[E3 2005#188]クリスティの名作「そして誰もいなくなった」がアドベンチャーゲームに
The Adventure Companyは,流行に踊らされることなく,オーソドックスなスタイルのアドベンチャーゲームを手がけ続けているブランドだ。日本においては「シベリア」のヒットによって知名度を上げたので,その名をご存じの読者も多いことだろう。 そのThe Adventure Companyが今年のE3で展示していた数本のタイトルの中に,かの"ミステリーの女王"アガサ・クリスティの作品をゲーム化したものがあったので,お伝えしよう。
「Agatha Christie:And Then There Were None」は,アガサ・クリスティの名作「そして誰もいなくなった」を原作としたアドベンチャーゲームだ。 正体不明のホストによって孤島の邸宅に招かれた10人の客。それぞれの過去を持った彼らが,一人,また一人と殺されていくという原作のストーリーラインは,ほぼそのまま生かされているようである。
もちろんゲームならではの要素も盛り込まれている。最も大きいのは,主人公の分身となる11人目の人物の存在だろう。この人物"ボートマン"は,乗っていた船の故障により物語の舞台となる島に漂着し,しばらくここに滞在することになったキャラクターであるとのことだ。 つまり,プレイヤーは招かれざる客として,あるいは想定外の要素として,原作小説の世界に足を踏み入れていくことになる。ボートマンの存在によって,ストーリーが原作で語られていた以外の形に変化することもある。屋敷でどのような行動をしたかによって,起こる事件も変わり,エンディングは四つ程度に分岐する予定だという。 小説とは異なり,登場人物達に自分が働きかけていけるので,死ぬはずの人物を助けるようなこともできるかもしれない。有名作品の世界の中を自由に歩き回り,そこに手を加えられるかもしれないという可能性は,原作ファンにとってはとても興味深いものだろう。
本作はThe Adventure Companyのブースでプレイアブルな状態で展示されており,現在の完成度は50%程度であるとのことだった。発売は2005年の秋を予定。 いわゆるゲーマーではない,ミステリーファンへの訴求力も高そうな作品なだけに,このところ数少ないアドベンチャーゲームのヒット作の一本となるかもしれない。
ちなみにアガサ・クリスティ作品に関しては,この「そして誰もいなくなった」も含めて,すでに5作品分のゲーム化権を獲得しているとのことだった。本作以外の有名作がThe Adventure Companyからリリースされる日もそう遠くなさそうだ。(ライター:星原昭典)
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