[E3 2006#004]劇的な飛躍を遂げる「Tony Hawk’s Project 8」
「Tony Hawk's Project 8」(以下,Project 8)は,そのタイトルが示すように,スケボー界のカリスマ,トニー・ホーク氏のライセンスを受けたシリーズの第8作。このシリーズはこれまでも,プレイステーション2やXboxなど新機種が登場するたびに,ローンチタイトルとして質の高い娯楽を提供することで,定番ソフトとなってきた。Project 8のリリース時期は発表されていないが,プレイステーション3の発売日に照準を合わせているのは間違いないだろう。
さて,Activision Publishingが開催したE3直前イベントの発表会では,本作の副題として“Rebuilt from the Ground Up”と書き添えられていた。 これは,本作に使用されているレンダリングエンジンが,新しく開発されたものであることを意味している。水面の反射や,さざ波の動きといった馴染み深い効果から,20万画素の高解像度デジタルイメージを利用したキャラクターのスキンテクスチャーのマッピングなど,新しいグラフィックス技術を搭載。画面にも出ているプロスケーター,スティービー・ウィリアムス氏の顔など,ホクロから目の充血に至るまで,細かな特徴を再現している。 今回用意されたスクリーンショットはすべてXbox 360用のものだが,発表会で行われたゲームデモも,このクオリティで動作していたのは特筆に値する。前作「Tony Hawk's American Wasteland」は,Xbox 360で発売されているとはいえ,その性能を十分に生かしていたとは言い難い。その点,このProject 8で次世代機への完全対応を果たすことになりそうだ。 また,開発元のNeversoftは,このゲームのために自前のモーションキャプチャースタジオで,ホーク氏らプロスケーターのアニメーションモデルを撮影している。これをベースに,膝の屈曲を使っての体重移動や,手足をバタつかせるながらバランスをとるしぐさ,さらには着地時にグッと腰を下ろす動作など,最大で20種類のアニメーションをスムースにブレンディングする機能も実現。キャラクターの動きが,非常にリアルなものになっている。
Project 8で新しくなったのは,レンダリングエンジンだけではない。今回,詳細が明らかにされることはなかったが,操作面や加点システムも刷新されている。最近のシリーズでは,ちょっとアンダーグラウンド寄りになっていたテーマも軌道修正し,ホーク氏が世界各国を回って才能溢れるアマチュアスケーター8人を集めるというストーリーとなった。もちろん,競合相手のスケーターや,道行く人々などのNPCは,さらに増えている。 シリーズもののゲームでは,続編ごとに難度が上がったり操作が複雑になったりするものが多いが,Project 8では,初心者でもプレイしやすいAM(アマチュア)モードを用意するなど,新規ゲーマーの開拓にも余念がない。 ここ数年の同シリーズには,「全く新しい要素がない」といった批判があった。それだけに,このProject 8で,グラフィックス,ゲーム性ともに新境地を切り開くことを期待したい。
なお,Project 8は現在のところ,Xbox 360とプレイステーション3のみでのリリース予定となっている。だが,前作Tony Hawk's American WastelandのPC移植版をAspyr Mediaが手がけたこと,そして人気シリーズの続編で,しかもこれだけ気合いが入ったタイトルであれば,本作のPC移植にも期待できそうだ。(ライター:奥谷海人)
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