PCオンラインゲームの市場規模は570億円??? オンラインゲームフォーラムの市場統計調査,2005年分が公開される
経済産業省関東経済産業局が推進する,IT/コンテンツベンチャー育成策「首都圏情報ベンチャーフォーラム」の一分科会として活動する任意団体,オンラインゲームフォーラム。そのオンラインゲームフォーラムが昨日(5月25日),「オンラインゲーム市場統計調査2006」の結果を,公式サイトで公表した。 これは,2005年における国内オンラインゲームの市場規模を明らかにするために実施された調査の結果であり,調査対象期間は2005年1月1日から同年12月31日まで。Webサイトで確認できるPC/コンシューマゲーム機の商用オンラインゲーム作品を対象とし,314作品,106事業者を,全提供作品/全事業者と把握して調査。さらにこのうち,オンラインゲームフォーラム参加事業者を中心に,27事業者・145タイトルを対象として,アンケートとヒアリングを行った結果がまとめられている。2005年4月に公表された「オンラインゲーム市場統計調査2005」の続きという位置づけだ。 そこには,ゲームジャンルごとのPC/コンシューマゲームタイトル数や,課金形態ごとのタイトル数,会員登録数累計,パッケージ販売売り上げ/運営サービス売り上げなど,さまざまな数値や分布状況が示されている。公式サイトで配布されているので,詳細はダウンロードして確認してみるとよいだろう。
ただし,このデータを読み解く際にはいささか注意が必要となる。というのも,調査対象の「オンラインゲーム」は,「MMO(多人数同時プレイ),MO(少人数同時プレイ),Matching(1人対1人プレイ)等の通信インフラを介し」て,PC/コンシューマゲーム機で複数プレイヤーが同時にプレイするゲームと,かなり広く定義されているためだ。一般に考えられている“オンラインゲーム”という語の指示内容とは,少々開きのある定義といってもよいだろう。
オンラインゲームフォーラムに直接確認したところ,例えばネットワーク対戦をサポートしたRTSは「SLG」,同じくFPSは「ACT」で,それぞれ「オンラインゲーム」としてカウントされているという。この場合,マッチングサービスやロビーサービスの有無も,とくに条件とされていない。つまり,仮に「Call of Duty 2」や「コサックス II」がリストアップされていたとしたら,それは「オンラインゲーム」ということになる。 そして,この基準はコンシューマタイトルにも適用されているので,コンシューマゲーム機は「オンラインゲーム」の一大プラットフォームであることになっている。金額面だけを見て,一概に論ずるのは危険であろう。
なお,ゲームポータルで提供されるカジュアルゲームは個別にカウントせず,ポータル一つで1本という扱いになっているが,そこで扱われるMMO/MORPGなどは1作品1本としてカウントしているという。これは相応に適切な措置といえよう。
そうしたわけで,「2005年サービス提供タイトル(PC)」で,SLGが36本あったり(ちなみにRPGは77本),「2005(PC)新規タイトル」85本のうち25本が国内ライセンス作品となっていたりと,世間的な意味での“オンラインゲーム”の動向とは,いささか食い違う部分も出てくる。「パッケージ売上(PC)」に示される36億1075万円という数字も,BCNなどの統計から総額で100億円前後と見込まれる(注:通信販売分を除いた金額は85億円前後。なお通信販売分については,信頼できる資料が公表されていない),一般カテゴリーのPCゲームパッケージ売り上げから見て,いささか違和感のある数字である。 「オンラインゲーム」とそれ以外との線引きの問題はさておき,調査対象の選定基準は2004年の調査との間で統一されており,市場傾向の変化はある程度読みとれそうだ。ただし,2004年の調査については,結果の詳細版が公開されていない。PCオンラインゲームのみの運営サービス売り上げ額などをはじめとして,比較に必要な値の追加公開が望まれる。 オンラインゲームフォーラムの活動目的には,倫理問題への対応,認知向上,人材育成環境の整備と並んで,販路開拓も挙げられている。広い視野で見るデータとしては,十分に有益な今回の調査結果,アンケートとヒアリングは守秘義務契約を伴ったそうなので限界はあると思うが,いっそう細かなセグメンテーションに基づく値が公開されれば,参照価値がさらに増すだろう。(Guevarista)
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