[E3 2006#180]「EVE Online」,待望の拡張パック「The Path to Kali」発表
「EVE Online: The Second Genesis」は,アイスランドのレイキャビックにあるゲームデベロッパ CCP Gamesが,2003年にリリースしたMMORPGで,“EVE”と呼ばれるワームホールを用いての空間移動手段が確立された,今から2万年後の宇宙を舞台とするゲームだ。 登録会員は10万人を超えており,プログラムは英語版だが,日本語でのチャットに対応しているほか,最近では64ビットサーバーへの移行も完了したことから,今後も安定したサービス提供が継続されることが見込まれている。
そのCCP Gamesは,「Kali」というコード名で呼ばれている4作目の拡張パックを発表した。正式タイトルは「EVE Online: The Path to Kali」で,2006年の第2四半期中にリリースされるとのことだ。実際に動作する様子は確認できなかったが,ゲームシステムそのものに大きな変化を与えるという,本作の詳細について話を聞けた。
※画面写真は,すべて「EVE Online: Red Moon Rising」のものです
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まず,The Path to Kaliをリリースするに当たり,本作のグラフィックスエンジンをDirectX 9に完全対応させるという。300を超えるスペースシップは,すべて数百万ものポリゴンからなる精密なモデルに置き換えられ,高解像度テクスチャ,ピクセル単位での照明効果,ソフトシャドウ/セルフシャドウ,そしてHDRレンダリングなどの技術がフル活用される。
そしてゲームシステムに関わる変更としては,「ARCS」(Advanced Reactive Content System)という新たなシステムが導入されるとのことだ。ブーススタッフの説明によると,これは「一人一人のプレイヤーの行動が,ゲーム世界に直接的な影響を及ぼす」もの。EVE Onlineに登場するそれぞれのファクションの勢力範囲や政情が,プレイヤーの判断や行動次第で,刻一刻と変化していくのだ。 いわゆる“リアクティブ・コンテンツ”というコンセプトを,ゲームの要素として組み込み,成功したMMORPGはあまりないだけに,ARCSがEVE Onlineにどのような変化をもたらすかには,大いに注目したいと思う。
スタッフによると,The Path to Kaliのストーリー進行に伴い,プレイヤー達は,新たに登場するNPCのファクションと手を取り合って戦うようになるとのことだ。おそらく,本作のリリースから1年ほどかけて,物語が展開していくのだろう。
CCP Gamesではさらに,DirectX 10に対応するグラフィックスエンジン「Trinity II」を搭載した,「EVE Vista」というゲームの開発が進められているという。DirectX 10は,2007年初頭に発売予定となっている次世代OS「Windows Vista」の標準APIの一つで,プログラマブルシェーダ4.0(Shader Model 4.0)などに対応している。最新世代のDirectXに最適化されるEVE Vistaでは,グラフィックス面でのさらなる進化が期待できそうだ。 このEVE Vistaが,現行のEVE Onlineのアップグレードとして提供されるのか,あるいは続編としてリリースされるのかは,今のところ明らかにされていない。(ライター:奥谷海人)
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