰り返した末,ほとんど満足に冒険ができなかった。しかし5〜6回も経験する頃には,コンスタントにボスがいる最終層のエリアまで到達できるようになっていた。もっとも,いまだにボスは一度も倒せず,そのほかにも隠されているとおぼしきNMなども見つけられていないため,サルベージとは今後長い付き合いになりそうだ。

 だからこそ本作のプレイヤーには,いまこの時期でしか味わえない遊び方を,存分に満喫してほしい,と強く思う。情報サイトや口コミなどで攻略法が行き渡っていない中,仲間と共に手探りしながら探索を進め,自分達の手で攻略を成し遂げるというのは,ある意味MMORPGとして最も有意義な遊び方の一つである。実質,約10万ギルに相当する参加費は懐に厳しいかもしれないが,この先何年経っても忘れられない貴重な経験になるのではないだろうか。
 したがって,レベル65以上の冒険者で未経験だという人は,この年末年始にぜひ一度はサルベージに触れてみてほしい。例えばLSイベントとして挑戦すれば,(恐らくは最初の時点で)大きく盛り上がることは保証しよう。(ライター:川崎政一郎)

左:楽しむための最大の秘訣は,できる範囲内で積極的にサポートすることかもしれない。パトスを解除していない状態でもチームに貢献でき,同時に主催者の負担も軽減できるのだ 中央:デュナミスの実装直後はいろんな意味で凄まじかったが,しかしそれはそれでユニークな側面もあった。現在のサルベージもまた,手探り感覚によるプレイを満喫してほしい 右:処理問題で半分破綻しているビシージと比較して,サルベージのシステム面はよく出来ている。これから長い目で見守っていきたいコンテンツだ

ファイナルファンタジーXI
■開発元:スクウェア・エニックス
■発売元:スクウェア・エニックス
■発売日:2002/11/07
■価格:オープン
→公式サイトは「こちら」
ファイナルファンタジーXI ジラートの幻影
■開発元:スクウェア・エニックス
■発売元:スクウェア・エニックス
■発売日:2003/04/17
■価格:オープンプライス
→公式サイトは「こちら」
ファイナルファンタジーXI プロマシアの呪縛
■開発元:スクウェア・エニックス
■発売元:スクウェア・エニックス
■発売日:2004/09/16
■価格:オープン
→公式サイトは「こちら」
ファイナルファンタジーXI アトルガンの秘宝
■開発元:N/A
■発売元:スクウェア・エニックス
■発売日:2006/04/20
■価格:オープンプライス
→公式サイトは「こちら」

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