ガンホーのステージ発表も併設された「エミル・クロニクル・オンライン」初のオンリーイベント「ECOケット」レポート
■ガンホー物販ブースは,開場早々大にぎわい
3月19日の日曜日,東京の大田区産業プラザPioにて,MMORPG「エミル・クロニクル・オンライン」では初めてとなる,ファンによる“オンリーイベント”(対象作品を限定した同人誌即売会)「ECOケット」が開催された。 このイベントには,エミル・クロニクル・オンラインの制作/運営元であるガンホー・オンライン・エンターテイメント(以下,ガンホー)も協賛出展しており,「ECOフェスティバル」として,ステージでの歌の披露やプレゼントなどの催しと,今後のアップデートに関する発表が行われた。ここでは,ECOフェスティバルの内容を中心として,ECOケットの模様をお伝えしよう。
当日の開場は午前11時。入場時間以前に会場の建物を回り込む形で長蛇の列が出来ていた。ただしこれは,同日・同会場で「マリア様が見てる」および「To Heart2」のオンリーイベントが開催されたせいでもあるようだ。後で詳しく触れるが,ECOケットそのものの来場者は,終日で500名以上,600名未満という規模であった。 会場が開くや,ガンホーの物販ブースには,早速折り返し付きの長蛇の列が出来上がる。この日は,定番の関連グッズに加えて,イベント限定商品である「ECOスペシャル福袋」(限定復刻の「でじこのネコミミ帽チケット」入り)や,先行販売のECOプレイチケット第2弾とテレホンカードなどが並び,「ゲーマーズ」で開催されている「ECO DE うさぷちフェア」も実施された。ちなみにこのフェア,エミル・クロニクル・オンライン関連商品を3000円以上買うごとに,「うさだのウサミミ(サイコロ付)♀」&「サイコロリボン♂」または「ぷちこのトラミミ帽」どちらかのアイテムチケットが手に入るというものだ。 容易に想像できるとおり,このイベントは極めて男性客が多かったのだが,グッズ販売の列はやや例外的に女性やカップルの比率が高かった様子。開場直後に撮影を兼ねて様子を見ていたところ,レジで3万円を超える買い物をしていく人も,ちらほらいたようだ。
出展サークル数は合計17。主たる商品はもちろん同人誌だが,なかにはマリオネット「タイニー」の携帯電話用マスコットを販売しているブースもあった。
■RAGFES 2の故事を踏む,ECOイベントの開幕
ECOフェスティバルの冒頭では,ECOケットの主催者の一方であるSDFの代表 前川浩史氏,もう一方の主催者,同人アークティックの北條孝宏氏が登壇して簡単な挨拶を済ませたあと,ECOフェスティバルの開幕が宣言された。 前川氏といえば,同じくガンホーのMMORPG「ラグナロクオンライン」のイベントを取り仕切る,RAGFES事務局の代表として知られた人物。氏が登壇すると同時に,今回使われている大田区産業プラザPioが,名高い「RAGFES 2」の会場であったという“故事”も語られ,エミル・クロニクル・オンラインのエンドユーザーイベントの門出に花を添える格好となった。
続いてステージでは「ECO放送局ECOフェスティバル特別版」が開始された。これは,インターネットラジオ番組「ECO放送局」の出張版で,ステージには番組のキャストが登場し,いささか微妙なトークショウを繰り広げた。 司会側としては,おなじみガンホー ECO宣伝担当の小島幸博氏と,歌手/声優の原田ひとみさん,パネリストとしてはガンホー側開発担当者の岩田賢容氏,宣伝担当の山本征幸氏,運営担当の浅間達雄氏が登場。また,今回会場に来られなかった“ECOの黒幕”氏(ヘッドロック側開発担当)も,事前に用意した回答をスクリーンに映してオチとする形で,トークに加わった。 「最近読んだ漫画は?」「一番好きなゲームは?」「エミル・クロニクル・オンラインにぜひ実装したいと思う要素は?」といった質問に対して,それぞれに回答を書いて示すパネリスト達だったが,トークショウとしてはどちらかといえば,原田ひとみさんのボケっぷりが最大の見どころだったようだ。 ステージ後半は,会場から問題を募集するという形で進んだ。会場から出た「テクニカルスキルはいつ実装されるか」という質問に対しては,岩田氏が「ごめんなさい,まだ言えません。ジョブレベル30以降の通常スキルがまだ固まっていないので,そちらを優先します。しばらくお待ちください」と回答した。 また「サザエさんの波平さんの頭みたいな,ネタ装備は実装されないのか」という質問には,同じく岩田氏が「現在はそれよりも,一般的な装備品やカジュアルな服装の要望が多いので,そちらに努力しています。ただし,それだけでは面白くないので,別途企画を立て,アイテムチケットの形でいろいろなものを導入しています。そちらで,面白いものを取り入れていけたらいいなと,考えています。今後にご期待ください」と答えた。 また「倉庫の容量を増やす予定はあるか」という質問に対して,岩田氏は「現在いただいている要望の中でも,上位に入るものですが,現在の利用状況を調べたうえで,スペースを取っているアイテムを,効率のよい形に変換できるようにしたりといった対応を,していきたいと思います。倉庫そのものの拡張は,トラフィック負荷とのバランスをとりつつ検討していきますが,例えば別途衣装ダンスを用意するといったことを考えています」と応じるなど,やりとりは至極まっとうなもの。ボケとツッコミのトークショウの流れで始まったはずなのだが,質問も回答も意外にシリアスな展開になっていたようだ。
