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[G★2005#017]乱戦が楽しめる三国志をモチーフとしたMORPG「蒼天」
2005/11/12 02:10
 G★ 2005の会場入り口正面にブースを構えていたWeMade Entertainment。そこでは,三国志をモチーフとしたオンラインアクションゲーム「蒼天」のデモプレイが行われていた。G★に合わせて急きょ整えたバージョンとはいえ,派手なアクションと爽快感は会場内の人を惹き付けるのに十分なインパクトだったようで,常に人だかりができていた。
 会期2日めとなる11月11日に,蒼天のプロジェクトマネージャーJung-soo Park氏にインタビューを行えた。単なるアクションゲームでなさそうな本作は,実際のところどんなゲームシステムなのだろうか。そのあたりを中心に話を聞いてみた。



Jung-soo Park氏(以下,Park氏):1998年からゲーム開発に携わり,2000年にWeMadeに入社。ミルの伝説2,ミルの伝説3などを手がける。蒼天のプロジェクトマネージャー。

4Gamer.net:
 本日はよろしくお願いいたします。先ほどブースのほうで蒼天を見てきたのですが,実に派手なアクションですね。

Park氏:
 こちらこそよろしくお願いします。いままでに2Dベースのゲームはいくつか作ってきたのですが,3Dは初めてとなります。3Dでは表現力が豊かになるので,思い描くとおりに作っていけるのがいいですね。

4Gamer.net:
 ゲームエンジンには何か既存のものを使っているのですか?

Park氏:
 ゲームエンジンを購入していろいろテストを行ったり,自分たちでゲームエンジンを作って試行錯誤を繰り返したりしてきました。現在稼働させているのは,2003年ごろから開発をしてきたオリジナルのゲームエンジンを基に改良を重ねたものです。

4Gamer.net:
 そのゲームエンジンの特徴はどのようなものですか?

Park氏:
 100人規模のルームを作成して対戦などができるのが特徴ですね。

4Gamer.net:
 100人とはすごいですね。パケット通信量や通信遅延の問題などはないのですか?

Park氏:
 社内でのテスト環境では,200人まで同時接続を行えたという実績があります。しかし,あまり接続数が多いと,グラフィックス面など,ほかの部分での問題が出てきますので,とりあえずは大幅に絞って8人ほどで開発作業を進めています。

4Gamer.net:
 そうなると,いままでのカジュアルゲームやMOタイプのオンラインゲームとは異なる新しいゲームスタイルが実現できそうですね。

Park氏:
 ええ,実は新しいジャンルを作っていければと思って,蒼天を開発しています。コンシューマゲーム機的なアクション性を持った多人数対戦が目標です。
 大勢と戦うことにはいろいろ表現方法があると思います。最初はNPCを相手にするものだったのですが,そこがプレイヤーならばもっと面白くなるのではないかというのが,蒼天のコンセプトの基点です。これがうまく実現できれば,MMORPGとは違った楽しさが生まれてくるのではないでしょうか。

4Gamer.net:
 ブースでのデモプレイでは,NPCを相手にしていたので,コーエーの三國無双っぽいゲームシステムを連想していたのですが……

Park氏:
 あぁ,言われると思いました(笑)。あのデモは,G★ 2005に出展するために急いで体裁を整えたというバージョンです。ですので,2人での対戦と,多数のNPCを相手にするゲームとイメージされてしまうのも仕方ないと思います。次回お見せできるときは大きく変わっていると思いますよ。

4Gamer.net:
 ほうほう。そうなのですか。あの派手なアクションはPCゲーム的ではないような感じもしますし,今後の開発が楽しみですね。



■継続してプレイさせるユニークな試み
4Gamer.net:
 話は変わりますが,なぜ三国志をモチーフとしているのですか?

Park氏:
 三国志で描かれている約100年間には,たくさんの物語があります。また,多数の英雄,登場人物もいます。そのどれもがすばらしい人物であり,彼らが採る戦術,戦略についても,私は個人的に大変好きです。それで三国志の世界をゲームで再現できたらというのが発端ですね。今までに三国志を題材としたゲームはたくさんありましたが,その世界観をオンラインでフルに表現したゲームはまだないと思っています。

4Gamer.net:
 とすると,プレイヤーは,三国志に登場する武将,知将のいずれかに扮するのですか?

Park氏:
 いいえ,プレイヤーは一介の兵士からスタートします。クエストやミッションをクリアしていくことで,キャラクターを育て,またいろいろな三国志エピソードを体験していきます。

4Gamer.net:
 兵士ということは,武器は槍とか剣とか……?

Park氏:
 ええ,弓も使えますが,基本的には戦士タイプといえますね。今後は,孔明などの知将タイプも実装する予定です。どのようなスタイルにするかがはまだ決定していないのですが,まぁファンタジーでいえば魔道士という感じになるでしょう。

4Gamer.net:
 なるほど。では,キャラクターの成長はどのようなシステムになっていますか?

