[AGC 2006#07]Dell会長のマイケル・デル氏がAGCに顔見せ
世界最大のPCメーカー,Dellの会長であるMichael Dell(マイケル・デル)氏がAGCに足を運び,エキスポ会場に用意された特設舞台で,「ファイヤー・サイド・シャット」と題した代表質問者との対談インタビューに応じた。 デル氏は,1984年に地元テキサス大学オースティン校で医学を学ぶかたわらDellを起業。初年度で600万ドルの売り上げを獲得するなど急激に成長し,1992年にはフォーチューン誌が認定した「世界500大企業」の中で,最も若い社長として注目を集めた。 Dellでは,注文を受けてから中国やマレーシアで組み立てて配送するという徹底したコスト削減を行っている。今や,Dellはアメリカで28位に位置する大企業へと成長し,ワールドワイドで約6万4000人の従業員を持つグローバルなメーカーである。日本では1994年に進出して以来,足かけ12年で業界シェアナンバー1を獲得したことは記憶に新しい。 今回のインタビューのときも,デル氏は「難しい日本市場で健闘できたのは,自分なりに賞賛している出来事だ」と自信をのぞかせていた。
デル氏によると,Dellの収益は「ビジネス向けが85%,個人向けが15%」ほどの比率であるという。その15%の中でもゲーマー専用として2005年に立ち上げた「Dell XPS」シリーズが好調であるようだ。 ラインナップが増えたことで,Dell XPSシリーズは必ずしもハイエンドに限ったブランドではなくなったが,2006年初頭のCES(Consumer Electronics Show)では,IntelのPentium Extreme Edition 955/3.73GHzを4.26GHzにオーバークロックし,GeForce 7800 GTXグラフィックスカードを4枚搭載した,1万ドル(約116万円)もする世界初のQuad SLIを採用した超ハイエンドモデル「XPS 600 Renegade」をリリースし,話題をさらった。 ゲーム用に特化したハイエンドPCは,Voodoo PCやFalcon NorthWestなど,競合メーカーとの市場争いが過酷な分野であるものの,大手だったAlienWareを買収するなど,最近は攻撃的に成長を続けている。
デル氏は,これまでの市場のニーズに合わせてDellが成長してきたことから,ハードウェアの選定など消費者の選択肢を絞り込むことは避けたいとしながらも,ゲーム業界で期待がかけられる物理専用カードには注目しているようだ。それ以上に,今回のAGCでは自社のサーバーシステムに言及することが何度かあったので,実際にはAGCに参加したMMORPG開発者達に向けた宣伝が目的だったのかもしれない。
デル氏からは,「World of Warcraft」をプレイしているが,忙しくてキャラクターをほとんど成長させられないとか,子供には宿題をしてからでないとゲームはさせないなど,パーソナルなゲーム談義もいくつか聞けた。デル氏がアメリカでの長者番付第4位ということからか,質問者の中には「弟子にしてほしい」といったメディアらしからぬ質問を投げる輩も見受けられたが,基本的にはほのぼのとしたインタビューだった。(ライター:奥谷海人)
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