世界設定が明かされていくのはSAGA 6以降? 「エミル・クロニクル・オンライン」サービス1周年を記念した「ECO祭」
■嘉陽愛子さん,ECO放送局などキャスト揃い踏み
先週末の12月2日(土),東京は渋谷のクラブWOMB(ウーム)にプレイヤー400人を集めて,MMORPG「エミル・クロニクル・オンライン」(以下,ECO)のサービス1周年記念イベント「ECO祭」が開催された。ミニコンサートやアイテム販売,今後の施策発表などを核とするイベントの内容をお伝えしよう。
催し物のトップバッターとなったのは,ECOのイメージパーソナリティ嘉陽愛子さんのミニコンサート。いつものようにあでやかな白の衣装でステージに登場した嘉陽さんは,「Hold on to love」と「☆HOME MADE STAR☆」,すなわちECOの新旧イメージソングを披露する。とくに前者について,ECOのここまでの歩みと自身を重ねつつ,嘉陽さんは「この曲を通して,ECOは私にとってスペシャルな存在になりました」と語った。 ステージには続いて,ECO制作担当の岩田容賢氏,宣伝担当の山本征幸氏,小島幸博氏,そしてECO放送局のパーソナリティ植田佳奈さん,原田ひとみさん,松来未祐さんが登場。さらにガンホー ECO開発担当の浅間達雄氏,宣伝担当 平原智子氏と,着ぐるみのタイニーも加わって,2005年8月19日のオープンβテスト開始から,ECO放送局の開始,ECOケットへの協賛,外伝コミック「デルタサーガ」の連載開始など,ここまでのECOをスライドとともに振り返っていく。 そんなトークの締めくくりは「ハッピー・バースデー」の合唱だ。壇上には大きなローソクが1本立てられたケーキが運ばれ,照明を落としてミラーボールの明かりに照らされた場内に,「ハッピー・バースデー ディア ECO〜♪」の歌声が流れる。ステージの女性陣がローソクの火を吹き消したところでコーナーが終了した。
ECOに関係する主要人物がほぼ揃ったところで次に催されたのは,ECO放送局の出張版。「この一年を振り返って」「2007年の抱負」といった題に,出場者が絵や文字で回答を書き,ちょっとした説明でトークを進めるという流れは,ECOケットにおけるステージイベントのときと同じだ。 制作担当 岩田氏が,前者のお題に対して「気合い」,後者には「倒れるときは前のめり」と答え,宣伝担当の山本氏は山本氏で,イベントの準備もあってこのところドリンク剤を1日に5本ずつ飲んでいたという近況を語るなど,相変わらず聞いていて心配になる感じのネタトークが繰り広げられていた。以前ECOケットのステージで新婚ネタを披露した制作担当 浅間氏の回答は,前者に対して「人生いろいろ」,後者に対して「カタルシス」と,これまた私生活を絡めたかのように,微妙な含みを持たせた話題を披露した。 ちなみに植田佳奈さんは前者に対して「(ECOをプレイするためMacintoshから)ウィンドウズになりました」と回答,後者には「飛空庭につれこみます」と,いささかきわどく聞こえる答えを書いた。ちなみにこれは,原田ひとみさんの飛空庭に招待されたとき,うらやましくなったので自分も持ちたいという意味だそうだ。その原田さんは得意の絵で「走馬灯のようだった」「ハートフル」というメッセージを表現し,このコーナーの締めくくりは過去の番組内で披露されたと思しき,原田“画伯”の作品を次々と披露するスライド上映となった。 ECO放送局終了後は,レアグッズが当たる「じゃんけんタイニー」大会。ステージと来場者の間でじゃんけんをして,勝ち残った人に賞品が贈られるという,おなじみの内容だ。1回戦は緑のネコマタが入った「ECOビギナーズパッケージ(ファミマ限定)」が10名に,2回戦ではECOプレイチケット(第一弾〜第四弾コンプリートセット)が1名に贈られた。 そうした,来場者プレゼント企画の終了後は休憩時間を挟んで,いよいよ今回の目玉というべき,ECOの今後に関するステージ発表に入っていく。その前に,休憩のタイミングで来場者がどっと動いた物販要素について,少しく触れておこう。
■カプセル販売機とプレイチケット先行発売が人気
