女性向けゲーム「パレドゥレーヌ」 発売記念イベント2連発。「トーク&miniライブ」と「淑女のお茶会」レポート
■秋葉原でのイベントはなんと全プレに
女性向けPCゲーム「パレドゥレーヌ」の発売を記念し,工画堂スタジオは11月18日および26日に,趣向の異なる2種類のイベントを相次いで開催した。この記事では,両イベントの模様を順にお伝えしたい。
まずは11月18日に秋葉原のアソビットゲームシティ6Fイベントフロアにて開催された「鈴木達央,岡本寛志 トーク&miniライブ」から。会場には40名前後の女性ファンが集まり,なかにはこのイベントのために名古屋や福岡からわざわざ上京した人や,発売からわずか1週間で複数あるエンディングの大半をクリアした人もいたようで,コアなファンの存在を物語っていた。
イベントは,声優の鈴木達央さんと岡本寛志さんの自己紹介を兼ねたトークでスタート。ゲームの進行役である執政官のヴィンフリートを演じた鈴木さんは,「(ヴィンフリートは)賢そうな眼鏡キャラで,自分とは正反対。なぜ起用されたのか自分でも不思議だったが,むしろまったく違うタイプなので楽しく演じられた」と語った。 一方の岡本さんは,自身が演じた騎士のアストラッドについて,「本来は王女の敵役に当たるはずなのに,そういうことを気にしない,自由奔放で明るいノリのキャラ」と,感想を述べていた。
続いて,イベント参加者への事前アンケートによって集められた質問に両氏が回答。「ゲーム中で印象に残ったセリフは?」という質問に対して,鈴木さんは「ヴィンフリートは,ほかのキャラと比べて圧倒的にセリフが多いので,よく覚えていない」と笑いながらも,決めゼリフを見事に再現して会場を沸かせていた。 声優両氏への質問は,ゲームや演技に関することだけにとどまらず,プライベートにまつわる内容にも及んでおり,人気の高さをうかがわせた。
ヴィンフリートのキャラクターボイスを担当した鈴木達央さん(左)と,同じくアストラッド役の岡本寛志さん(右)
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その後,本イベントの目玉の一つである「アフレコ再現」が行われた。使用された台本は,パレドゥレーヌ本編のシナリオライターである井坂春奈さんが,このイベントのために特別に書き下ろしたもの。5〜6分程度の短いものだったが,ゲーム内の雰囲気やヴィンフリートとアストラッドの関係を反映しつつ,笑いの要素も盛り込んだ内容となっていた。 演技を終えた後は,鈴木さんと岡本さんそれぞれに,井坂さんからの手紙が手渡された。岡本さんは「これ,(イベントが終わってから)自分だけで楽しんじゃダメ?」と言いながらも,熱を込めて手紙を朗読。鈴木さんは,当初予定になかったヴィンフリートのエンディングが,自身の意見によって追加され,気がつくと豪華なエンディングの用意されたキャラになった……という裏話を披露した。
続いては,イベント参加者待望のプレゼント抽選。プレゼントの内容は両氏のサイン色紙,アフレコ再現で使われた台本,イベントのためだけに作成されたタペストリーなど,ファン垂涎のレアアイテムばかりで,最初は参加者の約半数が当選する予定だった。 しかし,「せっかく参加していただいたのに,それではさびしい」という鈴木さんの提案により,急きょその場で両氏が追加のポスターと色紙にサインを入れ,参加者全員が何かしらのプレゼントをもらい,出演者と握手もできたという,ファンサービス満点の展開となった。 イベントの最後には,パレドゥレーヌのテーマソング「Rosa di Vittoria」の作詞作曲を担当した5pb.の高井ウララさんが招かれると同時に,岡本さんが同曲を熱唱。高井さんは,この曲に関して「アストラッドのピュアな部分,『純粋な愛』をイメージした」とコメント。一方,岡本さんは「素晴らしい曲だけど,歌うのはとても難しい」と感想を述べていた。
このイベントの最後に,鈴木さんと岡本さんから感想をいただいたので紹介しよう。
岡本さん: イベントで初めてゲームを知ったという人も,すでに何通りものエンディングを見たという人も,まだまだいろんな楽しみ方ができる作品だと思います。サウンドトラックも発売されていますし,12月にはドラマCDも発売されます。そうしたなかで,ユーザーのみなさんがそれぞれイメージをふくらませて,パレドゥレーヌの世界観にどっぷりと浸っていただけるといいですね。今回のイベントでは,鈴木君がいい感じに全員にプレゼントが渡せるように配慮してくれて,僕も安心したというか「ああ,よかったなあ」と思っています。
