[E3 2005#027]E3で明らかになった「Hellgate:London」の概要
ついに,Hellgateで実際に遊ぶことができた!
これが試遊機に備え付けの操作表。最近のFPSと比べれば,はるかに簡単な操作でプレイできる
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「Hellgate:London」は,魔物の侵略で崩壊してしまった近未来のロンドンが舞台のアクションRPG。異形の進化を遂げた超科学と,復活した魔術を武器に,人間と悪魔が生き残りをかけた戦いを繰り広げる。これまでに判明している情報は「こちら」で紹介しているので,まずはそちらに目を通してもらうと,話が分かりやすいかもしれない。 戦闘部分は,Diabloシリーズとは大きく異なるFPSタイプ。主に銃器を用いて敵と戦うことになるのだが,銃器タイプの武器を装備していると一人称視点,近接武器(もしくは近接武器と銃器)を装備していると三人称視点に自動的に切り替わるということが,今回実際にプレイしてみて判明した。 純粋な射撃戦ならば,照準や周囲の動きに意識を集中しやすい一人称視点がベターだが,接近戦なら距離感がつかみやすい三人称視点のほうが明らかに向いている(一人称視点での接近戦は,なんというか"手応え"がないのだ)。また,ずっと一人称視点だとどうしても"3D酔い"してしまう人もいるだろうから,そういった意味でも視点の切り替えはありがたいといえるだろう(著しく3D酔いしやすい筆者も,この情報を知ったときには本当にうれしかった)。 それと,画面レイアウトやメニュー構成,戦闘シーンの難度など,プレイしてみてすぐに把握できるパートから受けた印象は,"非常にとっつきやすいゲームだなぁ"というものだった。画面レイアウトは,見てのとおり余計な情報が溢れかえることなくすっきりしているし,インベントリや装備画面も,英語版とはいえ直感的に操作しやすいデザインだった。また,一見難度の高そうに見えるFPSタイプの戦闘シーンだが,さほど的確にターゲッティングしなくても命中させやすい武器が多く(弾が大きいもの,敵に吸い寄せられる光線が撃てるもの,弾速は低いが弾が拡散していくものなど),近接攻撃時も自動的に三人称視点になるので,敵の攻撃を見極めつつ攻撃しやすいのだ。 どうしても「Diablo」的なゲームが望まれる中,戦闘シーンをFPSタイプにするという大胆なアイデアを実行したビル・ローパー氏だが,こと彼の"遊び"に関わるセンスにかかれば,得手不得手の激しいジャンルであるFPSも,ここまでハードルが低く,また楽しいものになるのかと,素直に感心させられた。
左からインベントリ画面,通常画面(一人称視点),近接武器装備時の通常画面(三人称視点)。シンプルな画面レイアウトと,意味のある視点変更が,プレイアビリティの向上に貢献している
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ビル・ローパー氏が解説するHellgateの概要と魅力
Hellgateの解説をしてくれているビル・ローパー氏。言動の端々から,ゲームに対する愛情が感じられた
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多くのファンがつめかける試遊機で,折りを見てHellgateをプレイしていると,ビル・ローパー氏とのアポイントメントの時間を迎えた。早速ブース内のインタビュールームへと場所を移し,彼自らがHellgateをプレイしつつ,作品解説を行ってもらえることになった。 そこで彼は,「今回用意したHellgateはかなり完成版に近く,既報のものよりも,グラフィックスや技術面,また近接戦闘システム周りの変更などにより,大きくパワーアップしたものとなっています」と述べつつ,ゲームが立ち上がるのを待っていた。その言葉が嘘ではないことは,直前まで実際に作品にふれていた我々も承知している。試遊機のスペックはCPUとビデオカードがハイエンドクラス,メモリが512MB程度という,ややアンバランスな環境だったため,時折展開にひっかかりが生じることがあったものの,グラフィックスやキャラクター動作のなめらかさには別段見劣りするような点は見られなかった。近接戦闘の行いやすさも,従来のFPSよりは(個人的には)確実に遊びやすく,コツをつかんでからは,かなり有効に剣を振るうことができた。 Hellgateが立ち上がると,ビル氏自らプレイを開始。巧みにキャラクターを操りながら,作品解説と我々からの質問に対応してくれた。「ゲームデータのほとんどがランダマイズされていて,ゲーム開始時に所持している武器,敵の配置などは,毎回変わります。敵の中にもプレイヤーと同様に武器を装備するものが存在し,そういった敵の武器もランダムになります」。 丁寧に解説してくれながら,敵をバリバリと殲滅していくビル。地面には,倒した敵からのドロップアイテムがそこかしこに散らばっている。「ドロップアイテムはキー一つで手当たり次第に拾っていくこともできるし,Altキーでドロップを確認し,任意のものだけ選別して拾うこともできます。また,レアなアイテムには独自のエフェクトがかかっているので,重要なアイテムを拾い逃すこともないでしょう」。ドロップアイテムの入手方法や選別方法は,Diabloシリーズとほぼ同様のようだ。レアアイテムがドロップした際に独自のエフェクト(武器にはめ込むタイプのソケットアイテムから,緑色の光が発せられていたのを確認した)は,遠距離からの攻撃や乱戦が多く,様々なアイテムが地面に落ちる本作においては,実に気が利いた仕様といえるだろう。 「入手できる武器も当然ランダムなので,いつ,どこで,どのような武器が手に入るかは分かりません。また,例えばこの武器にはバッテリーパックを積むスペースが二か所存在し,バッテリーを装着することで武器自体の威力や特性を強化できます。武器を強化するための(バッテリーのような)アイテム探しは,武器や防具そのもののチェンジよりも,さらに魅力的な要素といえるでしょう」。そう言って彼は,銃器にバッテリー(酸属性だった)をはめ込み,武器を強化した。その後の戦闘は,確かに以前よりも容易に勝利できるようになっていたので,武器や防具にはめ込むタイプのアイテムは,実に重要かつ魅力的なものと言えそうだ。