このイベントでは招待券と引き換えに,アニバーサリーステッカーやドリンクチケットを含むセット一式が参加者に配布された。ちなみにドリンクチケットはソフトドリンク7種から選べるものだったが,メニューは「ネコマタ(藍)が入れてくれたお茶」(ウーロン茶),「タイニーのポケポケウォーター」(ジンジャーエール)といった,ゲームキャラクター(+制作担当 岩田氏)に関係する由来が付けられており,例えば来場者が「リザポ(リザレクションポーション。内容はオレンジジュース)一つ」などと注文する光景が見られた。 前述のセットの中にはコインが1枚入っており,そのコインを使うと会場左端に設置された「リアルガチャマシーン」に1度だけ挑戦できる。出てくるカプセルの中には,アイテムコードと画像が印刷された紙が収められており,それをゲーム内のアイテム交換機に入力することで,例えばセットものなら構成アイテムすべてが入手できるようになっている。 その中身だが,目玉はインターネットカフェでのイベントや各種賞品としてのみ入手可能だった装備品「ティタのアンクレット」や,動物知識があっても入手が非常に困難なペット「バウバウ」など。レアアイテムが当たったと思しき男性が小さくガッツポーズを取る姿なども見られた。 そのほかのセット(つまりハズレ)でも,体操服の合成材料となるレアアイテム「白いTシャツ」や,プレイチケット内の文字Tシャツすべてを含む各種Tシャツセットには「レアアイテム以外ではあれがよかった」などといった意見もあり,ほかにECOくじやプレイチケットなどの有料くじだけで入手できる各種スキル石のセットなどもあった。 ちなみにスキル石セットの内容は,ホーリーフェザー,サンダークランク,ハイパーチャージ,ゴー,ダークブレイズ,バードケージの攻撃スキルメインとなっている。欲を言えばスケッチのスキル石など,もう少々遊び心のあるものも欲しかったところだが,実際に攻撃に役立つ石が多く実用的な取り合わせだ。セットものはコードを打ち込んだ場合,一気に所持数が増える。消費アイテムである攻撃スキル石は,倉庫を圧迫しないのも利点かもしれない。
ガチャ以外の物販には,1階の入口近くに設置された台で係員が対応,ECO関連の音楽CDや,アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」とのコラボレーション商品を含むグッズ類が多く並べられた。 購入の列には女性も多く見られ,ステージの休憩時間に販売が開始されたものの,階段から2階にあるステージスペースまで人が続くほどの長蛇の列が出来て,これにはスタッフ側も嬉しい悲鳴状態だったようだ。ただし,この列がステージ発表時間に入ってもついに解消されなかったのは,さすがに主催側としては誤算だったかもしれない。 売れ筋のアイテムについて触れておくと,やはり1週間先行販売のアイテムチケットが人気で,1ボックス(100パック入り)を躊躇なく購入する来場者の姿もちらほら見かけた。もっとも,これの枚数確認に時間がかかり,販売時間が長くなってしまったという側面もあるようだ。 なおアイテムチケットには,今回もルルイエ,ベリアルの着ている衣装や特殊な髪型(縦ロールか長いおさげから選択)ができる「ゴージャス紹介状」,両手装備品の「ねこねこハンド」などレアアイテムが多く含まれているが,パッケージイラストに物語性が感じられるものが多く,タタラベとネコマタ(藍)が仲良くすする「ECO回復ラーメン」や,清楚なドルイドがイケメン傭兵に守られている「伝説の召喚魔法カード(傭兵)」など,ファンなら絵柄だけでも楽しめるものとなっていた。 このプレイチケット第5弾の通常販売は,12月8日から全国のゲーマーズをはじめとする購入可能店舗および,Web直販で行われるので,ぜひチェックしてみよう。
そのほか,新規プレイヤー用の60DAYSチケットなどが封入された「アニバ!BOX」も,ティタ,マーシャ,エミルらの装備品やライドペットなど豪華な特典アイテムゆえか人気が高かったようだ。もっとも今回のイベントに限って言えば,すでにECOのアカウントを持っている人のみが対象であり,新規プレイ用チケット部分がお買い得なアイテムというのは,少々割高感があったのも事実。そのあたりも考慮し,継続プレイヤーをターゲットとするにふさわしい商品構成を考えるのが理想だったかもしれない。
