[韓国ゲーム事情#495]韓国政府,“なりすまし”行為の防止策を発表
Kimの韓国最新PCゲーム事情#495
韓国政府,“なりすまし”行為の防止策を発表(2006/3/6)
以前「こちら」でお伝えしたように,オンラインゲームで“なりすまし”が行われているのではないかとの疑惑が与えた衝撃は,ゲーム業界に留まらず,IT業界にまで波紋を広げつつある。 それを受け,韓国政府の情報通信部は,2月28日に会議を開いて対応策を協議した。この会議に出席したのは,文化観光部や警察庁などの政府機関,NCsoftやNEXONといったオンラインゲーム企業,KT(日本におけるNTTに相当する組織)やHanaro通信などの通信事業者の代表など,20人余り。会議の終了後,流出した個人情報の悪用と個人情報の流出を防止するための対策が,緊急発表された。 この会議では,韓国内で運営されているほとんどの登録制サイトにおいて,会員登録時に行う身分確認の方法に甘さがあったことや,それらのサイトを運営する企業が適切に個人情報を管理していなかったことが,今回の問題の主な原因であると結論付けた。
情報通信部は,2006年2月,中国内で韓国人の住民登録番号が流通している実態を把握するとともに,「Lineage」などのオンラインゲームをプレイするための,不正なアカウント情報を販売するサイトを摘発した。そのときに情報通信部が入手した2600以上もの不正なアカウント情報は,KTやHanaro通信などの通信事業者に提供され,サーバーに接続できないよう遮断する措置が,2月24日から取られている。また今後も,韓国内のゲームサーバーのモニタリングを行い,中国や台湾などからのアクセスの実態を調査し続ける方針だ。
オンラインゲーム業界では,「RMT」がしばしば話題に上るが,このRMTという取引形態が“なりすまし”の背景にあるとの分析結果に基づき,文化観光部を中心として,ゲームアイテムの現金取引に関する法案を提出する準備を行うことが決まった。 また,登録制サイトの会員登録時に入力が求められた住民登録番号に代わる,新たな身分確認方法の確立を目指す考えで,携帯電話を利用した認証方式などを導入するよう求めていくとのこと。 さらに,韓国人の住民登録番号が,中国をはじめとする海外のサイトを通じて流出し,悪用されていた実態があることから,中国政府やGoogleなどに対して,個人情報を削除するよう要請する方針だ。
さらなる防止策として,ポータルサイトやゲームポータルサイトにログインすると,そのユーザーのPCにセキュリティパッチが自動的に適用されるようにし,現在は38%ほどといわれている,韓国のPCユーザーのセキュリティパッチ適用率を80%以上に高めるとともに,ウェブサイトに対するハッキングを防止するためのファイヤーウォールの利用を積極的に推進するという。 また,韓国における訪問者数の上位7万位までのサイトを対象に,ハッキング検査を毎日実施するソフトウェアを開発して,個人ユーザーが安心して会員登録を行える環境を整備する。
一方,この事件によって大きな被害を受けているNCsoftは,“なりすまし”防止策として,今後新規登録を行う人に対し,携帯電話を利用した認証を行うことを明らかにした。 2月23日までに名義を盗用されたと届け出た人の数は13万1170人に上り,そのうち5000人が,NCsoftを相手どり集団訴訟を起こす準備をしているという。完全に解決するにはまだまだ時間がかかりそうな気配である。
政府の計画どおりにはなかなか事が進まないことを見越し,各オンラインゲーム企業は,情報通信部が掲げる防止策とは別に,既存会員の個人情報保護を徹底していくほか,会員でない人が,今後安心して会員登録を行える高度なセキュリティシステムの導入を目指すとのことだ。
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