Park氏:
 弓,剣,槍などの武器スキルを成長させていくという感じですね。これ以外にスキル攻撃力や防御力をアップさせていけるので,自分好みに成長させられます。先ほどお話したクエストやミッションでは,複数人が協力して挑むものもありますので,防御タイプのキャラクターも重要な役割を持たせようと思っています。

4Gamer.net:
 オンラインゲームでは,ローンチからの時間経過とともに,高レベル帯のプレイヤーが増えて,新しく始めた人がプレイしづらいという状況が生まれがちです。蒼天では,なにか対策は行う予定ですか?

Park氏:
 ええ,プレイヤーの成長に合わせたタイミングでクエストやミッションなどを追加していくことを考えています。高レベル帯プレイヤーが多くなれば,高レベル帯プレイヤー向けのものを多く追加するでしょう。また,高レベルプレイヤーと初心者が一緒にプレイできるようなシステムも考えていますよ。

4Gamer.net:
 それは,エバークエストIIのメンターシステムのように,相手のキャラクターにレベルを合わせるというものですか?

Park氏:
 いいえ,ちょっと違います。具体的なシステムはまだお話できないのですが,高レベルキャラクターと初心者が対戦したときに,常に高レベルプレイヤーが勝利するというようなことは起こらないようにする予定です。

4Gamer.net:
 それは興味深いですね。クエストやミッションには三国志の英雄が登場しますか?

Park氏:
 ええ,英雄との交流というのも蒼天での重要な要素の一つです。プレイヤーキャラクターも最終的には英雄になることも考えていますが,全エピソードをクリアするくらいの労力を必要とさせる予定です。

4Gamer.net:
 なるほど。それは面白そうですね。

Park氏:
 ほかにも基本的には,ゲームをプレイしていて単調にならないように外部的な要因を持たせています。戦闘もそうですが,いろいろな場面で,意外な方向へ進んでいくという感じを出してモチベーション維持をさせる予定です。

4Gamer.net:
 オンラインゲームでは作業的になってしまうことが多々あるので,うまく実現できるといいですね。




■コンシューマゲーム機以上のアクション性を持つオンラインゲームを目指して
4Gamer.net:
 さて,また話は変わりますが,2005年のオンラインゲーム市場は,MMORPGタイトルが減り,逆にカジュアルゲームが増えてきました。その次にはどのようなジャンルのゲームが伸びてくると思いますか?

Park氏:
 現在のカジュアルゲームは,アクションの真似をしているだけのものが多いような気がしてます。ですので,カジュアルゲーム指向はしばらく続くとは思いますが,コンシューマ機で表現されるアクション,またはそれ以上のものが出てくると思いますよ。

4Gamer.net:
 アクションというのは,グラフィックス的にですか?

Park氏:
 ええ,派手なエフェクトだったり,微細な操作が必要だったりというのを想像してます。

4Gamer.net:
 前回のインタビューでも自信がおありのようでしたが,オンラインゲームをまだ体験したことのないコンシューマゲーマーへのリーチ力は変わりませんか?

Park氏:
 開発を続けていくうちに,その自信は強くなってます。新しいユーザー層の開拓も蒼天で十分できると思います。

4Gamer.net:
 自信たっぷりでこちらも期待させられます。蒼天のこれからのスケジュールを教えてください。

Park氏:
 まだぜんぜん決まっていないのですが,2006年の上半期にはクローズドβテストをしたいですね。そのときは,クローズドだからといってクォリティの低いものや,機能限定というのではなく,オープンβテスト並の完成度で実施したいです。

4Gamer.net:
 最後に,日本のゲーマーに向けて一言お願いします。

Park氏:
 私たちは,常に"Fun Make"というのをキーテーマとして開発を行っています。面白いゲームには,グラフィックスの素晴らしさではなく,ゲーム本来の楽しさが必要だと思います。蒼天をぜひ楽しみにしてください。



 会場内にあるカフェで行ったため,あまり時間が取れなかったのが残念だったが,蒼天がどのような方向性をもって開発されているかが,ある程度分かるインタビューとなった。いままでのオンラインアクションゲームは,サーバーとクライアントの通信の関係で人数制限や機能制限をせざるを得なかったが,サーバー能力の向上や回線品質の改善などによって,これらの問題点は解消へと向かっているという。
 今回のインタビューで聞くことができた要素が,大きな問題なく蒼天に実装されれば,非常に期待が持てるタイトルとなる。2005年末から2006年にかけて,オンラインアクションゲームは大きな飛躍を見せるのかもしれない。(Seal)


蒼天
■開発元:Wemade Entertainment
■発売元:Wemade Entertainment
■発売日:N/A
■価格:N/A
→公式サイトは「こちら」

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http://www.4gamer.net/news/history/2005.11/20051112021018detail.html