■ECOで「生きる」をコンセプトとしたコラボレーション
休憩を挟んで開始されたプレゼンテーションでは,12月8日のSAGA 5アップデートに加えて,2007年の見通しが語られた。まずは新SAGA開始直前のECOイベントでは恒例の除幕式だ。白い布を取り去ると,キャンバスにあしらわれた羽々キロさんの新規描き下ろしイメージイラストが現れる。絵柄の中身について触れておくと,ドミニオンのルルイエをメインとした大胆な構図の中に,タイニーやベリアル達がエレキテルらしきロボットを作っているところが描かれている。SAGA 5の舞台となる工房都市「トンカ」に「みんなが集まる」という意味と,職人の街トンカの「創る」というイメージが表現されているとのことで,新背負い魔であるネコマタの茜や,第4弾ECOくじで登場したヒヨコなども描かれている。
キービジュアル発表の次は宣伝担当 山本氏から,今後のECO関連商品の展開予定や,タイアップ企画などの発表があった。 まずは12月8日,SAGA 5の実装に合わせて発売される「アニバーサリーチャンス・ECOくじ」。これは以前からあった,1回500円でゲーム内で使用できる各種アイテムが当たる「ECOくじ」の1周年記念豪華バージョンで,ライドペット系でトナカイ仕様のバウが引く「犬ぞり(クリスマス)」,マリオネストの公式イラストと同じ髪型にできる「おてんば紹介状」,頭装備の「もこもこ耳あて(白)」,「古風なメイドキャップ」など,新規アイテム16種類を含め,力の入ったアイテム19種類が当たる。 そのほか,12月1日からは全国のECO公認ネットカフェにおいて「IPスルー」が展開される。これは,該当するネットカフェのPCでECOをプレイすると,プレイ料金が無料になるというもの(ネットカフェ自体の利用料金は別)。さらに12月8日から2007年1月15日にかけては「アイテムゲットキャンペーン」も行われ,プレイ時間に応じて「ティタのアンクレット」「巴の眼帯」といった超レアアイテムが入手できる抽選に,応募できるようになっている。
「アニバーサリーチャンス・ECOくじ」で当たるアイテムの例。「犬ぞり&ツリー」(上段左),「おてんば紹介状」(上段中),「ミニオーバーオール(黒)」(上段右),「もこもこ耳あて(白)」(下段左),「ざっくりニット帽」(下段中)
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続いては新たなタイアップの話題だ。ECOではこれまでにも,Pizza Hut(宅配ピザ)やMARS(Tシャツブランド)などとタイアップを実施してきたが,今度は「お姫様になった気分で素直に可愛さが喜べる」をコンセプトとしたロリータ系ファッションブランド「BABY,THE STARS SHINE BRIGHT」(以下BABY)との提携が決まった。 もともと,時代や地域を選ばないバラエティ豊かな装備と愛らしいキャラクターが魅力のECOに,マッチしたBABYの衣装や小物がゲーム内で再現されることになる。ステージ上には二人のモデルさんが登場,BABYデザインのシックなブラウスと,フリルとリボンたっぷりのワンピース,ふわふわしたトイプードル型のかばんなども実物で紹介され,来場者からは歓声が上がっていた。そして山本氏いわく,現在はとりあえずこうしたブランドアイテムのゲーム内への反映だけが行われているが,ゆくゆくはゲーム内でオリジナルブランドを設立,そのブランド商品をオフラインで販売するとか,四季に応じた多彩な装備品を用意する,とかいった構想もあるという。 また,ECOケットで発表されたゲームとコミックの連動施策についても,続報が伝えられた。「少年ブラッド」で連載され,プレイヤーが選択または協力した内容が以後のストーリーを左右するインタラクティブコミック「エミル・クロニクル・オンライン外伝 デルタサーガ」の単行本発売についてだ。 