「The Da Vinci Code」(ダ・ヴィンチ・コード)は,世界で4000万部というメガヒットを記録した,ダン・ブラウンによるサスペンス小説である。これを原作とした映画版が,ロン・ハワード監督,トム・ハンクス主演で,5月20日に日本を含む全世界で同時公開(米国のみ5月19日)されるため,各メディアでそのタイトルを見かけたことのある人は多いはずだ。 2K Gamesが開発した「The Da Vinci Code」も,この小説をライセンスしたもので,映画とのタイアップもされてはいるが,俳優達の肖像権を獲得できなかったためか,微妙に異なるキャラクター達が登場し,アドベンチャーを繰り広げることになる。 開発元は,カリフォルニアをベースにするThe Collectiveで,最近では「「Marc Ecko's Getting Up: Contents Under Pressure」などを手がけている。
The Da Vinci Codeは,キリストの血脈にまつわるミステリーを,聖杯,秘密結社,十字軍,バチカン,そしてもちろんレオナルド・ダ・ヴィンチなどといった,西洋史のキーワードとともに追っていくというもの。パリのルーブル美術館館長を殺害したという濡れ衣を着せられたロバート・ラングドン博士と孫娘のソフィーが,象徴学や記号解読など持ち前の技能を駆使し,真実を解き明かして自らの潔白を証明していくストーリーだ。 1999年にリリースされた名作アドベンチャーゲーム「Gabriel Knight III: Blood of Sacred, Blood of Damned」でも同様のミステリーがテーマとして扱われていただけに,筆者自身,キリストの血脈と聖杯にまつわる伝説に関しては,以前から知っていた。また,1982年にはヨーロッパのジャーナリスト3人が「Holy Blood, Holy Grail」(邦題 レンヌ=ル=シャトーの謎 イエスの 血脈と聖杯伝説)を出版し,ベストセラーになったこともある。この著者のうち2人は,The Da Vinci Codeという小説が,Holy Blood, Holy Grailの盗作であるとして訴訟を提起。結果的に原告の敗訴となったのだが,大きな話題を呼んだ。 しかし,そんなことよりも,能動的なアクションが少なく,主人公達が警察からひたすら逃げてばかりのThe Da Vinci Codeという作品が,どのような形でアドベンチャーゲームに昇華されているのかが,ポイントなのである。
会場で展示されていたのは,プレイステーション2版のみだったが,試しに序盤からプレイしてみたところ,小説にかなり近い内容になっていた。近くにいた係員によると,映画では省略された部分もゲーム化されているとのこと。原作のファンであれば,パリからの逃避行を十分に満喫できるはずだ。 基本的にはロバートとソフィーが2人で行動し,ステルスモードなどを使ってルーブル美術館の中を歩き回る。小説を読んだことがあれば必ずチェックするであろう,死体や絵画などにあるパズルを解きながら,ゲームを進めていくことになる。 アクション性が少ない題材ながら,ルーブル美術館内には警察や警備員が配備されており,暗闇の中,背後から忍び寄って鉄棒で叩き,気絶させるようなシーンもあった。気絶させたら,相手の体を目立たない場所に隠すことも肝心だ。見つけた暗号は,辞典のような機能に登録され,あとで一つ一つを繋げ,謎を解き明かすのに役立てることが可能だ。
The Da Vinci Codeは,プレイステーション2版,Xbox版,PC版が5月19日にリリースされる予定。日本では発売されそうにないが,映画や小説のファンであれば,ミステリーに溢れた世界を自分で探索してみるのも良いだろう。(ライター:奥谷海人)
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