[E3 2006#078]探偵コンビのドタバタアドベンチャー,「Sam & Max」が帰ってきた!
「Sam & Max」といえば,「Days of the Tentacle」や「The Monkey Island」と並んで,MS-DOSゲーム時代のLucasArts Entertainment全盛期を代表するコミカル系アクションアドベンチャーゲームだ。2004年初めには,経営改善のため前年のE3で発表したばかりの第2弾がキャンセルされたという事件を,ご記憶のゲーマーもいるかも知れない。その後,コアメンバー達がTelltale Gamesという独立した会社を創設して暗中模索が続けられてきたが,「Bone」というアドベンチャーゲームの制作で十分な資金を得,LucasArtsからもライセンス利用のゴーサインが出たわけだ。
ただし,販売にLucasArtsは関わっておらず,今回のE3ではGameTapから発表がなされた。GameTapは,“ゲームズ・オン・デマンド”ともいわれる,ブロードバンドを利用したゲーム販売事業を展開しており,カジュアルゲームや古いアーケードゲームの移植作品などを数多く取り揃え,安価で提供するソフト配信サービス会社である。TBS(ターナー・ブロードキャスティング)の傘下にあって,500タイトルというライブラリーを揃えているだけでなく,今回のSam & Maxと,「Uru: Age beyond Myst Online」のスピンオフ作品である「Uru Live」を皮切りに,パッケージ不要のデジタル・ディストリビューターとしても名乗りを上げることとなった。
残念ながら,新作Sam & Maxの詳細については語られずじまいで,犬のサムと兎のマックスというデコボココンビの探偵が,ポンコツのオープンカーに乗って事件を解決していくこと以外の背景やストーリーは,GameTapブースで流されていたアニメーション映像からは見えてこなかった。もっとも,2004年までLucasArts内で制作されていたものと違う内容であることは,すでに開発者によってアナウンスされている。 Sam & Maxはもともと,1989年にスティーブ・パーセル(Steve Purcell)氏という漫画家によって描かれた「Monkeys Violating the Heavenly Temple」という単発コミックに,登場するキャラクターである。1990年代にはアニメとして放映されるなど,ゲーム化する気運も再燃していたが,オリジナル作品の発売から10年目に発表された続編がキャンセルに終わるという悲運に見舞われた。独特のコミカルなテイストを懐かしむ古参のゲーマー達は,当時いたく落胆したものである。
Sam & Max新作は「Season 1」といったエピソード形式で小出しにリリースされていくということだが,果たして現在のゲーマー達にどのように受け入れられるのかが興味深いところ。なお,E3 2006開催中には旧Sierra On-Lineで「Leisure Suit Larry」を開発したアル・ロウ(Al Lowe)氏もゲーム開発に復帰したという報道が流れ,1990年代前半に一世を風靡していたコミカルアドベンチャーゲームに復活の兆しが見えてきた。今後の展開が楽しみである。(ライター:奥谷海人)
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