単行本には,少年ブラッド連載時のものだけでなく,「選ばれなかった選択肢」,つまりもし選ばれていたら分岐したはずの「もう一つのデルタサーガ」や,デルタサーガのメイキングが描かれた「デルタサーガができるまで」を収録。さらに,購入者のみが参加できる特別ゲーム内イベントのパスワードも特典として付属する。発売日は12月2日。価格は588円(税込)のB6判で,発行はソフトバンククリエイティブだ。 なお,少年ブラッドはすでに休刊が決まっているものの,デルタサーガの連載は,そのWeb版であるWebブラッドで継続される。今後はインターネットメディア同士という新たな関係を利して,より密接な連携を図っていくとのことだ。
マーケティング施策の最後に語られたのは,ECOの来年のコンセプト。2005年は「癒す」,2006年は「暮らす」,と続いたECOの,2007年の新コンセプトは「生きる」である。みんなで楽しくにぎやかに生き,優しさに溢れた世界を目指すという意味で,今後はこのキーワードに応じた多方面の展開がなされていくようだ。
■SAGA 5「創生と伝承の島」と今後のECO
マーケティング面のプレゼンテーションに続いては,12月8日に行われるSAGA 5のアップデートの情報および今後実装予定のゲームシステムについて,制作担当 岩田氏より説明があった。2006年11月27日の記事でお伝えしたように,SAGA 5「創生と伝承の島」では,ECO世界で唯一飛空庭を作れる工房都市,職人の街トンカと,光の塔の15階から最上階までが追加される。 光の塔上層ではハーピーをはじめとして,ここまでに姿が明かされてこなかった生物型モンスターが,少女型1種,飛行型2種で計3種類導入される。そしてこれらは,高レベルキャラクターでも討伐が難しい凶悪なものばかりだという。 今回最も大きな新規導入要素となる工房都市トンカでは,プレイヤーが最も高い関心を寄せているであろう飛空庭の改造について,シーンごとの画像が公開された。トンカの大工場で飛空庭を改造すると,発着場のない北を除く各都市に飛空庭でダイレクトに移動可能となる。改造を施すと飛空庭の外観が変化し,ブースターが装着されて移動シーンのムービーに反映されるのだが,これには画像にあるような「ロケットタイプ」のみならず「なんじゃこりゃ?」と驚愕するような外観のもの,ECOらしい可愛いタイプも存在するという。 と,ここまでがSAGA 5第一弾,12月8日に実装される内容となるが,岩田氏はさらにその先,SAGA 5の第2弾アップデートについても語った。その中でも注目すべきは「モンスタースタンプシステム」だろう。 これはモンスター達に新たなドロップアイテムとして「スタンプ」が設定され,これを集めて専用のスタンプ帳に「押す」(この時点でアイテムとしてのスタンプは消滅する)ことでスタンプ帳を埋めていき,項目ごと,あるいはフルコンプリートを達成すると,アイテムなどの報酬がもらえるのだという。 スタンプ帳には「プルルスタンプ」「アーチンスタンプ」などモンスターごとの分類を含めて,10種類程度の項目があり,それぞれの項目をいっぱいにするごとにアイテム入手のチャンスが訪れる。また,スタンプは,押す前ならアイテムとしてほかのプレイヤーと交換可能なのも重要な点だ。モンスターに新たなドロップアイテムを設定するのは,一種の過疎地域対策でもあるが,岩田氏としてはプレイヤー同士の交換を通して,コンプリートする楽しみに意を注いでもらいたい考えのようだ。 韓国Nexonがサービス予定のMOシューティング「Nanaimo」でも,コインホルダーという考え方が導入されていたが,ECOの仕様として見るならば,飛空庭に続いてインベントリを圧迫しないアイテムコレクトの実現手法と捉えるべきだろう。
