NVIDIA,次期ForceWareに関する詳細を発表
次期ForceWareについて語るNVIDIAのマーケティング本部/日本・韓国部長 飯田慶太氏
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NVIDIAは2005年9月14日,都内でプレスカンファレンスを開き,同社が10月にリリース予定の次期ForceWareについて詳細を発表した。
このところ,Release 70,75とアップデートしているForceWare。それだけに,次期リリースのバージョンは容易に想像できそうだが,いずれにせよ次期ForceWareでは,主に以下のようなアップデートが行われるという。
FPS「F.E.A.R.」が,ゲームのシステムとしてSLIのプロファイルを持つ(ドライバの設定を行う必要がない)ことも発表された
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(1)異なるグラフィックスカードベンダ,異なる入出力インタフェースのカードであっても,グラフィックスチップが同じならばNVIDIA SLI(以下SLI)動作を行える (2)同じグラフィックスチップを搭載していれば,グラフィックスメモリ容量が異なる2枚のカードであってもSLI動作が可能。隠しユーティリティ「CoolBits」から,2枚のグラフィックスカード上にあるグラフィックスメモリをどういった形でフレームバッファとして用いるか設定できる (3)SLI動作時であっても,ビデオ出力が行える (4)Direct3D/OpenGLを問わず,VSync(ディスプレイ垂直同期)を有効にできる (5)SLIの有効/無効を,Windowsの再起動なしで切り替えられる (6)デュアルディスプレイ出力時のプライマリディスプレイを任意に指定できる (7)Linux環境下でSLIがサポートされる
このうち(1)に関しては,本誌連載「西川善司の3Dゲームエクスタシー」の「こちら」で解説済みなので参照していただくとして,(2)は注目に値する。現時点でこれ以上の情報がないため,どうやって設定するのかは不明だが,仮にグラフィックスメモリ256MBと128MBのGeForce 6600 GTカードが2枚あったとして,これでSLIを組んだときに,前者のメモリが半分ムダになることがないとすればありがたい。 また,(3)〜(5)に関しては,これまで不満に思っていた人が多いと思われる問題が解決される格好だ。
なお,一部で以前からささやかれていた「次期ForceWareではデュアルコアCPUに最適化され,パフォーマンスが大きく向上する」という噂については否定された。デュアルコアCPUの利用によって,ゲームのパフォーマンスが向上するには,まだ時間がかかりそうである。
■CrossFireの弱点を指摘 さて,NVIDIAは続けて,ATI Technologies(以下ATI)が近く発表すると思われる"ATI版SLI"こと「CrossFire」に関するNVIDIAとしての見解を発表した。いつものアレといえばそれまでであり,また,SLIとの違いについて発表された内容の多くは前述した連載の「こちら」で説明済みだが,なかなか興味深い指摘もあるので,ここで紹介しておきたい。
キーワードは「OUT OF DATE」といわんばかりに,CrossFireの遅れを指摘するスライド。事実は事実だが,いささか大人げない
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右に掲載したスライドは「CrossFireの動作モードが必ずしもすべてのCrossFire対応Radeonで有効になるわけではない」ことを示したもので,NVIDIAが調査した結果とのことだ。CrossFireの動作モード一つ一つについては「こちら」の記事に詳しいので繰り返さないが,このスライドによれば,16ピクセルパイプラインを搭載するRadeon X800 XL以上の製品では標準の動作モードとなるSuperTilingモードが,12ピクセルパイプ版Radeonでは有効にならない。OpenGL対応ゲームだと,16ピクセルパイプライン版であっても有効にならないようだ。
またNVIDIAは,CrossFire対応マスターカードに搭載される,スレーブカードからのデータを受け取るTMDSレシーバが,最高1600×1200/60Hzの対応になっている点を指摘した。要するに,CrossFire動作時は,1920×1200ドットのような高解像度環境を利用できないというわけである。 もし本当だとすれば,これはTMDSというより,DVI 1.0の仕様制限だろう。CrossFireでは,SLIブリッジの代わりにDVIインタフェースを利用する。そして,DVIには「1リンクは最高1600×1200ドット/60Hzまで」という制限がある。だから……というわけだ。 CrossFireシステムを試したわけではないから想像になるが,データ転送にTMDSレシーバを介す以上,アナログ出力時であっても,この制限から逃れられない可能性は高い。仮にこの指摘が正しいとすると,NVIDIAはATIの痛いところを実にうまく突いたといえる。
NVIDIAはこのほかにも,ATI製チップセットのパフォーマンスが低い点や付加機能が少ない点を挙げ,「最高のパフォーマンスを求めるなら,CrossFire対応マザーボードを選択するのはありえない」と指摘する。もっとも,「Intel製チップセットがCrossFireをサポートするようだが,SLIはどうなのか?」という指摘には,返す言葉がない様子だったが
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いかんせんCrossFireはまだ世に出ていないのでなんともいえない。とはいえ,ここにきてNVIDIAがネガティブキャンペーンに出たことは,CrossFireの登場が近く,かつパフォーマンスに見るべきものがあると判断することもできよう。次期ForceWareも含め,グラフィックスチップ周りがまた面白くなってきた印象だ。(佐々山薫郁)
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