[COMPUTEX 2005 #12]オーバークロックとSLIはグラフィックスカードの華
■それでもやっぱりオーバークロック
グラフィックスカード製品のプレミアム要素といったらオーバークロックでしょ,といったメーカーは決して少なくない。とりあえず高クロック耐性のメモリを搭載しておいて,ユーザーに大幅なオーバークロックの余地を楽しんでもらうというトレンドが一段落した現在,ただ機能を提供するのではなく,いかに簡単にオーバークロックを楽しんでもらうかという方向に全体が進んでいる印象を受けた。
オーバークロック用BIOSが別に用意された,Albatron TechnologyのGeForce 6600 GTカード「PC6600GTQ」
|
ユニークなのはAlbatron TechnologyのGeForce 6600 GTカード「PC6600GTQ」で,通常時は一般的なグラフィックスカードとして動作するが,パッケージ同梱の追加BIOSを取り付けると,自動的に最適なオーバークロック設定になるという。現在はそのパーセンテージの調整中だそうだが,Albatron Technologyマーケティング部のTomasz Swatowski氏は「クロックや電圧の設定を,お任せで最適値にチューンしてくれる。しかも,チューンするだけなので,従来製品とコストがほとんど変わらないため,価格は従来製品とほぼ同じになる」と胸を張る。 COMPUTEX TAIPEI 2005終了後,2週間以内に出荷するとのことなので,6月中には国内でもお目にかかれるだろう。
写真左:これが追加のBIOSモジュール
写真右:実際にグラフィックスカードに取り付けたところ。ちなみに同社ではこの機構を「BIOS 4WD」と名付けている。なぜ4WDなのかは「分からない」(Tomasz Swatowski氏)そうだ
|
|
|
ブラケット部にオーバークロックスイッチを搭載する,ABIT Computerの「Fatal1ty X800XL 512MB」
|
ABIT Computerは,ブラケット部にオーバークロックスイッチを搭載するカードを展示していた。こちらも「どの程度オーバークロックできるかは現時点では分からない」(マーケティング部マネージャ Biru Yang氏)とのことで,詳細はまだ闇の中だが,かなりお手軽なオーバークロックソリューションといえよう。同社が推進するゲーマー向けブランド「Fatal1ty」でメモリ512MB搭載のPCI Express x16版Radeon X800 XLカード「Fatal1ty X800XL 512MB」が登場予定であるほか,メインストリーム向けのGuruブランドからはメモリ256MB搭載でAGP 8X版となるRadeon X800カード「RX800-Guru」が登場予定となっている。
写真左:ブラケット部に用意されているオーバークロックスイッチ。標準とターボモードのどちらで動作しているかはカード上のLEDで確認可能だ
写真右:RX800-Guruもオーバークロックスイッチを用意
|
|
|
MSIは,同社のプライベートルームでオーバークロックツール「CoreCell 3D」をアピールしていた。CoreCell 3Dでは,グラフィックスチップやメモリのクロックから始まって,それぞれの電圧,ファン回転数などを細かく指定できる。ファン回転数設定は自動/手動を切り替えられるようになっており,実際に試したところ,低負荷時にはファンを完全に停止させることもできた。 CoreCell 3Dは今後出荷される同社製グラフィックスカードに標準でバンドルされる予定だそうだ。(佐々山薫郁)
写真左:動作クロックや動作電圧はマウスクリックで簡単に変更可能
写真右:設定結果がリアルタイムに反映されるファンコントローラも使い勝手はよい
|
|
|
■デュアルグラフィックスチップ搭載カードは本当に出荷される?
"次"のビデオチップの発表がなかったためもあってか,大手メーカーはこぞって「1枚のカードに2個のグラフィックスチップを搭載して,1枚でNVIDIA SLIを実現」する製品を展示していた。 ただ,製造コストが高いことと,実際に次世代ビデオチップの影がちらついている状況で,大きなギャンブルは打てないのだろう。「国内での出荷予定はない」(ASUSTeK Computer)など,肝心の出荷に関してはかなり消極的なコメントが目立った。どちらかというと技術力の誇示といった雰囲気も見えるが,ここではそんな「1枚でNVIDIA SLI」モデルをチェックしてみることにしたい。(トライゼット 西川善司)
写真左:ASUSTeK Computerの「EN6800ULTRA DUAL/2DT/512M」は,文字どおりGeForce 6800 Ultraを2個搭載する製品。グラフィックスメモリはグラフィックスチップ1個あたり256MB(チップは1.6ns品)だ。一般的なビデオカードを横に二つ並べたくらいに見え,PCに搭載できるのか不安になるほど。ちなみに,もし出荷されれば10万円くらいになりそうとか 写真中:2個のGeForce 6600 GTを搭載した「GV-3D1」を出荷した実績のあるGIGABYTE TECHNOLOGYは,GeForce 6800 GT×2仕様の「GV-3D1-68GT」を7月から実際に出荷する予定。価格は未定だが,「実際に買える1カードNVIDIA SLIシステムのベンダー」という地位を固めにかかるようだ。なお「3DMark05のスコアが9500をマークした」とは同社スタッフの弁
写真右:MSIの「NX6800 Ultra Dual GPU」。こちらは1グラフィックスチップあたり512MBものグラフィックスメモリを搭載する。ASUSTeK ComputerがEN6800ULTRA DUAL/2DT/512Mを「世界最強」と言っていたのを聞いたMSIの担当者は「向こうが世界最強ならば,うちは世界最強に加えて世界最大容量でもある」と豪語していた。やはり受注生産になるようだ
|
|
|
|
|
|