■Filn,少年ブラッドと連携,新システムもアナウンス
さて,14時からは「緊急記者発表会」と題し,ガンホー岩田氏と山本氏が今後のアップデート予定および,プロモーションプランについてプレゼンテーションを展開した。 プレゼンテーションの冒頭では,羽々キロ氏による新しいキービジュアルが紹介された。これは3月24日実装の「SAGA3:豊穣の国と闇の城」に合わせて用意され,2006年におけるエミル・クロニクル・オンラインのテーマ“新生”を意識して描かれたものだ。 SAGA3に導入される新地域「ファーイースト」の登場モンスターが描かれ,おなじみのキャラクター6名は衣装を替え,描かれているリボンや天使の羽のアクセントは,ゲーム内アイテムとして用意されるという。
それに続いて山本氏が,PR面でのプレゼンテーションを行った。山本氏はまず,2005年のコンセプトとして「ハートフルオンラインRPG」「遊ぶことが癒されることにつながる」「かんたん,やさしい,楽しい」「みんなで作ろう」の4行をおさらいした。そして,2006年にはこれに加えて「癒すから暮らすへ」というコンセプトを打ち出し,「ハートフルに暮らす」ことをテーマにするという。
山本氏は「暮らす」の意味内容を,衣・食・住という三つの論点に沿って展開させていく。まず衣としては,昨年来アイテムチケットの形で多くの衣装を登場させてきたことに触れ,今年はさらにさまざまなファッションメーカー/ブランドとのタイアップなどを,長期的に進めていきたいと述べた。 食については,ゲーム内におけるレシピの募集と,昨年行った出前館および宅配ピザとのタイアップの,第二弾を考えていると語った。今年の春以降を予定しており,別途発表がなされるとのことなので,楽しみだ。 最後に住だが,これには既報のとおり「飛空庭」システムが待っている。ただし,詳細については後に続く岩田氏のプレゼンテーションに持ち越された。 また,暮らすというコンセプトをさらに延長して,エミル・クロニクル・オンライン独特の「シアターシステム」でライブハウスイベントを行ったり,プレイヤーによる演劇が行えるようにしたりといった展開が,予定されていると説明した。主題歌,サウンドトラックに続く音楽面での第3の展開も構想されているという。 また,オンラインゲームと生活の接点として,お花見,子供の日,ジューンブライド,海開きといったゲーム内での季節イベントも,随時展開されるとのことだった。
さて,コンセプト面での展開とは少々異なるが,山本氏のプレゼンテーションでは続いて,“アキバ系”SNS「Filn」との協力が説明された。 ステージには運営元ハイビジョンの代表取締役社長 宮脇元康氏が登場し,Filnのコンセプトについて説明した。ゲーム,アニメ,同人誌といった“アキバ系”の話題を,周囲の目を気にすることなくやり取りできるのが特化したSNSのメリットであり,Filnの会員数は現在,1万5千人を数えるという。なお,Filn上での展開予定については既報のとおり,「ECO運営チーム交換日記」の掲載や,マスコットキャラクター「フィル」のゲームへの実装が予定されている。 ちなみに,会場に来ていたハイビジョンのFiln広報担当 伊藤真広氏に聞いてみたところ,現在のFilnは「利用者の50%が1週間に1度以上オンラインになる」状況だそうで,「イベントの告知や情報交換には有益な場所となるはず」とのことだった。
続いて,MOVIDA ENTERTAINMENTが4月12日に創刊する漫画雑誌「月刊少年ブラッド」で,エミル・クロニクル・オンラインの外伝コミックの連載が行われる旨の発表があった。 コミックに登場したキャラクターやモンスターがゲームに登場し,同じく衣装や武器も実装されるほか,コミックと連動したクエストやイベントが展開されるという。 壇上にはMOVIDA ENTERTAINMENT 月刊少年ブラッド編集部の野上泰大氏が登場し,「中高生に楽しんでもらえるような王道の少年誌」という同誌の内容や,創刊号が240円,通常号も290円という価格設定,Webサイト(オリジナル作品を無料購読できる),携帯電話向け(雑誌と同内容をダウンロード購読できる)と同時に展開していくというコンセプトなどについて説明があった。 掲載される漫画については,山本氏からあらためて説明があり,現在のゲーム世界より過去の時代が描かれること,それゆえ,漫画で起きた出来事が,その未来であるゲームに反映されること,などが述べられた。山本氏と野上氏の話はさらに積極的な方向に進み,過去の時代に行くイベントを作って,その結果で次号の掲載内容が変わるような展開もあり得ることが語られた。ゲームやイベント,あるいは漫画作品そのものの面白さにどこまで影響するファクターか読みきれないが,積極的かつ斬新な試みであるのは間違いない。連載の開始は野上氏の口から「暑くなって,セミが鳴く頃」という言葉で示されたとおり,夏頃になるようだ。