鈴木さん: 今回のイベントでは,まだプレイしていない方もいらっしゃるということなので,少しでもゲームの内容が伝わるようにと考えていました。プレゼントの件では,(予定外の提案により,スタッフの)みなさんにご迷惑をかけてしまいましたが,工画堂スタジオさんのご厚意もあって充実した内容になったと思います。今後もドラマCDの発売など,勢いの止まらないパレドゥレーヌを,これからもよろしくお願いします。
声優両氏による,入れ替わり立ち替わりのボケとツッコミ,軽快なトークで終始笑いが絶えなかった本イベント。また,全員プレゼントなどに見られるように,両氏をはじめとしたキャスト/制作スタッフのサービス精神の高さも垣間見られた。ファンサービス重視で自らの新しい市場を切り開こうとする工画堂スタジオの,意欲の表れと評すべきところだろうか。(ここまで,ライター:大陸新秩序)
■3人の騎士と過ごす,優雅な夕べのお茶会
パレドゥレーヌ発売記念イベント後編は,六本木で開かれた「シークレットファンミーティング ターブルロンドの淑女のお茶会」である。今回は工画堂スタジオ直販サイトにて,パレドゥレーヌ初回版を購入した人100名のみが参加可能な招待制イベントだ。 ステージに登場したのは,アストラッドのボイスキャストを務めた岡本寛志さん,イリヤ役の谷山紀章さん,ヴァルター役の羽多野渉さんで,声優3氏がファンから寄せられた質問に答えるコーナーや,オリジナルグッズの抽選会,ミニコンサートなどが行われた。ちなみにイベント名になっているターブルロンドとは,パレドゥレーヌの舞台となっている王国の名前である。
会場となった「A-TITTYBOO LASALA」は,ウェディングパーティなどに利用される店舗。この日も直前まで何やらおめでたい催しがあったようで,淑女のお茶会は開場予定の5:00PMを30分ほど過ぎてのスタートとなった。 PCゲームのオフラインイベントは通常,タイトル/ジャンルを問わず参加者の9割方を男性が占めるものだ。ところが今回は,対象となる作品といい,催し物の内容といい女性向けであり,招待客と数人の来場者を除きすべて女性である。ファッションにもメイクにも気合の入った約100人の“淑女達”が,お目当ての声優さんへのプレゼントなどを抱えて,いそいそと会場内に入ってくる様子は,通常のPCゲームイベントと大いに異なり,独特の迫力があった。
画面上段:左から,アストラッド役の岡本寛志さん,イリヤ役の谷山紀章さん,ヴァルター役の羽多野渉さん。いきなり金髪で登場した谷山さんを主軸とする,男性声優さんらしいノリのよいトークには,司会の桜 ふみさんも毒気を抜かれた風情だった
画面下段左:サーモンピンクで彩られた会場。新横浜がどうかは知らないが,ネットカフェなどでのイベントとは一味違う雰囲気
画面下段中,右:会場入り口付近には,オリジナルQUOカードやサウンドトラックなどが並べられた物販コーナーも設けられていた。ただし,会場の配置ゆえか雰囲気を重視した結果か,通常のイベントよりかなり遠慮がちだった
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お茶会の名にふさわしく,淑女のテーブルには紅茶が配られてイベントはスタート。司会/進行を務める,工画堂スタジオ公式パーソナリティの桜 ふみさんの紹介に続いて岡本さん,谷山さん,羽多野さんがステージに登場し,「パレドゥレーヌの自分のセリフで印象に残っているものは何ですか」「休日にしていることは?」といった,参加者から事前に寄せられた質問に声優陣が答える形でトークが展開していった。参加者達はお茶にもろくろく手をつけず,一心不乱にステージを見つめ,3人が印象に残ったセリフを再現するたびに,盛んに拍手を送っていた。
工画堂スタジオのイベントではすっかりお馴染み,司会を務める桜ふみさん。衣装のモチーフとなっている,王女フィーリアのいとこにして侍女エクレールの格好と見比べてみよう
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また,このイベントのために特別に用意された,書き下ろしシナリオによるアフレコも披露された。 パレドゥレーヌには総勢36名の騎士/領主キャラクターが登場するが,3人が演じるアストラッド,イリヤ,ヴァルターはそのなかでもとくに王女に近しい存在で,ゲーム内ではバックグラウンドや性格付けが割とはっきり描かれている。シナリオは3人の騎士が酒と食べ物を持ち寄って内緒のピクニックというシチュエーションに,それぞれのキャラクターの性格をうまく絡めた内容となっており,ゲームをプレイしていれば思わずウンウンとうなづいてしまうセリフが散りばめられていた。 某国の王子にしてターブルロンドに亡命中という設定のイリヤに対する,「制服が買えないほど貧乏なのに……」というくだりは,プレイヤーなら思わずニヤリとしたはず。また,そのキャラクターボイスを担当する谷山紀章さんの段で「フィレ肉」なる語が連発されていたのも,コアなファンの期待に応えるクローズドコミュニケーションとして,特筆すべきだろう。
