[E3 2005#142]CDVの新作RTSはWWIIもの4本と南北戦争もの
ドイツの誇るストラテジーゲームの老舗,CDV。今年のE3では,ブースではなくミーティングルームを使い,バイヤーや我々メディアを相手に,今年後半から来年にかけての新作を一挙公開中だった。紹介されていたのは,一つを除きすべて第2次世界大戦を題材にしたものばかりで,ジャンルはRTS。一徹なゲルマン魂が精魂を傾けて作った(一部想像)作品は,テーマや見てくれはやや似ているものの,詳しい話を聞けばそれぞれに特徴を持った面白いタイトルばかり。というわけで,5本まとめて紹介しよう。
「BLITZKRIEG II」 硬派きわまりないRTSとしてファンに評判の「BLITZKRIEG」に,続編「BLITZKRIEG II」が登場する。第2次世界大戦の実際の戦闘や戦場を背景に,戦車や戦闘機などのユニットを指揮して勝利を目指す本作。"II"では,さらにリアルさを増すためのさまざまな要素が付け加えられることになる。例えば,プレイヤーは途中から戦闘に参加する増援部隊の数やタイミングなどを決められる。あるいは,経験値によってユニットの戦闘力が向上する,工兵を使って防御施設を構築したり,建物や橋を破壊したりできる,といった具合だ。 高難度で評判のBLITZKRIEGだけに,続編の登場を心待ちにしている熱烈なファンも多いことだろうが,"II"の難度もまた,半端じゃなさそうだ。2005年秋発売予定。
「Codename: Panzers, Phase Two」 BLITZKREGがコアなプレイヤー向けなのに対し,この「Codename:Panzers, Phase Two」(以下パンツァーズ)は比較的ビギナー向けに開発されたシリーズ。戦場となるのはアフリカから地中海沿岸,そしてバルカン半島だ。プレイヤーは連合軍,枢軸軍,そしてユーゴスラビアのパルチザンとなって,ゲームを進めることになる。ミッションにはそれぞれストーリーがあり,またユニークコマンダーと呼ばれる,いわばヒーローユニットが登場し,彼らを使うことで指揮下の部隊の能力を向上させ,戦闘を有利に進められる。操作も単純化され,アクション性を重視したものとなっている。些末なディテールこだわらず,気軽に大戦ものRTSを楽しみたいというユーザーにはこちらがよいだろう。
「War Front」 こちらも第2次大戦を舞台としたRTSである,とはいえ,普通の作品とはいささか趣が異なる。1944年,ヒトラーの暗殺が成功し,ドイツ軍はいっせいに本国に向けて撤収を開始。政治的な空白地帯となったヨーロッパにソ連軍が殺到し,それを危険視したアメリカ軍がソ連に宣戦を布告。いまや,独ソ米が三つ巴の戦いを繰り広げることになった,という,いわゆる歴史ifものだ。 そのため,数多くの超兵器が登場するところが「War Front」の特色の一つ。鉄十字をつけたステルス爆撃機が飛び,それを狙った誘導ミサイルが宙を舞うといった情景が展開されるのだ。 もう一つの特色は,そのグラフィックスの美しさと緻密さだ。CDVのミーティングルームにおけるデモでは,はるか高みから見下ろす戦場を夜に変え,カメラを戦場に流れる川の水面にどんどん近づけていくと,水辺に浮かんだ小さなスイレンの花の影までが,リアルタイムで生成されているという,驚くべきディテールを見せてくれた。民家の中には机や洋服ダンス,ベッドまであり,リアルさは抜群だ。ちょっと毛色の変わったゲームをプレイしてみたいというユーザーにはもってこいだろう。発売は2006年の予定。
「Clash of Nation」 「Clash of Nation」は,第2次世界大戦をテーマにしながら,こちらは戦争に参加している各国の指導者の一人となって,自国を勝利に導くという戦略級ゲーム。扱う要素は,戦争のための資金調達や石油などの資源の確保,新兵器の開発など多岐にわたり,単に個々の戦闘に勝利を収めるだけでは,戦争に勝利できない。「アドバイス・システム」により,ビギナーでも簡単に操作を覚えられるということなので,戦闘ステージだけではつまらない,というプレイヤーにとっては魅力的ではないだろうか。本作は2006年に発売される予定だ。
「Divided Nation」 紹介されていたタイトルの中で唯一,第2次世界大戦と関係ないのが,この「Divided Nation」だ。これは,「American Conquest」シリーズの最新作に当たり,18〜19世紀のアメリカを舞台にした数々の戦いを描く。軍装もきらびやかな当時の戦いを,正確な時代考証に基づく武器,地形,そして戦闘記録に沿って再現しているという。 テーマとなるのは独立戦争,南北戦争,そしてテキサス独立戦争(米墨戦争。アラモ守備隊の逸話が有名)で,小規模な局地戦から,兵士が地を埋め尽くすような戦闘まで,戦闘規模のバラエティも豊富だ。南北戦争は,軍隊の移動に初めて鉄道が使われた戦争であり,また潜水艦も初登場。ナポレオン戦争以来の集団突撃に対して野砲やライフル・マスケットが導入され,膨大な戦死者を出したことでも知られる。こうした歴史的事実を追体験するのも興味深い。ゲームには9本のキャンペーンと45のミッションが用意され,中には海賊をリクルートしてスペイン艦隊に挑む,といった面白いものもあるとのこと。2005年秋発売予定。(ライター:松本隆一)
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