SAGA 5の実装内容説明に続いて,今度は浅間氏から,ECO1周年のアニバーサリーイベントについて告知があった。アニバーサリーイベントとは,後述のECO1周年を記念して行われるゲーム内イベント。そちらと,2006年9月26日より3回にわたって実施されてきたダンプティーアイランドのイベント,さらにタイニーアイランドが連動して,SAGA 5と同じく12月8日にスタートする。開催期間は12月22日の10:00AMまでだ。 まずダンプティーアイランドでは,これまでは何度聞いてもダンプティー達が「アレ」としか答えてくれなかったものがついに完成する。連続イベントのフィナーレとなる「アレ」とは,シンボルのフォークを手にしたダンプティー像。ダンプティーアイランドの各所に建てられるが,なんと,これまで何の動きも見せなかったタイニーアイランドでも「あれ」(注:像と思われる)が同時に完成してしまう。そしてただでさえ仲の良くない両者が互いの像を見比べた結果,さらに関係は悪化,互いに悪口を言うようになってしまうというのだ。 プレイヤーの使命は,このダンプティー達とタイニー達の不幸な関係を修復すること。現状を憂えた1匹のタイニーの依頼を受け,なぜダンプティー達やタイニー達が像を作っていたのかを,探っていくことになるという。 ちなみに,この一連のダンプティーイベントは,新たなイベント企画の会議の際,女性スタッフが「ダンプティーが可愛い」と発言したことが発端で,開発のヘッドロックがそれをそのまま採用した,といった裏話なども語られたが,さらに,その内容はアニバーサリーイベントにも関わってくるという。
一方アニバーサリーイベントだが,まずアクロニア大陸の各地に巨大な「アニバーサリーモニュメント」が出現。そしてアニバーサリー記念アイテムとして,パーティでかぶるようなとんがり帽にタイニーの耳が付いた頭装備2種と,タイニーの胸元についているものに似た赤いリボン付きのブローチなどが入手できる。 そのほか,夢の世界であるタイニーアイランドに,エミルをはじめとするECO世界の有名人達や,これまで各種イベントで重要な役割を果たしてきたNPC達が集合することになる。タイニーアイランドを訪れたプレイヤーキャラクターが,彼らの関係してきたイベントやクエストをクリアしていると,「思い出星(イベント)」がもらえ,これを集めると初回以後はなかなか難しいスキルリセットとステータスリセットが無料でできるほか,スキルポイントやアイテムなどを入手できる特典も用意されているという。
■SAGA 6以降の要素と,ますます広がっていく世界
さて,ステージ発表はまだまだ続く。アニバーサリーイベントについての説明が終わったところで,スクリーンにはゲーム内でまだ見たことのないエリアが映し出された。 青く広がる空の下,地平には木々の梢が並ぶ森が見え,手前に向かって伸びる灰色の地面は,画面の左端で崖のように落ち込んで,先が見えなくなっている。さらに画面の右側には,通気孔ないし装飾用に見える穴から,美しく巨大な白い羽がのぞく,丸みを帯びた奇妙な遺跡らしきものが見えていた。 また別の画面では,垂直の崖に挟まれた狭い谷のような場所から,その先に広がる森が見えており,それらの写真の脇に描かれた文字はといえば「SAGA 6 マイマイ島」である。 そもそもマイマイとは,2006年のバレンタインイベントでトンカ出身のNPCニッコロが語り,後のホワイトデーイベント時に記憶喪失ながら無事が確認された青年「酒場のマドンナの恋人」がかつて向かったらしいという,謎の遺跡の名前だ。トンカの者なら誰もが知っているが,中央の住人は誰一人として知らないという,いわくつきの遺跡である。もしや,白い翼がはみ出した奇怪な遺跡が,そのマイマイ遺跡なのだろうか? この画面については岩田氏からまだ極秘との話があって,会場での撮影写真すらお見せできないのが申し訳ないのだが,いったいどのようなマップになるのだろうか? 2007年以後,SAGA 6以降の展開に期待したいところだ。