プロモーションプランの後には,ガンホー側開発担当の岩田氏から,今後のアップデートプランのうち,とくに大きな二つのフィーチャーを中心に発表がなされた。既報のとおり,騎乗ペットと飛空庭だが,会場では騎乗ペットの第一弾が「クローラーキャリアー」になること,戦闘と移動それぞれに特化したペットが検討されていること,現在羽々キロ氏によるデザインが進められていることなどが報告された。 一方飛空庭については,1アカウントにつき一つ,つまり倉庫と似た形で,複数キャラで共有可能なものとして導入されること,常にキャラクターの上に浮かんでいるという設定で,街やフィールドなど空が見える場所で,ロープを伝って乗り降りすること,花やポスト,旗,帆といった装飾オブジェクトが用意されること,飛空庭そのものは,プレイヤーがパーツを集めて作るものであり,集めている途中のパーツがインベントリを圧迫しないよう,作りかけの飛空庭にセットしていく仕組みになることなどが説明された。また,まことにエミル・クロニクル・オンラインにふさわしく,ログアウト後に飛空庭を残していける仕様も考えられているという。 両フィーチャーの実装時期はSAGA3中で,飛空庭システムについては,その第一弾である家システムが,このタイミングで実装される予定とのことだ。
そのほか,今後予定されているアップデート要素としては,
■これまでとは違う種類の特殊なダンジョン ■コンプリートを目指すコレクションアイテム ■ある装備品の性能を,ほかの装備品に移せる武器融合
が考えられているという。とくに最後の武器融合は,例えば丈夫な鎧の性能をTシャツにコピーするといった形で,着せ替え要素の充実に画期的な貢献をする可能性がある。今回も詳細は語られていないものの,順次開発が進められているとのことなので,注目しておきたい。
■ECOオンリーイベントの次回は?
ステージイベントの締めくくりは,エミル・クロニクル・オンラインのイメージパーソナリティ嘉陽愛子さんのミニコンサートと,プレゼント争奪じゃんけん大会。このタイミング,ざっと見たところで180人内外と思われる来場者が一斉に,ステージ上のパーソナリティとじゃんけんをするさまは,なかなかに壮観だった。
エミル・クロニクル・オンラインにおける,初めての“オンリーイベント”ということもあり,最後に主催者の一人,同人アークティックの北條孝宏氏に今回のイベントの手応えを聞いてみた。前述のとおり来場者数は,パンフレットおよびECO缶の配布数から判断して,確実に500人を超え,600人には達しない程度であろうという。氏によれば,20サークル程度のイベントでは,来場者が100名そこそこに留まることもよくあるそうで,ガンホーの協賛出展もあって,今回は正直予想以上の来場者数だったとのこと。 もともと今回のイベントは,もう一方の主催者である前川氏と北條氏が個人的に話していて,両団体が一緒にやることを決めたという。そして,それをなんの気なしにガンホーに話してみたところ,ちょうど3月に大きなプロモーションを予定していた同社が相乗りする形になったようだ。 ステージ上のMCで,「次回のECOケットで」というセリフが出てきたことから,次回の予定について聞いてみたところ,明確に予定があるわけではないという。ただし,「エミル・クロニクル・オンラインはこれから盛り上がっていく可能性のあるテーマであり,時期と会場の調整がついたら,またぜひやりたい」とのこと。今回の結果を勘案すれば,次なる機会もなしとしないところ,だろうか。 イベント全体の趣旨とは,もちろん別に考えるとしても,エミル・クロニクル・オンラインが持つ方向性の一つが,かなり濃厚に表れた感のある今回のイベント。ハートフルとはいったい何であるかはさておいて,ラグナロクオンラインの故事を慕いつつ,より当世風のプロモーション展開を進めるこの作品の話題に,今後とも注目してほしい。(Guevarista)
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エミル・クロニクル・オンライン |
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