[E3 2005#136]恐竜やマンモスなどを操っての戦争を楽しむRTS「ParaWorld」
"創世紀シリーズ"(Annoシリーズ)でお馴染みのドイツのSunflower社は,期待されていた「Anno 1701」の出展は見送ったようだが,一風変わった世界観による新作RTS「ParaWorld」を,Deep Silver社のブースで初公開していた。 公開されたプレスリリースからは詳しいバックストーリーを読み取ることができなかったものの,展示ブースにいた開発者の話では,恐竜やマンモス,そして人間が共存するパラレル・ワールドを舞台に,三つの人間部族がコロニーを形成し,恐竜やマンモスを手懐けて戦闘に活用するのだという。
ParaWorldはキャンペーン制になっており,15種類のマップは森林,ジャングル,サバンナ,雪原,火山の五つの地域をモチーフにしている。動物ユニット50種のうち,40種類が恐竜,10種類が氷河期の巨大哺乳類となっていて,デモを見ただけでもラプター,ステゴサウルス,トリケラトプス,ティラノサウルス,ブラキオサウルス,そしてマンモスや毛サイなど,実にバラエティ豊かだ。 これらの動物はParaWorldでは資源として捉えられており,本来は野生としてマップ上に点在している恐竜やマンモス達を,文明の発達によって捕獲する技術を身につけ,それを手懐けて戦闘用に調教したり繁殖させたりしていくのである。
ParaWorldのゲームシステムは,「Warcraft III」とよく似ている印象を受ける。ヒーローユニットを活用し,マネージメントよりも戦闘や移動に費やす時間が圧倒的に多いからだ。なおSunflower社では,"Army Controller"と呼ばれる新しい操作体系を確立したとしているが,実際に触ってみると,すべてマウスとインタフェース左側のパネルを使ってこなせるくらいで,これといってほかのRTSと大きく異なる点は見つけられなかった。 ドイツの開発会社らしくアートワークは秀逸で,武装化した恐竜達のキャラクターモデルや水平線の様子,岸辺に打ち寄せる波などが細かく描き込まれている。カメラは目一杯ズームインでき,動物ユニットに複数の人間ユニットが搭乗していたり,樹木が風に揺れていたりする場面まで,ハッキリと映し出される。全体的には明るい色調で,飼育された恐竜達にはボディペイントをつけることも可能になっており,前世代的なRTSでしばしば感じられた"地味さ"はどこにもなかった。
ParaWorldの世界では,気象変化はもちろん昼夜の時間の移り変わりもリアルタイムで行われる。夜は視界が一気に狭まるために,スニーキングで敵の近くまで寄っていくことが可能だ。 ただし,野生の恐竜は危険で,巣の近くを通るときは興奮させてしまう可能性もあるので要注意。ティラノサウルスレベルの恐竜では,たった一頭でも相当なダメージを被ることになるそうだ。 それぞれの動物は,その属性に合わせて武装させる必要があり,突撃用のラプターやティラノサウルス,輸送用や弓兵搭乗用のマンモスやステゴサウルス,そしてシージ戦用の投石器を背負ったブラキオサウルスなどを確認できた。まだゲームには取り込まれていないが,海戦や空中戦用の動物ユニットも用意するとのことだ。
ParaWorldのマルチプレイヤーモードは,8人までの対戦やチーム戦が楽しめるようになっている。デモでは確認できなかったものの,特殊能力を引き出すためのリサーチやアイテムなども存在しているそうだ。 発売は,公式では2005年第4四半期と発表されているが,E3では2006年前半へと遅れることが示唆されていた。(奥谷海人)
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