[E3 2006#124]“純ドイツ産”のスニークアクション「Sabotage」
ドイツ産のPCゲームと聞くと,Sudden StrikeシリーズやCossacksシリーズに代表されるような,小さなユニットが大量に登場するようなストラテジーを連想する人が多いのではないだろうか。 この背景にはドイツが,カードや紙,ペンなどを用いて遊ぶボードゲームが盛んな国で,年間数百という数のタイトルが発売されていることがある。人気はブーム的な一過性の強いものではなく,ドイツ国内のゲーム評論家などで構成される専門委員会が選定する,ドイツ年間ゲーム大賞(Spiel des Jahres)や,ファンによって選ばれるドイツゲーム大賞(Deutscher Spielepreis)など,ボードゲーム専門の賞が設けられるほど,定着したものだ。どことなくボードゲームを連想させるゲームが多いのは,こういったお国柄によるものなのである。 だが,そんななか,Kentiaホールのドイツパビリオン内にブースを持っていたdtp entertainmentは,同じくドイツのReplay Studiosが開発している三人称視点のアクションゲーム「Sabotage」を積極的にアピールしていた。
本作の主人公は,MI-6(英国情報局秘密情報部)に所属しているViolette Summerという女性。第二次世界大戦を背景に,破壊活動を目的としたさまざまなミッションに挑む,Splinter Cellシリーズのようなゲームになるようだ。舞台となる場所は,戦時中の要所だったフランス,ポーランド,そしてドイツなど。 実はこの主人公Violetteは,実在の女スパイViolette Szabo(ヴィオレット・サボー)がモデルで,ゲーム内のミッションも実際に彼女が行った内容に近いものとなっている。ちなみに彼女は死後,ジョージ十字勲章を贈られた,伝説的な人物だ(ジョージ十字勲章を贈られた女性はこれまで4名のみ)。
ミッションの多くは,軍事的要所の破壊や要人暗殺が目的で,基本的にはきちんと逃げきるところまでが盛り込まれているというのが面白い点。dtp entertainmentによれば「施設を破壊したとしても,捕まって,どこの国のしわざかがばれてしまったらそのミッションは成功といえない」とのことだ。痕跡を残さずに仕事をこなしてこそ,真のスパイということなのだろう。 また,最終的に実装されない可能性もあるが,スパイ工作を行った痕跡の残り具合によって採点される,ランキング機能の採用も考えているということだった。
Sabotageではフィニッシュムーブが20種類もあり,ステージを進めていくと使用できるものが増えていくという。グラフィックスは草木など,とくにゲームと直接的に関係のないものも含めて緻密に描き込まれており,全体的にこだわりが感じ取れた。とくに(スクリーンショットを見る限り)ゲーム背景にあるダークな雰囲気は,きちんと表現されているといえるだろう。 痕跡を残さずに目的を達成して逃げるといった,ちょっと地味な部分もしっかり描かれるスニークアクションとなる本作。スカッとするのではなく,ニヤッとできる作品になりそうだ。(noguchi)
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