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[E3 2006#114]あのBioWareが手掛ける新作アクションRPG「Mass Effect」
2006/05/13 23:58
 「Mass Effect」とは,BioWareがPandemic Studiosとの経営・資本統合してから初めての協力体制によって生まれた,第3人称カメラ視点でのSFアクションRPGである。BioWareといえば,「Bulder's Gate」以来,「Neverwinter Nights」や「Star Wars Knight of the Old Republic」など多くの本格的RPGで著名なカナダの雄だ。Pandemic Studiosのほうは「Merceneries」や「Star Wars Battlefront」などアクション性の高いゲームを得意としており,このMass Effectは両社の長所を最大限に活かせる作品となるはずだ。
 もっとも,Mass Effectは現在のところ,Xbox 360エクスクルーシブとだけ発表されている。とはいえ,同じ境遇だったBiowareの「Jade Empire」が結果的にPCにも移植されたこと,そして同社の幹部が「我々はPCをルーツにするメーカーだ」と日頃から公言していることからも,このMass EffectがいずれPCに移植されると見るRPGファンは多い。今回デモを見せてくれたリードプログラマ,デイビッド・ファルクナー(David Falkner)氏も,「今後のことは誰にも分からない」と,オープンな状態であることを匂わせている。



 このMass Effectは,人類がようやく宇宙進出を始めた23世紀の銀河系を舞台にしたもので,主人公は宇宙船ノルマンディを操るコマンダー・シェパードというタフなルックスの男である。銀河の警備を担うスペクター(Specter)という組織に所属しており,平和を乱す勢力を追っていくうちに,宇宙の将来を決めるミステリーに関わっていくというストーリーだ。
 今回のデモで使われたシェパードは男だったが,実際には女性キャラクターを選択することもできる。また,髪形や顔の特性を変更してプレイヤーの思い通りの人相にすることも可能だ。Biowareの作品の多くがそうであるように,キャラクターの特性にもいくつかのバリエーションが与えられており,Mass Effectの場合はコンバット,テック,バイオティックという三つから選び出す。

 デモでは,まずシェパードと2人のヘンチマンが,50km近くも幅があるという巨大な宇宙ステーションに乗りつけるところから始まる。ヘンチマンは普段はヘルメットを被った重装備に身を包む女性キャラクターと,トカゲ種族の男性キャラクター。どのような因縁でプレイヤーと行動をともにすることになったのかは不明だ。
 注目すべきは女性キャラクターの瞳で,眼球だけキョロキョロさせたり,シェーダーによって周囲のネオンサインが映り込んでいるなど,Valveの「Half-Life 2」を意識した技術が利用されている。主人公も緊張しているのか,こわばった顔の鼻の脇だけピクピクと動かす仕草もし,このキャラクター技術の説明だけでも非常に凝った作りになっているのがわかるだろう。



 デモでは,シェパードらが情報を持っているエイリアン女性を探してスペースステーション内のバーに入っていく。異生物が多く,映画「スターウォーズ」を連想する。ここの飲み客たちは,プレイヤーらが通るとジロっと睨んでみたり,そらぞらしく避けたりするのだが,これはファルクナー氏の話では,地球人型の人間種は銀河にとっての新参者であり,とくにゲームの序盤では警戒されることが多いのだという。



 ここで紹介されたのが,Mass Effectに利用される会話システムだ。インタフェース下部にリング状のアイコンが出現し,最大で6パターンの会話文を選択するようになる。実際の文章と会話に若干の違いがあるのは,Mass Effectでのキャラクターの柔軟な演技を可能にするためだ。選択肢は相手が話し終わる直前に選ぶ仕組みなのだが,例えば平和的交渉,会話の継続のためのフリ,そして威圧的発言などの文例をクリックすることで,その主旨に応じた自然な会話を続ける。

 相手の反応や周囲の人々の社交性が変化するだけで,どの会話文を選択しても結果に大きな差はないらしいが,相手とプレイヤーの会話のときにカメラも迅速に切り替わるのが特徴的だ。適切に会話文を選んでクリックしていけば,まるでプリレンダリングされたCG映画を見ているかのようなドラマチックな議論が行われる。
 今回のデモでもシェパードが目当てのキャラクターとの激しいやり取りを行っていたが,このエイリアンは最後に,「分からない?  マシーンが今にも帰ってこようとしているのよ」とシェパードに言い放つところでデモが終わった。「マシーン」がなんなのかは不明だが,ストーリーの展開の重要なヒントとなっているのは間違いないだろう。



 さて,デモでは舞台はジャングルに侵食されて廃墟となった惑星へと移り,ここでファルクナー氏が戦闘システムの解説を行った。主人公の背後にカメラを置いた,一般的な第3人称型の典型的なアクションゲームで,パーティメンバーの3人のうち誰でもコントロールできる。簡単にコマンドを与えることも可能で,敵の攻撃に際してはプレイヤー自身がカバーとして乱射しながら,ヘンチマンに迂回させて有利なポジションをとるような内容だった。
 かなりのオブジェクトが破壊可能なようで,敵が防御に利用していた橋桁に手榴弾を投げると,橋ごと崩れて相手を圧死させてしまった。この手榴弾は,距離に適当な見切りをつけて放り投げるのではなく,銃などと同じような感覚でレティクルを合わせて投げつけるブーメランのようになっていた。
 Mass Effectのグラフィックスは美しく,樹木の多様性で密林の雰囲気がよく出ており,派手な爆発効果や,水面をリアルに見せる映り込みのシェーダ,そして雨に濡れた道路のテカりを表現するスペキュラーハイライティングなどがふんだんに使われている。

 詳細は未定ながらマルチプレイヤーモードも用意される予定で,社内で数言語にローカライズする計画になっているという。コンテンツの多さから日本の代理店は大作RPGの日本語完全移植を嫌う傾向にあるだけに,Biowareにはぜひとも日本語対応してもらいたいところ。現在は,2007年中にXbox 360版の発売とだけアナウンスされている。(ライター:奥谷海人)


Mass Effect
■開発元:BioWare
■発売元:BioWare
■発売日:2007/夏
■価格:N/A
→公式サイトは「こちら」

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http://www.4gamer.net/news/history/2006.05/20060513235856detail.html