デュアルコア最適化?リーク版ForceWare 80.40βをチェック
いくつかの海外サイトで,NVIDIAのグラフィックスチップ用ドライバの最新β版「ForceWare 80.40」(以下ForceWare 80.40β)が公開された。これはNVIDIAが正式にリリースしたものではないリーク版だが,バージョン番号が80で始まるForceWareが公開されたのは,筆者の知る限りこれが初めて。80番台を名乗る以上,このForceWare 80.40βは,NVIDIAが言うところの,現行「Release 75」から「Release 80」へと移行するメジャーバージョンアップに,何らかの関係があるものと推測される。
3DChipsetの「こちら」から実際にダウンロードしてみたところ,「modes.txt」というテキストファイルに,GeForce 7800 GTXやGeForce 6800 Ultraなどのグラフィックスチップ名と並んで,「G72」「G72GL」「C51」「C51GL」という,気になる文字列が見て取れた。まず,G72/G72GLについてだが,これはNVIDIAの開発コードネーム命名法則に従えば,「G70」(=GeForce 7800 GTX)の下位モデル。GeForce 6800に対するGeForce 6600のように,GeForce 7シリーズには"GeForce 7600"のようなグラフィックスチップが用意されていると見てよさそうだ。 また,C51/C51GLは,GeForce 6200 with TurboCache相当のグラフィックスコアを内蔵する新型チップセット「Crush 51」(開発コードネーム)のことだろう。「GL」という表記の意味までは分からないが,発表前のグラフィックスチップやチップセットを垣間見ることができるあたりから,ForceWare 80.40βが次世代製品のサポートを視野に入れた,新世代ドライバらしいことはうかがえる。
■ForceWare 80.40βはデュアルコアCPUに最適化?
NVIDIAはかねてより「ForceWareはRelease 80から,ドライバレベルでデュアルコアCPUに最適化される」と述べている。そう聞くと,Release 80世代に見えるこのForceWare 80.40βは,デュアルコアCPUベースのシステムで,何らかのパフォーマンスアップがあるのではないかと,どうしても期待してしまう。 そこで,表のように,デュアルコアCPUであるAthlon 64 X2 4800+/2.4GHz(以下4800+)ベースのシステムを用意し,「3DMark05 Build120」と「DOOM 3」で,現行の正式版最新ドライバ「ForceWare 77.72」と比較してみることにした。また参考のため,4800+と同一のクロックで動作し,L2キャッシュ容量も同じシングルコアCPU,Athlon 64 4000+/2.4GHzを用意して,ForceWare 77.72適用時に同一のテストを行っている。
結果は順にグラフ1,2のとおり。グラフから明らかなように,ForceWare 80.40βと同77.72の差はごくわずかだ。よく見ると,ForceWare 80.40βのほうがパフォーマンスは若干優れているが,1%にも達しない程度では,デュアルコアCPUへの最適化があったとは考えづらい。むしろ,普通のパフォーマンス改善か,3DMark05 Build120やDOOM 3への最適化が進んだ結果と取るべきだろう。
ちなみに,3DMark05 Build120のベンチマーク中にCPU負荷状況をタスクマネージャで確認したところ,右の画面のように,負荷は片方のコアに集中しており,もう片方はほとんど"遊んでいる"状態だった。デュアルコアCPUに最適化されていれば,両方のコアに負荷を割り振ったほうがパフォーマンスアップが期待できることからも,ForceWare 80.40βでは,デュアルコアCPUへの最適化は行われていないと考えられる。
ForceWare 80.40βは,80というナンバーこそ付けられているものの,内容面では現行の公式ドライバであるForceWare 77.72と比べたとき,とくに大きな差はないと見るべきだ。今回は,Release 80で実現するといわれる,Blu-rayやHD DVDの映像フォーマットとして採用が決定しているビデオ形式「MPEG4-AVC/H.264」のサポートについては時間の都合で確認していない。このため,パフォーマンス面に絞って話を進めるが,ForceWare 80.40βにRelease 80世代のドライバとして画期的なパフォーマンス向上を期待していたのであれば,わざわざ導入するメリットはないだろう。 最後になるが,このForceWare 80.40はβ版かつリーク版のドライバであるため,どんな不具合があるか分からない。導入するときは,くれぐれも自己責任で行なってほしい。(宮崎真一)
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