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「トリオ・ECOスタッフ座談会」で明かされる今後の展開と開発裏話
2005/10/26 22:49
■現場担当者による,開発秘話(?)の開陳

 本日(10月26日),ガンホー・オンライン・エンターテイメント(以下,ガンホー)本社にて,「トリオ・ECOスタッフ座談会」が開催された。これは,MMORPG「エミル・クロニクル・オンライン」(以下,ECO)に関わる3社,ガンホー,ブロッコリー,ヘッドロックの現場担当者が集まって,ECOの開発と運営にまつわるエピソードを披露するというもの。その場で語られた,開発/運営側の裏話を紹介しよう。
 座談会に登場したのは,ブロッコリー ECO広報担当の中田智宏氏,ヘッドロック ECO企画・開発担当の下郷藍子氏,ガンホー ECO制作担当の岩田容賢氏,ガンホー ECO宣伝担当の山本征幸氏。そして全体の進行は,ご存じガンホー ECO宣伝担当の小島幸博氏が担当する。
 最初にお題に上がったのは,10月14日に実装された「SAGA1:白き大地と無限の回廊」について。ガンホー 岩田氏からは,このアップデート,とくに"無限の回廊"について,「当初プレイヤーによる挑戦要素として企画されたものですが,ECOの特徴に沿ってクエストを追加することで,現在のような仕様になりました。強力なボスキャラクターやパーティクエストも順次追加していきます」との説明があった。
 一方開発会社であるヘッドロックの下郷氏は,「世界が広がっていく第一歩として,普通に便利で使いやすくするのが今回の目標でした」とコメントした。そのまっとうなコメントとは裏腹に,実は下郷氏は,SAGA1で登場する子供のカップルキャラクター「ダーリン」と「ハニー」,彼らが登場するスポット「激ラブ橋」の命名者であるらしい。

 続いて語られたのは「エミル・クロニクル・オンライン命名の理由」。これについてはブロッコリーの中田氏が「ブロッコリー社内で,最初に主要キャラクターの名前に基づく『エミル・オンライン』という提案があったのですが,略称がEOではよく分からない。そこで私が,間にCを入れてECO,CはChronicle(クロニクル,年代記)でと提案しましたが,すごい勢いでスルーされまして(笑)。改めてCで始まる言葉を探した結果,結局Chronicleで行こうということになりました」と,経緯を説明した。
 ちなみにキャッチコピーである「僕が君の盾になる。そして君が僕の…。」は,ガンホー 代表取締役社長 森下一喜氏の発案によるものとのことだ。

写真上段左:今回「エミル・クロニクル・オンライン」の名付け親であることが判明した,ブロッコリー ECO広報担当 中田智宏氏
写真上段右:何かと「ボスが……」と話題を上司に流しつつ,開発サイドでの見解を述べた,ヘッドロック ECO企画・開発担当 下郷藍子氏
写真下段左:ときに驚くべき率直な見解を語ってくれた,ガンホー ECO制作担当の岩田容賢氏
写真下段右:さまざまなショウでマリオネット「タイニー」の着ぐるみで奮闘する,ガンホー ECO宣伝担当 山本征幸氏


■テスターによって使い方が模索される憑依システム

 そしてECOの特徴に関わる「憑依システム誕生の理由」としては,ヘッドロックの下郷氏が「もともと,パーティシステムの新しいあり方として,ほかの人に頼ってプレイを進められる形を,私のボス(ヘッドロック 浜田氏)が考え出したという形です」と切り出した。ただし,企画段階での概念説明はかなりユニークなものであったらしく,「説明の引き合いに出されたのは,二人羽織と『ど根性ガエル』」と下郷氏が述べると,ガンホー 小島氏がすかさず「で,憑依している側のプレイフィールについて聞くと『志村,こっち,こっち』。ますます分からなくなりました」と補足した。
 一方ガンホー 岩田氏は,「パーティを組んだあとに,ちょっとだけ離席できることが大きなメリットと考えていました。また,一人に複数人数が憑依して,目的地に移動しながらチャットを続けるというのも,ECOらしい風景ですね」と語った。
 ガンホー 山本氏は,「○○○に連れて行ってくださいとか,ヒッチハイクみたいな使い方が生まれていて,プレイヤーが常に開発側の提案を超えた方法を試しているのが面白い」と感想を述べ,これに対しヘッドロック 下郷氏は「憑依した相手のアクションを見て楽しむことから,"ご主人様オンライン"と呼ばれてますよね」と,ややきわどい話題を切り出した。
 きわどい話といえば,クローズドβテストで見られた"憑依抜け"も話題に上った。ECOには,例えばアクロポリスシティーの入り口など,一定の資格を満たさないと通れないゲートが存在するが,その資格を持った人に憑依することで,そうしたゲートをくぐり抜けてしまうのが"憑依抜け"だ。
 現在はできなくなっているが,岩田氏によれば「当初そういう仕様なのかとも思って,クローズドβテストの時点ではそのまま試してみました」とのこと。一種の不具合とはいえ,確かにECOならではの現象であり,なかなか面白い逸話だ。

