“インターネットユーザーの保護と健全なオンライン社会の実現”を目指す,有限責任中間法人「オンラインコンテンツ推進機構」(Initiative for Online Contents Advancement:以下,IOCA)が設立され,活動を開始した。IOCAが最初に取り組むテーマは,オンラインゲームとなる。
IOCAは,オンラインコンテンツに関する諸問題が発生する要因を把握/分析して解決策を策定していくという団体だ。オンラインコンテンツに関する秩序を確保する活動をし,インターネット利用者の保護とオンラインコンテンツの発展に寄与することで,健全なオンライン社会の実現を目指すという。 ここでいう諸問題としては,オンラインコンテンツのやりとりに関する著作権/意匠権/商標権/肖像権などの知的所有権の保護に関する問題,モラル,商習慣,犯罪などの事例が挙げられている。
IOCAには,コンテンツ部/ソリューション部/事業部/広報部の4部門があり,調査/分析から問題解決のためのシステム開発までを一貫して行う。このうちコンテンツ部には,オンラインコンテンツのジャンルごとに分けられた四つの専門部が設置されている。その内訳は以下のとおり。
・映像専門部(静止画や動画を扱う) ・Eコマース専門部(インターネットオークションを含む電子商取引を扱う) ・オンラインゲーム専門部(インターネットゲームに関する諸問題を扱う) ・モバイルコンテンツ専門部(携帯電話などで扱われるコンテンツに特化)
IOCAの具体的な活動の第一弾が,オンラインゲーム専門部による活動だ。具体的にはRMT(Real Money Trade)問題に取り組むとのことである。以下にIOCAのリリース文を引用しよう。
### 以下,リリースより ###
IOCAの具体的な活動の第一弾として,インターネットゲームに関する諸問題を扱う「オンラインゲーム専門部」が中心的に活動していきます。日本におけるオンラインゲーム市場は,運営会社が05年の68社から106社に増加,ゲーム数は同187タイトルから314タイトルへ,さらに会員登録数は同約1,942万人から約2,807万人,運営会社の総売上高は367億円から596億円と急速に拡大しています。(いずれも「オンラインゲームフォーラム」調べ)
こうした拡大基調にあって,社会問題化しつつあるのがゲーム内で使われている「通貨」や「アイテム」と呼ばれている“道具”が現実世界で売買されている実態です。現実世界での売買を目的に「通貨」や「アイテム」を獲得するためにゲームに参加。獲得した「アイテム」の買い取りをインターネットを使って告知,代金だけを騙し取る詐欺などの犯罪行為も行われるにいたっています。特に,ゲーム内「通貨」を現実通貨で売買する「リアル・マネー・トレード」は,専門の仲介会社ができるなどオンラインコンテンツによるあらたなビジネスとなっています。しかし,集団でゲームに参加し不正な手段を使って大量に獲得した「通貨」や「アイテム」を現実通貨で売買してあげた不正な利益が海外に持ち出されるとも言われています。
IOCAでは,こうした実態を把握した上で,どのような問題解決策があるのかを模索。オンラインゲーム内で不正な手段を使えなくするコンピュータシステムの開発や,法制化も含めた多方面からの秩序確保に取り組んでいき,明年夏までには一定の成果を得ることを目標としています。
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RMT問題は,多くのオンラインゲームで禁止事項とされているものの,画一的な解決策はまだ存在していない。IOCAの活動によって,具体的な解決策が出てくることに期待したい。 ただし,この活動に関しては,オンラインゲームの運営を行っているゲームメーカーの協力が不可欠であることはいうまでもない。IOCAの活動に協力するゲームメーカーがどれだけあるのか,そしてこれからどれだけの協力を得られるかが,IOCAの活動の成否の鍵を握っているといえるだろう。(oNo)
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