こうした,SAGA 6要素のチラ見せに加えて,プレイヤーから要望の声が高いといわれる,タイタニア,ドミニオン,エミル3種族にまつわるストーリーに関しても,今後の予定が少しだけ語られた。「プレイヤーさんから指摘されて,最近は『ああ,そんな話もあったねえ』みたいな感じでしたが」というボケで笑いを取りつつ,岩田氏はここまでの実情を語った。いわく,3種族の背景ストーリーに関しては,まだ,キーとなるマップが実装されていないために進展していないのだという。イメージボードでは公開されている「天まで続く塔」などがそれに当たり,明確な実装タイミングこそ語られなかったものの,エミル世界やタイタニア/ドミニオンなど各種族の世界にまつわる要素が,いろいろ構想されているようだ。過去に何があったのか,誰がなんのためにそれらの建物を作ったのか,滅びた前文明やその遺産とは? そうしたアクロニアの歴史も含め,各種族のストーリーをつなげていく展開に「できたらいいな」というのが岩田氏の弁だった。 ストーリーとマップ以外の構想内容としては,羽々キロ氏のイラスト付きで特殊職業「ブリーダー」が発表された。ペットを育成し,ペットと共に戦う職業で,かなり特化したスキルを持つようだ。まだ構想段階とのことだったが,イメージイラストではバウバウに命令を出すキャラクターの姿や,これまでペットとしては見たことのない,卵の殻を付けた赤ん坊のドラゴンも見られた。イラストまで上がっているので早く実装したいものの,現在は新たな系統として確立させるのか,それとも転職に交えていくのかといった部分を調整中とのこと。今後の報告を待ちたい。 さて,ブリーダーはまだ構想段階だが,近く実装が確定しているものもある。SAGA 5内で実装される新背負い魔「シールダー」,そしてなお未確定だが「メダマー」の実装も,シールダーの次に予定されているという。 公式サイトにある背負い魔のイラスト/解説に掲載されており,例えば今回も来場者が司会側より先にメダマーの名称を答えるなど,ファンの思い入れも深い2体。人気の高いネコマタやブースターなどと同じ“背負い魔”であることを考えると,上記2種も活躍が期待できそうだ。そのほか,迷路状のダンジョンが生成され,気の合う仲間達と心行くまで遊べるインスタンスダンジョンにも変更が予定されており,プレイヤーが自らカスタマイズできる機能なども検討中とのこと。加えて,プレイヤー同士のコミニュティーシステムもさらに進化させていきたいと,岩田氏,山本氏らスタッフ一同が熱く語った。
ゲームの構想や実装予定の説明が終わったところで,イベントもフィナーレを迎える。そして,そのフィナーレを飾るべく,ここで特別ゲストが登場した。ECOのBGM全体の中でも人気が高く,携帯サイトでも真っ先に着メロになっていたスノップ雪原のBGMなど2曲を,アレンジしたfishtoneの中坪淳彦氏が,「The World of curiocity IMGROOVE Mix」「Happy Merry Feeling BOG BRASS mix」の2曲をその場で演奏する。かくして大喝采のうちにステージは終了した。
ステージが終了した後も,壁際に並んだECOの展示物を見る人や,休憩時間にグッズを買えなかった人が入口脇の物販コーナーに並ぶ姿が見られ,「隣の人のサーバーはぜひ聞いて帰ってください」と司会の山本氏が言ったこともあってか,会場内でプレイヤー同士が集まって,話をする姿も多く見られた。 そうしたプレイヤーの様子は,ゲーム関連各メディアやガンホー広報が取材していたが,この日はNHKの取材陣も訪れ,物販に並んだ人達に,オンラインゲームを始めてどのくらい経つか,オンラインゲームで遊ぶ時間はどのくらいか,どれくらい楽しんでいるか,ゲーム内での職業は何かといった質問を浴びせる場面も見られた。
気づけばSAGA 5アップデートの12月8日ももう目前。その時々のイベントステージを通して明かされた構想を,ここまで着実に実現してきたECOであり,SAGA 4まででほぼ予定されたゲーム内容を実現したのち,周辺世界を広げつつもむしろストーリーが根幹部分へ向かう(戻る?)というのも,目が離せない展開である。ECOの世界ですでに“生きて”いるプレイヤー達ではあるのだが,その世界を真に理解するのはむしろこれからなのかもしれない……。そんなECOの回顧と展望が二つながら示された,今回のイベントだった。(ライター:美緒)
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