「MicMacオンライン」を開発したJoyspell,シン・インギョンCEOにショートインタビュー
日本はこれで2回目の訪問というシンさん。話に出てくる下の息子さんだが,「ちゃんとレベル上げないとソウルメイト切るよ」とまで脅して(?)いるらしい。でもソウルメイトって,相方をHelpできる機能なのでは……
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詳細が発表されたベクターの「MicMacオンライン」。「こちら」でお伝えしたメディア発表会に続き,開発に当たった韓国JOYSPELLのCEOシン・インギョンさんにわずか30分ながらインタビューする機会を得られたので,その模様をお知らせしよう。シンさんは,実に数千社あるといわれる韓国オンラインゲーム関連企業の中でも珍しい女性CEO。Oz Intermediaのサービス運営チーム長,LG Internetの顧客支援センター長などを務めた後,独立してJOYSPELLを立ち上げたというIT畑一筋の人であり,2003年には韓国優秀女性ベンチャー企業人賞を受賞した才媛でもある。 そんな彼女に,日本で同ソフトの運営を行うベクター社長,梶並伸博氏同席のもとに,「MicMacオンライン」の特色,魅力などについて話を聞いてみた。なお,記事中に登場するゲームシステムに関する用語などは,メディア発表会の記事を参照していただきたい。
4Gamer: 本日はよろしくお願いします。さて,時間も短いようですし,早速。Joyspellにとって,この「MicMacオンライン」は初めての3D MMORPGとなるわけですが,どのような意図で開発されたのでしょう?
シンさん: 我々はこれまで,オンラインゲーム,モバイルゲーム,Web上のボードゲームなど,さまざまなプラットフォームやジャンルのゲームを開発してきましたが,今回は,より感性に訴えるゲームを作りたいということで,RPGに挑戦しました。その中でも,ちょっと可愛くて市場に広くアピールするゲームにしたい,というようなことを考え合わせて「MicMacオンライン」を制作しました。
4Gamer: なるほど。そういえば,Joyspellには元Jamieの開発者が多いと聞いたんですけど。スピーディな対戦ロボットアクションの「Axis」から,ある意味,ちょっとほのぼのムードのある「MicMacオンライン」とは,なかなかの転身ですね。
シンさん: ええ(笑)。転進というほどではないと思いますが,「MicMacオンライン」の制作には元Jamieの開発者の多くが当たっています。
4Gamer: それはまた。さて,そんな「MicMacオンライン」なんですが,Joyspellは日本市場に参入するのは初めて,またベクターもMMORPGの運営経験はない,ということで不安はありませんか?
シンさん: それは確かにそうですが,ベクターには,少なくともMMORPGを運営するためのインフラなどの環境が十分にありますし,なにより,契約前にいろいろ話を聞いて,我々のゲームに対する強い情熱を感じました。ベクターにMMORPGのサービス経験が乏しいのは確かですが,それを言うなら,我々にもありません。しかし,この2社が慎重にさまざまな問題を解決していけば,むしろ,既存の経験豊富なメーカーより,いろいろな試みに挑戦することができていいのではないか,という判断をしました。
4Gamer: なるほど。経験ではなくて“マインド”を重視しているのですね。そのへん,ベクターとしてはどうお考えですか?
梶並氏: そうですね。我々は,ダウンロードサイトという性格上,トラフィックが重いサービスには慣れています。また,サーバーを24時間止めないとか,クレームにすぐに対応できるといった面でのサービスにも長い経験があります。MMORPGの運営については,我々も今後,いろいろ学んでいかなければなりませんが,それ以外の面では自信があります。
4Gamer: なるほど。実を言うと,経験のないベクターがMMORPGの運営を行うと聞いて,楽しみであると同時にちょっと心配だったのですが,それを聞いて安心しました。そういえば,韓国で「MicMacオンライン」のサービスを行う予定のテレサービスもMMORPGの運営が本業というわけではないですよね。
シンさん: ええ。もともとテレーサービスはコールセンターアウトソーシングの会社ですが,現在はIT関連を多角的に行っています。MMORPG事業はその一つですね。
4Gamer: あ,そうだったんですか。ところで,やや今後の話になりますが,Joyspellは,オンライン&モバイルゲームを韓国の最大手移動体通信会社であるSKTと共同開発したりと,モバイル分野でもかなり実績をお持ちです。「MicMacオンライン」でも,そのようなことは考えているのですか?