若干の休憩時間を挟んで開催されたのはプレゼント抽選会。座席にはあらかじめ1〜100番の番号札が置かれており,岡本さん,谷山さん,羽多野さんがステージ上で当選番号を読み上げる。3人のサイン入り色紙10枚,先刻のミニドラマ用台本,まだ1枚ずつしか存在しないアストラッド・イリヤ・ヴァルターがプリントされたタペストリー,オリジナルサウンドトラックCDなどが次々に当選者に手渡され,物によってはその場で当選者の名前とともにサインを入れてくれるというサービスぶりだった。
その熱狂冷めやらぬうちに,岡本さんによるパレドゥレーヌのテーマソング「Rosa di Vittoria」が披露された。本タイトルは11月10日に発売されたばかりで,まだ1か月も経過していないのだが,照明を落とした会場をそっと見渡せば,岡本さんの歌に合わせてこのテーマソングを完璧に口ずさむ淑女の姿チラホラ……。ファンの愛をしかと見せていただいた。 そのほか,壇上では2007年2月発売予定のファンディスク「パレドゥロワイヤル」,12月8日発売のドラマCD(前編)「パレドゥレーヌ Platinum Disk“Rosso”」を紹介。ファンディスクは本編で活躍(?)した領主キャラクターが登場して王位争いを繰り広げるゲームが収録されているほか,7本のショートストーリーを収録。本編ではあまり日の当たらなかった,出番の少ない騎士にスポットを当てる予定とのことだ。
画面上段:タペストリーには,その場で当選者の名前を書いてくれるという,ファン垂涎のサービス付き
画面下段:今回のイベントで初めて発表された,ファンディスク「パレドゥロワイヤル」。領主の立場での王位争いゲームのほか,デスクトップアクセサリやショートストーリーが収録される予定だ
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イベント終了後には,ごく短い時間ではあるが出演者の感想を聞く機会があった。このイベントの事実上の牽引車となっていた谷山さんは「ステージと席の距離がとても近かったため,一体感のある盛り上がり方で,参加者のみなさんには満足していただけたと思います。次回への期待も抱けるような,意義あるイベントでした」と述べ,また「パレドゥレーヌは女性に喜んでもらえる要素がいっぱい詰まったゲームです。ゲーム以外への展開も可能性がある内容ですし,今後もイベントなどがあれば,我々も王子様/騎士としてのイメージを崩さないようにしつつ,ときにギャップを楽しめるようにしつつ,がんばっていきます。とにかく今後も注目してほしいタイトルですね」とコメントした。 参加者がほぼ全員女性ということもあり,お茶会イベントは全体として静かにゆるやかに進行した。ステージと客席はコメントにもあるとおり,最前列から1mあるかないかという近さゆえ,出演者の表情まではっきり見えて,ファンとしては大満足だったのではないだろうか。 パレドゥレーヌ本編は王位争いを軸に領主と騎士が織りなす「物語」である。となれば,その後のターブルロンド王国とか,騎士達の過去に注目したサイドストーリーとかを絡めたイベントなどを設定するのも比較的容易であろう。 作品自体もさることながら,周辺のマーチャンダイズや顧客サービスを絡めた近年のキャラクタービジネスを前提にしたとき,その展開余地の広さ,潜在的な需要のサイズには注目しておくべきだろう。そうした地ならし,市場開拓の第一弾として今回のイベントを捉えるならば,まずもって成功といえるのではないだろうか。(ライター:麻生ちはや)
画面左:お茶会ゆえに,紅茶とともにケーキやフルーツがテーブルに並ぶ
画面中:サイン色紙を見事当てた参加者
画面右:お茶が冷めるのも構わず,ひたすらステージを見つめる淑女のみなさま
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パレドゥレーヌ |
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■価格:通常版:6980円,初回限定版:8980円(ともに税込) |
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(C)2006 KOGADO STUDIO,INC. All rights reserved. |
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パレドゥロワイアル |
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