ファンタジーとSFの融合したMMORPG「Dark Arena」開発者インタビュー
今回話を伺ったNIDA ENTERTAINMENT Lee Hyun Sik氏(右)と通訳をお願いしたロックワークスDark Arena日本版プロデューサー片桐明子氏(左)
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韓国ではNIDA Onlineと呼ばれていた作品が,ロックワークスから「Dark Arena」というタイトルで日本サービスされることになった。ロックワークスの発表会で来日していたNIDA ENTERTAINMENTの開発総括理事Lee Hyun Sik氏に話を聞いてみた。
■本当に3人で作ったMMORPG
4Gamer(以下4G):よろしくお願いします。まず,Drak Arenaは,3人で開発したということがかなり話題に上がっていますが,実際のところ,本当に3人だけで開発したのでしょうか?
Lee Hyun Sik氏(以下Lee氏):はい,そうです。私がプログラム部分を担当して,社長が全体的なデザインを行って,もう一人が画面やマップなどのデザインを行いました。
4G:なんらかのゲームエンジンを使用したのですか?
Lee氏:いえ,全部自分で作りました。
4G:それは凄いですね。人を集めようと思えばできたと思うのですが,あえて3人でゲームを開発しようと思ったのはどんな理由からでしょうか?
Lee氏:効率やチームワークを考えてそうなりました。以前は大勢で開発していたのですが,費用や人件費を考えると3人で開発したほうが効率がいいんです。
4G:開発にはどれくらいかかりましたか?
Lee氏:3年くらいかかりました。
確かに,開発人員が少なければ人件費はかからない。とはいえ,3人で作り切るというのは並大抵のことではない。100人月くらいの工数ということになるが,MMORPG規模の作品で,この会社の最初の作品であることを考えると,効率の良さはもの凄いものがある。とはいえ,とても他社で真似できるようなものではない。
■高レベルでもサクサクレベリング可能なバランス
1日のプレイ時間別レベルアップの様子。序盤でダッシュした廃人系の人は途中で少し息切れか。1日1時間の人はむしろ途中からペースが上がっていることが分かる
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4G:Leeさんが考える,このゲームの特徴はどんなところでしょうか?
Lee氏:まず,サクサクとレベルアップできること,次にファンタジーとSFをうまく組み合わせた世界観,そして最後に部族ごとに個性的なキャラクターですね。
4G:なるほど。現在のレベルキャップはどれくらいですか?
Lee氏:以前は400だったのですが,いまでは500です。
4G:2,3時間のプレイで1レベルという説明がありましたが,グラフを見ると,途中で上昇率が変わっているようにも見えます。やはり先に行くほど苦しくはなるのでしょうか?
Lee氏:いえ,先に行くほど必要な経験値は増えますが,取得できる経験値も増え,キャラクターも強くなって,できることが広がってきます。むしろ先に行くほど上がりやすくなるという人もいるようです。
4G:後半でもレベルアップ速度が鈍らないというのは,かなり珍しいですね。
■ゲームの特徴について
4G:では,ゲームの基本的なところからお聞きします。キャラクターの職業ごとに種族が異なっているようですが,ゲームの開始位置は同じなのですか?
Lee氏:それぞれの村があって,始まる場所は分かれています。
4G:すべての部族とパーティは組めるわけですよね?
Lee氏:はい。
4G:キャラクターのカスタマイズはどの程度できますか?
Lee氏:顔と髪型を10種類ずつから選択できます。身体は同じです。
4G:キャラクターについてですが,魔法士が女性だけというのは,なにか意味があるのでしょうか?
Lee氏:ゲームのイメージ的に魔法士は女性としました。
魔法士は回復を主とした職業である。治療を行うヒーラーとして女性的なイメージがあるようだ。もっとも,攻撃もかなり強力そうではあるが。
4G:召喚士の性別が不明となっているのですが。
Lee氏:召喚士は,「平和」をテーマにした職業で,小学生から中学生くらいの子供をイメージしています。
なるほど。見ると,使用する武器も,ヨーヨーやブーメランなどオモチャっぽい感じである。
Dark Arenaでは,魔法士と召喚士が治療を行うことができるとなっている。ヒーラーがいない場合はポーションによる治療も可能である。ポーションが使えるゲームの場合,ヒーラーの役目はほとんどなくなったりすることもあるのだが,そのあたりのバランスについても聞いてみた。
Lee氏:魔法士の治療はほかのプレイヤーに対して行うことができますが,召喚士の治療はもっぱら召喚した精霊などに対して行うものです。魔法士がいない場合はポーションに頼らざるをえません。
4G:なるほど。現在マップは何種類くらい用意されていますか?
Lee氏:9種類です
4G:その中でレベル1からレベル500まで狩りができるようになっているわけですね?
Lee氏:そうです。
Dark Arenaには,ちょっと変わった強化方法として「合成:Dual Weapon System」がある。これは,同じ種類の武器2個から新しい武器1個を作り出すというものだ。
4G:Dual Weapon Systemですが,現状で,すべての武器が合成可能なのですか?
Lee氏:はい。すべての種類の武器が合成で強化できます。
4G:インタフェースを見ると,違う武器同士でも合成できそうな感じがするのですが?
Lee氏:現状では,同じ武器同士だけで合成ができます。
仮に,違う武器同士で合成が可能になったとすると,組み合わせが膨大となるため,とても現実的ではないというのもよく分かる話ではある。
4G:移動アイテムというのは,どのレベルでも使えるものなのでしょうか?
Lee氏:種族によって少し違いますが,おおむねレベル60くらいから使えるようになります。レベルが上がると使えるものが変わってきたりします。
移動用アイテム。戦士は馬や虎,召喚士はケムケムという生き物,機攻士はロボットなど,魔法士は羽となっている
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ガンダム系のイラストで有名な森下直親氏によるイメージイラスト
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4G:日本版では韓国版と違う仕様などはありますか?
Lee氏:まず,キャラクターの顔を日本向けに描き直しています。ポスターなどのビジュアルも日本用のものを用意しました。イベントなどの機能も日本用のものを作っています。
4G:このゲームを日本でサービスするに当たり,パートナーとしてロックワークスさんを選ばれた理由はなんでしょうか?
Lee氏:まず,開発者の立場をよく理解してくれることです。次にその部分でコミュニケーションが取りやすいということですね。開発者の事情をよく理解してもらっています。
4G:ロックワークスは韓国語の堪能なスタッフも多いようですね。なるほど。今日はどうもありがとうございました。
ロックワークスには韓国人スタッフも多く,日本側プロデューサーも韓国人が務めていたりと,国内サービス会社としてはかなり韓国の開発会社とのやり取りを重視しているようだ。 とはいえ,新会社で,いきなり3タイトルの新作を引っ提げてサービスを展開していこうとしているのはちょっと驚きだ。ハイファイブ・エンターテインメントの澤氏のように,この業界で名前が通った人であればまだ分かるのだが,ロックワークスの社長はゲーム業界の人だったというわけでもないらしい。どういうコネクションで交渉をしてどこで人を集めたのか,この過当競争の市場にわざわざ乗り込んでくる真の理由はなんなのか,ちょっとよく分からない。
そのロックワークスが第1弾として選んだDark Arenaは,これまで「3人で作った」という点だけが大きく伝えられて,ゲーム本体の様子はいま一つ分かりにくかったのだが,短時間とはいえ開発者の話を聞いてゲームの一端に迫ることができた。読者の理解の一助になれば幸いである。(aueki)
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