シンさん: ええ。当社は必ずしもモバイルゲームに強いというわけではありませんが,言われたように,以前,オンラインゲームとモバイルゲームを開発して連動する,というようなプロジェクトをやったことがあります。まあ,具体的にどうなるかはまだお伝えできませんが,携帯電話との連携は視野に入れています。PCで遊んでいるようなものをモバイルで遊べるようにする計画もありますので,いずれ,タイミングを見て発表することになるでしょう。 日本は韓国に比べてモバイル環境が優れているため,いろいろなことがやりやすいんじゃないでしょうか。幸い「MicMacオンライン」には,ソウルメイトなど,モバイルの機能をうまく使えそうなシステムがありますので,面白いことができるでしょう。
4Gamer: それは興味深いですね。さて,そのソウルメイトですけど,このシステムのそもそもの発想はどんなところに?
シンさん: 最近のMMORPGは,システムも機能も複雑になって,マニア層以外にはアピールしにくくなっています。ソウルメイトシステムは,ライトユーザーでもゲームに近づきやすくする方法は何か,と考えた結果です。最低二人いれば,さまざまな機能を使えますし,一人でも二人ぶん楽しめますからね。実際,韓国のオープンβテストでは,全プレイヤーの25%ほどがソウルメイトを利用しており,感触としてはなかなかいいのではないかと思っています。
4Gamer: 新フィーチャーとしては良い数字ですね。クローズドβのときは利用率70%以上と聞きましたし。個人的な感覚にすぎませんが,日本には友人同士や夫婦などの極めて少人数のグループを好む人が多い気もするので,我々にとってソウルメイトは受け入れやすいシステムだと思います。その点,韓国ではどうなんですか?
シンさん: 韓国のゲーマーは,どちらかといえば大人数で行動することが好きだと思います。そこで今後,クランやパーティなどを導入する予定になっているわけですが,そこでもソウルメイトシステムを使うといろいろ有利になる,といったルールになっています。ソウルメイトがあって,そのうえでパーティやクランがある,という構造も「MicMacオンライン」の面白さの一つになると思っています。
4Gamer: なるほど。少人数から大人数までリンクしたシステムなんですね。ちなみに,もう一つの特徴であるソウェルアイテムシステムの狙いもやはりライトユーザーに向けたものでしょうか?
シンさん: はい。これも「MicMacオンライン」の面白さの一つだと自負していますが,ほかのMMORPGでは,プレイヤーのレベルが高くなればなるほど,同じような外見になってしまう傾向があります。このゲームでは外見と機能はまったく別で,さまざまなアイテムは簡単に購入できます。ですから,どんなレベルでもそれぞれのプレイヤーの個性を演出することが可能で,キャラクターに対するコスプレ的ニーズの高い日本でも好評を得られるのではないかと思います。
4Gamer: 確かに,外見が好き勝手に変えられるって,ありそうでなかったシステムですよね。ところでシンさんは誰とソウルメイトを組んでるんですか?
シンさん: 息子が二人いるんですが,下の息子とソウルメイトを組んでます。でもあまりにもレベルアップが遅いので,「もっとちゃんとゲームしなさい」と怒ってる毎日なんです(笑)。
4Gamer: 普通の家庭ではおよそ考えられない光景ですね……。
シンさん: そうですね。韓国でもかなり例外なんじゃないかと思います(笑)。
4Gamer: おっと。そろそろ時間が来てしまったようですね。それでは最後に,4Gamer読者に対して何かメッセージをお願いします。
シンさん: 「MicMacオンライン」は個性をアピールできるゲームです。ソウルメイトや,ソウェルアイテムシステムなど,ゲームも非常に個性的。また,今後プレイヤーの意見をさまざまに取り入れ,コミュニティを盛り上げていくようなシステムの導入も考えていますので,ぜひ遊んでください。
4Gamer: ありがとうございました。
30分ほどのインタビューであり,また通訳を介してであったため,やや食い足りない部分があったかもしれないが,それらは今後の続報を楽しみにしていただきたい。 それにしても,ダウンロードサイトで知られたベクターが初挑戦するMMORPGの運営。そしてその対象に選ばれたのは,これまた日本市場初参入になるJOYSPELL。この二つのコラボレーションが,そろそろ飽和状態,と言っていいくらいのMMORPG界にどのような風を吹き込むのか非常に興味深いところ。今後の展開に注目していく必要があるだろう。(松本隆一,photo by kiki)
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