 ECOで憑依システムの起源と並ぶトピックである「マリオネットシステム誕生の理由」については,ヘッドロック 下郷氏が「これは一人で憑依システムを使えるようにする,というのが発端です」と述べ,続いて岩田氏が「アニメのように,変身して強くなるという機能を前面に出したかったところですが,現状では主に足が速くなるとか,アイテム販売のベンダーとかに使われています。変身のメリットについてはこれからもっと出していきたいですね」と語った。
 なお,小島氏からは,「マリオネットのバックグラウンド,生い立ちなどについては今後,『マリオネット絵本』で明かされていく」旨の補足説明があった。

座談会の途中では「タイニーを描いてみてください」なる余興(?)も行われた。みんな練習済みだったのか,意外に正確な絵になってしまった


■開発サイドにとって実は後付けの「ハートフル」コンセプト

 さて,これもECOを構成する重要な要素といえる,イメージイラスト担当「羽々キロさん採用の理由」について。ブロッコリー 中田氏の説明では「カードゲーム『アクエリアンエイジ』と,それを扱ったコミックで活躍していたのですが,担当である甑(ブロッコリー社員)が,その将来性に基づいて強く推したのがきっかけ」と述べ,「人物だけでなく,動物やアイテムなど,独自の世界観を描く能力を持った人」として,高く評価した。
 イメージイラストと実際のゲームにおける"原画"の関係については,ガンホー 岩田氏が「ヘッドロック内での原画と別にイメージイラストをお願いしているのですが,職業専用アイテムのデザインなどについては,今後男女それぞれ向けにイメージの近いものを用意していく予定」と語った。

 ゲームデザインのおおもとの部分である「癒しコンセプト"ハートフルオンラインRPG"誕生の理由」に関しては,ヘッドロック 下郷氏が「時間のない人や,女性も含めて幅の広い王道RPGを作ることが前提にあって,それを満たすデザインとして『優しい』というキーワードが選ばれた」ことを明かした。それを補足する形で岩田氏が「癒し,ハートフルについては,開発上は後付け要素」だと,いささか驚くべき率直さで説明を加えた。「お客さんがハートフルという文脈を受け止めてくれるのが嬉しい」と,若干のフォローを入れてはいたものの,確かにゲームそのものをデザインする側の視点は,個別のキーワードよりはターゲットの設定にあるのだろう。

 座談会を締めくくる話題は「ECOの今後について語ります」。話題が話題だけに確たる発言は少なかったものの,ガンホー 山本氏は「SAGA2では,ドラゴンボールかよ! という展開をお見せします」と,いささか先のストーリー展開について匂わせた。
 開発に密着した立場で,テスターからの意見/要望を日々集約する岩田氏は「意見の多い(アイテムの)"修理"については,11月中に導入します。またいわゆるアイテムの精錬,何らかの力を与えたり,見ためを変えたりといったシステムも,なるべく早期に導入したいと思います」と,より近い予定を明かした。
 開発を担当するヘッドロックの下郷氏は,「アイテム合成の中身,何から何が作れるか,外部の資料なしに確かめられるシステムを早めに実装したいと思います。また,バックパッカー系のプレイで採算が合うようにします」と,これも目下の課題を挙げた。
 気になる正式サービスの予定については,ガンホー 小島氏が,「SAGA2の時点で正式サービスに移行します。時期は年内,つまり12月ごろ」と大まかなスケジュールを明かした。

 なお座談会の終了後には,先刻の記事でお伝えした「ハッピーハロウィン♪イベント」の説明に加えて,11月25日に発売される,3種類の「エミル・クロニクル・オンライン ビギナーズパッケージ」の内訳について説明があった。詳細は画像を参照してほしいが,WonderGOOの「スペシャルパッケージ」では箱とマリオネットモンスター「ダンプティー」のぬいぐるみに,ファミリーマート限定のパッケージでは緑色の「ネコマタ」に注目したいところだ。
 SAGA1の実装が一段落し,SAGA2はもう少し先というタイミングで,間つなぎ的な話題作りという印象もある今回の座談会だが,「ハートフル」というコンセプトについてや,原画とイメージイラストの関係など,普通の発表内容ではなかなか聞けない,興味深い話もあった。
 座談会終了後に聞いたところでは,SAGA1の完全実装に続くSAGA2では,正式サービス移行もあってか「徹底的にバランスをいじる」(ガンホー 小島氏)という話。気を抜けない日々が続きそうであるが,ここはアップデートを楽しみにしているファンのために,ぜひがんばってもらいたい。(Text by Guevarista,Photo by kiki)


エミル・クロニクル・オンライン
■開発元:ヘッドロック
■発売元:ガンホー・オンライン・エンターテイメント
■発売日:2005/12/09
■価格:1500円(税込)/30日間
→公式サイトは「こちら」

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http://www.4gamer.net/news/history/2005.10/20051026224938detail.html