Kimの韓国最新PCゲーム事情＃543
NC soft共同創業者，新作MMOを開発中（2006/5/19）
Text by Kim Dong Wook特派員
NCsoftの代表取締役であるT.J Kim氏といえば，韓国オンラインゲーム業界の“巨人”の一人。そんな氏と共に同社を創業した人物が，MMORPGを開発中であることが明らかになった。
その人物とは，同社の代表作である「Lineage」（リネージュ）のサーバーとエンジン開発に関する業務を担当した，Park Sung Jae氏である。同氏は，2005年末にSILVER POTIONという開発会社を設立し, 現在は1930年代のヨーロッパを背景にしたMMORPG「SP1」（仮題）を開発中だ。
同氏はNCsoftを退社後，MMORPG「R.O.H.A.N」（ローハン）のサーバー最適化と，ネットワークエンジンのコンサルティングなどを行っており，韓国オンラインゲーム業界では，最高水準のネットワーク専門家としての評判を得ている。
彼はすでに2年前からSP1の企画とエンジンの開発を行っているとのことで，同作は新生デベロッパの作品とは思えないほど，レベルの高い内容になっている。本作のエンジン「SP Engine」は，サーバーあたり最大7000人のプレイヤーが同時にゲームをプレイできるという。一般的なMMORPGでは3000人ほどだということを考えると，なかなかの数字だ。
ちなみに，約20人の開発スタッフ達の多くは，4年以上のオンラインゲーム開発経験と，2種類以上の商用ゲームの開発経験があるという。ベテランが多いために，他社と比べて開発の進み具合が速いらしい。
本作の詳細はまだ不明だが，大枠の設定やストーリーを中心にして，細かいストーリーが展開していくようだ。細かいストーリーには，殺人事件の調査や，とある種族を抹殺しようとする陰謀を阻止する，といったように，凝ったシナリオが用意されている。プレイヤーは，各事件で，刑事，記者などといった独特の職業になり，ほかのプレイヤーとパーティを結んで事件（クエスト）を解決していくようだ。
同社の関係者は「プレイヤーがミステリー映画の主人公となって，ゲームをプレイできるように，シナリオだけでなくバックグランドの設定などにも気を遣っている」とコメントしている。ここまでの話でも，十分今まで存在しなかったタイプのMMORPGになりそうだが，開発社側はこれ以上の内容は現時点では「秘密」としている。
関係者から聞いた話によれば，（メインシナリオとどんなつながりがあるかは不明だが）ゲーム内に30か所ほどあるスポットを占領する攻城戦（？）までも可能で，ほかのギルドの攻撃を邪魔するトラップの設置もでき，モンスターとNPCを傭兵として雇えるという。
もう一つ，本作で特筆すべき点は，グラフィックスだろう。本作は，6000〜7000個のポリゴンで，数十万個のポリゴンを使ったように見えるNormal Mapping技術を使用している。また，最新のグラフィックス技術であるParallax Mapを使い，よりリアルな影や光の反射/屈折といった表現を実現している。これにより皮や布でできた衣装をリアルに表現できるとのことだ。
SILVER POTION社長 Park Sung Jae氏
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課金方式に関しては，同社マーケティング企画部のLee Gun Joong氏が携わっている。氏は，いわゆるアイテム課金を考案した人物として知られており，本作においてもまったく新しい課金方法を考えているとコメントしている。どのような課金方式が考案されるのか非常に気になるところだ。
本作の総括プロデューサーであるPark Sung Jae社長は，本作のウリが何かという質問に「SP1は視覚的な面で既存のMMORPGと明確に差別化される」と強調した後，「今までの韓国産のMMORPGは，特定のシステムばかり強調してしまい，ゲームの本質を忘れがちでした。私達は基本的なMMORPGのルールを維持しながらも，特定システムに依存せず，ゲーム全体のバランスを重視していきます」と話した。
まだまだ謎が多いタイトルではあるが，Park氏を含めた開発スタップ達の派手な経歴など，さまざまな意味で注目しなければならないだろう。現在発表されているスケジュールは，2006年11月ごろにクローズドβテストを行い，2007年の上半期中にオープンβテスト，同年夏頃の正式サービスを予定しているとのことだ。
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