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[E3 2006#046]BiowareのRPG「Jade Empire」のPCへの移植が決定
2006/05/12 19:02
 今年のE3でもBiowareはオープン展示の自社ブースを構えておらず,ミーティングスペースの奥に用意された小部屋で,招待客のみに最新の開発中タイトルを紹介していた。その最新タイトルの中の1本がPC版の「Jade Empire」であった。

 「Jade Empire」はXbox専用タイトルとして2005年4月に発売されたシングルプレイRPG。西洋風ファンタジーではなく東洋風の世界をベースとしているなど個性的な作品だ。開発は「Neverwinter Nights」「Baldur's Gate」シリーズなどを手がけた,硬派なシングルプレイRPG開発会社として知られているBioWareであり,PC版が発売されなかったことを残念に思った人もいるのではないだろうか? 海外での発売後,日本でもローカライズされ,「ジェイド エンパイア 〜翡翠の王国〜」というタイトルで日本版のXbox専用タイトルとして2005年6月にリリースされている。海外での評価はかなり高かったのだが,残念ながら国内ではそれほど目立たなかった作品だ。



Jade Empireリードデザイナー Kevin Martens氏
 「Jade Empire」では,プレイヤーがゲーム内でどのように行動したかによって,主人公を取り巻く世界が変わっていく。善人としてプレイすれば,主人公の周囲の人物たちはそれに見合った対応をしてくれるようになり,逆に非道な悪人として生きれば,自分とすれちがう村人の表情は険しくなっていく。今回作品を説明してくれた本作のリードデザイナー Kevin Martens氏によると,同じXboxの人気タイトルであった「Fable」では自身の素行が自身の外見の変化として分かりやすく現れていたが,「Jade Empire」では自キャラではなく世界が変わって自分の立場が分かる……といったイメージだそうだ。
 Jade EmpireではNPCの仲間を見つけてともに旅をすることもできるのだが,この仲間たちも主人公の行動をちゃんと見ており,主人公が自分の信条とあわないことをすると,文句を言ってきたり,ケンカになったりすることもあるらしい。

 さて,E3 2006で,この「Jade Empire」のPCバージョンが現在開発中であることが明らかになった。Xbox専用の話題作がしばらくしてからPCに移植されるという流れは,「Halo」「Fable」の件からも分かるように,このところ定例化しつつある。今回の「Jade Empire」移植決定もまさにその流れに沿ったものであるといえる。

 PC版「Jade Empire」には,さまざまなアップグレードが施される。まずはPCへの移植で定番ともいえる高解像度への対応がある。あたかもカンフー映画のような画面の雰囲気を表現するために,テクスチャやライティングも強化され,画面の美しさはXbox版よりも数段上になるという。さらに新しいAIを持つ新モンスターも追加される。ゲームプレイに直接関わる要素としては,新しい“戦闘スタイル”が追加される。「Jade Empire」では戦いの最中に“戦闘スタイル”を切り替えることで多彩なアクションや戦術を楽しむことが可能なのだが,その数がPC版ではXbox版よりも増えるとのことだ。




 本作で主人公として選択できるキャラクターは,あらかじめバックグラウンドが与えられた7人の人物で,その中から一人を選択してプレイを開始する。7人はそれぞれ得意な戦闘スタイルを持っているため,どのキャラクターでプレイするかによって,ゲームの様相は異なったものになる。さらに本作にはエンディングも複数存在用意されている。最初にクリアしたときとは違ったプレイヤーキャラクターやプレイスタイルを選ぶことで,新鮮な気持ちで2回目3回目のプレイができるのも,この作品が多くのプレイヤーに高く評価された理由の一つといえそうだ。

 正直な感想をいえば,「せっかくのPC移植なのだから,もっとたくさんのアップグレードが施されてもいいのにな」とは思う。だが,それを差し引いても,PCでプレイできる質の高いRPGが1本増えることは素直に歓迎できる。シングルRPGファンにとっては,発売日の正式発表が待ち遠しいところだろう。(ライター:星原昭典)


Jade Empire: Special Edition
■開発元:BioWare
■発売元:2K Games(Take-Two Interactive Software)
■発売日:2007/01月中
■価格:N/A
→公式サイトは「こちら」

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http://www.4gamer.net/news/history/2006.05/20060512190210detail.html