武器のバリエーションが豊富なだけではなく,それらを事細かにカスタマイズしていける。FPSの印象が強いが,中身はしっかりと"Diablo"である(当然いい意味で)
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FPSはゲームをより楽しくする一要素。HellgateはあくまでRPG
アイテムには,いわゆるマジックアイテムのほかに,レアアイテムやレジェンダリーアイテムといった具合に,さまざまなグレードのものが存在するようだ
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「本作では,FPS要素はゲームをおもしろくするための一要素に過ぎず,作品の属性自体は明らかにRPGです。敵に攻撃を命中させるために全神経を集中させるようなスタイルを強要したくはないので,比較的誰でも楽しむことができるはずです」。この点に関しては,実際にプレイしてもらうことが仮に可能なら,すぐに分かると思う。あくまで本作はRPGであり,そのアクション性の高さでプレイヤーを限定するような作品には仕上がっていない。 「マップも,ゲームを開始するたびランダムに生成されます。唯一ランダム生成されないのはアンダーグラウンドというステーション(セーフゾーン。町のような場所)で,ここは常に同じレイアウトで配置されます。ゲームの大部分は地上パートで展開されますが,ステーションのさらに下層でも,敵との激戦が発生することになります」。これまで数々の"麻薬的"なゲームを手がけてきた彼だが,そのセンスは本作にも十二分に盛り込まれていることがわかる。ビル・ローパー作品のリプレイアビリティの高さを,世界中のファンやそのコミュニティが強調していることは,多少なりともPCゲームに明るい人ならご存じだろう。 「本作はRPGなので,スキルも存在します。スキルは右手,左手のアイコンにドロップすることで使用可能になり,左右のマウスボタンを押すことで発動します。」スキルの使用方法も,おおむねDiabloシリーズと同じようだ。スキルやアイテム,装備などを設置できるショートカットバーも12枠用意されているので,快適な操作系統が用意されていると考えていい。 「また,本作のランダマイズはスキルシステムにも適用されており,ベーススキル以外のスキルは,クエストクリアやゲームを進めていくことで,ランダムで入手できることがあります」。この日確認できたのは,"右手撃ち""左手撃ち""両手打ち"と思しきスキルだけだったが,ランダムで入手できるというスキルにどのようなバリエーションが存在するのか,非常に楽しみである。 と,それまで順調に魔物を倒し続けていたビルのキャラクターが,突如瀕死の状態に追い込まれた。「Hellgateに登場するモンスターにはユニークなものが多く,単なるパワープレイだけでは対処しきれないこともあります。たとえば今戦った敵は,倒した直後に爆発するので,なるべく遠方から撃破しなければならない。また,この敵は早く倒さないと次々と子を産み続けるので,かなりやっかいです」。ごり押しタイプの単純なFPSでは飽きが早そうだが,本作のようにさまざまな個性を持つ敵が登場し,それに合わせて豊富なスキルや武器を使い分けていくという展開が楽しめるなら,キャラクターが成長するというRPG要素とも相まって,楽しく遊び続けられそうだ。
いよいよ完成間近? さらなる続報に期待したい
作業を終え,別れ際に一枚。多忙な中丁寧にHellgateのレクチャーをしてくれたビル・ローパー氏に感謝。Hellgateを待ち望んでいる世界中のファンのために,もう一頑張りお願いします……
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ビルの実演は約30分ほど続けられたのだが,なにぶんゲームを進めながらのやりとりだったので,すべて時系列でその場の話を追っていくのも,かえって分かりづらいと思う。そこで以下では,こちらの質問に対する回答で判明した事実を列挙していこう。 ・Hellgateには実に多くの種類のアイテムが登場するが,アイテムを装備するためのレベル制限などは設定されていない。ただし,一部能力値などによって制限を受ける場合がある ・アイテムにはさまざまなグレードが存在し,それはDiabloシリーズと同様に,アイテム名の表示色によって判別できる。今回は"レジェンダリー"アイテムというグレードの存在が確認できた。 ・いわゆるマジックアイテムにはPrefixとsuffixが存在し,それらの種類と組み合わせが特殊効果を決定づける ・マルチプレイに関しては,専用のオンラインサイトを用意する予定。ビル自身マルチプレイが大好きなので,世界中のプレイヤーと遊べるよう,マルチプレイ環境にはこだわっていきたいそうだ。いわゆるBattle.netのような環境を整えるかどうかはまだ不明だが,接続者全員が集まれるロビー的なワールドを作り,そこからリーダーキャラクターが作成したワールドに飛べるような仕様になる可能性が高い。1ワールドの最大接続者数は,ワールドの設定や行き先によって変化する模様。ビルいわく,「通常のMMORPGとBattle.netを足して二で割ったような環境」らしい。
以上,やや駆け足であったが,E3で入手できたHellgate情報をお伝えした。今回のプレイアブルなHellgateを見た限り,システム自体はほぼ完成品といえるクオリティのように思えたが,データや細かい仕様に関してはまだまだ調整が必要とのこと。それでも,年内に体験版くらいは遊べるようになるかな? という予感が,ヒシヒシと感じられたのは事実だ。
今回の取材でかなり具体的な話も聞けたHellgateだが,今後も貪欲に情報を求め続けていこうと(当然ながら)考えているので,ファンの人はさらなる情報を楽しみにしていてほしい。(大路政志)
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Hellgate: London |
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