[COMPUTEX 2005 #05]マルチスレッドベンチ「Mechanoids」とは
COMPUTEX TAIPEI 2005のIntelブースで,さりげなくデモ展示されていた「Mechanoids」。「3DMark」シリーズの開発元として知られるFuturemark製の新作3Dベンチマークソフトだ。先に「こちら」に直撮りムービーをUpしたので,まだ見ていない人はぜひダウンロードしてみてほしい。 さてこのMechanoids,Intelのソフトウェア開発チームの全面支援の下で開発が進められており,一説によればIntel製デュアルコアCPUであるPentium DやPentium Extreme Editionがかなり有利なスコアになるという噂のソフトである。初出は5月に行われた「インテル・デベロッパ・フォーラム Japan 2005」だが,今回いろいろと細かいことが分かったので紹介していこう。
Mechanoidsでは起動後に,動作プロファイルを「Light」「Medium」「Heavy」の3タイプから選択できる。選択後に[RUN]ボタンをクリックするとベンチマークデモの開始だ。デモで描かれるのは,雪山をバックに,小型飛行艇と二足歩行のロボット兵器が戦うというシーンだ。
画面左:飛行艇が颯爽と登場するシーン
画面右:それらを二足歩行ロボットが迎え撃つ
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動作プロファイルをHeavyに設定した関係で,フレームレートは0fpsだ
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各キャラクターはそれぞれが自発的に方向を決めて移動し,さらに敵の動きに適応した攻撃動作まで行う。これは決め打ちのスクリプトによるのではなく,リアルタイムに動作するAIエンジンによって処理されている。 このとき物理エンジン,そしてレンダリングエンジンも別スレッドで動作しており,マルチスレッド動作に適したシステムであれば高いパフォーマンス(=高いフレームレート)が得られる仕組みになっているようだ。 物理エンジンは不必要なまでにスレッドが分割されているようで,展示されていたPentium DベースのPCにおいて,動作プロファイルをMediumやHeavyに設定すると,画面内に登場するキャラクターがどんどん増え,フレームレートは限りなく0に近い状態まで落ち込んでしまった。Heavyに設定しても,シーンの描画品質そのものにはほとんど変化がないので,パフォーマンスの違いは,ビデオチップの描画性能よりもCPUの並行処理能力に依存するよう作られているようだ。
つまり,シングルコアのPentium 4よりもデュアルコアのPentium D,さらにHyper-Threadingテクノロジ(以下HT)非対応のPentium DよりもHT対応で4スレッドを並列実行可能なPentium Extreme Editionのほうが優位になりそう,ということである。
画面左:デモ実行中,画面下に表示されるステータス。左からAI,物理,ポリゴン数を示している
画面右:デモ中に[F2]〜[F4]キーを押すと,各種ステータスをリアルタイムに表示できる。ここでは,全体の負荷に対して各スレッドが何パーセントを占めているかを表示させてみた
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「Mechanoids」についてコメントしてくれた,AMDのセールス&マーケティング部門上級副社長,Henri Richard氏
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このベンチマークソフトの存在について,AMDのセールス&マーケティング部門上級副社長であるHenri Richard氏へ聞いてみたところ,以下のように答えてくれた。
「ベンチマークソフトというのは公平に評価できる仕組みでなければならない。Futuremarkは我々AMDともパートナーシップを結んでいるため,我々のソフトウェアチームもこのプロジェクトに参加している」
現時点だと,MechanoidにAMDの影響はほとんど見えないわけだが,果たしてAthlon 64 X2で動作させると,どんなスコアになるのか。ここまでの完成度でありながら,このベンチマークソフトの最終的なリリース日時は不明とされている。Mechanoidが,比較的早くに出てくるか,Athlon 64 X2への最適化も済ませてから出てくるのか……。今から楽しみではある。(トライゼット 西川善司)
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