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いよいよ規制が本格化? 4都県がゲーム規制を共同実施へ
2006/01/13 14:56
 2005年は,「Grand Theft Auto:San Andreas」における「Hot Coffee問題」(その詳細は,連載「奥谷海人のAccess Accepted」第40回で読める)が大きくクローズアップされたことから,アメリカで,暴力的な表現を含むゲームを規制する動きが目立っていた。その影響は,確実に日本にも届いているようだ。
 東京,埼玉,神奈川,千葉の4都県の知事による1月10日の会談で,暴力的な表現のあるゲームの青少年への販売規制を,共同で実施することが決まった。
 これまでにも,神奈川県が「グランド・セフト・オートIII」を有害図書に指定するなど,埼玉,神奈川,千葉の3県では独自の基準で規制を行っていたが,今後は東京も含めて共通の基準を作り,共同で規制に当たっていくことになる。
 これにより,基準のバラツキがなくなる……というのは,実際問題,4都県にとって大したメリットにはならないだろう。4都県が連携する最大のメリットは,そのゲームが規制の対象となるかどうかの“調査”を,分担できるという点にある。
 今後,この4都県に加わる道府県が出てくることは,想像に難くない。いずれは日本中で,共通の基準でゲームの販売が規制されるという想像も,あり得ない話ではないのかもしれない。

 さて,「規制が必要か必要でないか」という(あまりにもアバウトすぎる)問題はさておき,一体どのような“調査”を行うかが,気になるところである。何人かでプレイして,その印象で決め……たりするのだろうか。
 機械的な数値で表せない以上(まさか画面における血の表現の面積の割合が……なんてことをするのだろうか),明確な基準は作れるわけもなく,また,プレイヤーに対して,どういった表現がどのような影響を与えるのかが科学的に明確に立証されていない/有効なデータが存在しない現状では,人間が見て判断するのにも限界がある。
 そもそも「Grand Theft Auto:San Andreas」にしたって,一度はその手のチェックを通過しているのである。「Hot Coffee」のようなMODを使用しないと見られない部分まで調査するというのは,現実的にあり得ない話だ。
 このあたりがあやふやなまま規制が行われてしまうというのには,不安があるというのがゲーマー達の本音ではないだろうか。

 ここで話をアメリカに戻す。以前Access Acceptedの第52回でお伝えした,アーノルド・シュワルツェネッガー知事がサインしたというカリフォルニア州のゲーム規制法案は,2005年12月21日(現地時間)に同州の連邦地裁によって,憲法違反として仮差し止めが決定されている。判事は,言論の自由が制限される懸念を指摘しており,また,ゲームと実際の暴力行為の関係が証明されていないことから,この判決に至ったという。
 これはカリフォルニア州に限った話ではなく,2005年末だけでもミシガン州,イリノイ州で同じくゲーム規制法案の差し止め(仮差し止め)が出ており,この流れは今後も変わらなさそうである。

 ただ,アメリカと日本とでは,ずいぶんとゲーム販売における状況が違うことも忘れてはならない。
 先の連載記事で奥谷氏も書いているように,アメリカではアダルトゲーム(いわゆるエロゲーだ)は絶対数が少なく,店頭販売はほとんどされていない。ところが日本といえば……,そう,普通のゲームショップに,普通にエロゲーが置いてある。また,もちろん日本でも業界団体による(自主)規制が行われているが,実際問題,一見して中高生と分かる客にも18禁のタイトルを売っているショップも少なくないと聞く。ゲーム業界側が一致団結してこの問題を解決しない限り,行政が乗り出してきても,文句は言えないのではないだろうか。

 なんにせよ,ごく普通の善良なゲーマー達にとって,不便な世の中にならないことを願うばかりだ。(Iwahama)


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http://www.4gamer.net/news/history/2006.01/20060113145654detail.html