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気になるゲームシステムも公開! 新作オンラインRPG「エミル クロニクル オンライン」(ECO)の制作発表会レポート
2005/04/21 23:59
【ECOイメージイラスト】
 ガンホー・オンライン・エンターテイメントブロッコリーヘッドロックは本日,東京は六本木ヒルズのアカデミーヒルズで,新作オンラインRPG「エミル クロニクル オンライン」(以下,ECO)の制作発表会を開催した。ECOは,3社から成るオンラインRPG制作集団「トリオ・ECO」によって,制作委員会方式で制作が開始される。

 先ほど「こちら」で軽くお伝えした通り,本日発表されたECOは,コンシューマゲーム文化の根強い日本に受け入れられるべく企画された,純国産タイトルだ。"ディプスファンタジアシリーズ"などの開発実績をもつヘッドロックが開発し,国内最大級のMMORPG「ラグナロクオンライン」でノウハウを蓄積しているガンホーが運営。そして,「ゲーマーズ」の全国展開を中心に,キャラクターコンテンツビジネスを手がけるブロッコリーが,豊富な販売チャネルを利用したマルチメディアミックス展開や,幅広い層へのプロモーションを行う。制作からプロモーションまでを国内だけで完結し,プレイヤーの要望や意見をすぐさま取り入れられる点が,ECOプロジェクトの大きな特徴だ。

 最初に登壇したブロッコリー代表の木谷氏は,この構想自体は"2年前に遡る"と語る。氏に話を持ちかけたのはヘッドロック代表の岡田氏とのことで,その提案を聞いて可能性を感じ,木谷氏が仲人の役割を果たして「ラグナロクオンライン」のカードゲーム製作などで面識のあったガンホー森下氏との間を取り持ったらしい。

 木谷氏は,ブロッコリーの主力商品の一つである"カードゲーム"のプレイヤーを奪われるという意味で「オンラインゲームを嫌っていた」と話した。しかし,だんだんとオンラインゲームの全貌が明らかになるにつれ「これは一つのメディアとなりえる」と確信したという。氏の使った「オンラインゲームでビジネスをするということは,視聴率が0.2〜3%のアニメーションを24時間流し続けるのと同じだ」という,ブロッコリー社代表らしい比喩が印象的だ。

 会場の構成やパワーポイント資料の作り,そしてなにより発表会の口火を切る代表者スピーチの最初を飾ったということから,ブロッコリーがこのECOプロジェクトのカギを握る存在だということが分かる。スピーチを聴く限りでも,トリオ・ECO3社代表のなかで,最も明確なビジョンをもってECOを推進しているのは,おそらく木谷氏ではないだろうかと感じるほどだ。

【上段】左から,ブロッコリー木谷氏,ガンホー森下氏,ヘッドロック岡田氏
【下段】開発中のゲーム画面。これだけのスクリーンショットでも,あらゆるコスチュームが見られる


■完全新作オンラインRPG「エミル クロニクル オンライン」とは?

3社の役割分担を図にしたもの。ガンホーとブロッコリーはマーケティング部分で重複しているが,利用するコンテンツの違いで,前者はデジタルの,後者はアナログの分野でそれぞれ展開する
 さて,トリオ・ECOの取り組みはさておき,まずは気になるECOのゲームそのものに迫ってみよう。
 "エミル クロニクル"とは,直訳そのままの"エミルの年代期"という意味。そもそもエミルとは,ECOの世界で最も標準的な種族となる"人間"に対して,ほかの種族がつけた俗称のようなものだ。

 ECOの世界を構成している種族は,前述のエミル,天使族タイタニア,悪魔族ドミニオン,そして自らを"古き民"と称する少数民族の4種族(実際にプレイヤーが操作できるのは前者3種族)。エミルは"駆け出しの冒険者"という実に分かりやすい設定で,姿かたちも人間そのものだ。
 一方,非人間族として描かれるタイタニアとドミニオンは,いずれも羽や尻尾を持つ種族。人間,天使,悪魔と奇をてらわないオーソドックスなラインナップになっているのは,本作がファンタジーの"王道"を目指しているためである。

 イラストを見れば分かる通り,ECOの基本デザインはいわゆる"萌え路線"だ。"萌え"はトリオ・ECOの代表3者が臆することなく連呼していた発表会のキーワードとなっていて,とりわけガンホーとブロッコリーに関しては,堂々と萌えを強調することに対しての開き直りも感じられる。ガンホーが運営する「ラグナロクオンライン」も同人市場を意識して,時間と共に萌え要素を強化してきたわけだが,今回は開発の段階からターゲットユーザーを絞り込むという計画である。

 また萌え路線と同様に,3社が目指しているのはコンシューマゲーマーの取り込み。これはオンラインゲームパブリッシャ各社が,MMORPGのサービス中に必ず立ちはだかる大きな壁となっており,現在でもその方法論を模索している状況だ。
 トリオ・ECO,とくに開発を担当するヘッドロックは,「高いユーザビリティ」と「コミュニティの維持システム」で解決していきたいとしている。ヘッドロック代表の岡田氏は,現行のオンラインゲームの抱える最大の問題は,プレイヤーのプレイ時間の差と,それに伴うキャラクター能力格差の問題だと語る。この問題を解決するための具体策は「いくつか用意している」としながらも明かされなかったが,発表会で公開されたゲームシステムの一部に,その可能性を垣間見ることができる。

【左】エミル 【中央】タイタニア(天使族)【右】ドミニオン(悪魔族)


■どこで制作コンセプトを実現しているのか? 気になるゲームシステムについて

要注目の「マリオネットシステム」。ペットシステムのようで,その実は,オンラインRPGが抱える問題点を解決する仕掛けが実装されている
 ECOオンラインは,トゥーンレンダリングを用いたフル3Dのグラフィックスとなっており,キャラクターやマップオブジェクトはアニメ風で,全体的にやわらかいビジュアルを採用している。登場するキャラクターや家屋は,視点をグリグリと変更して見ることができるし,デザインは「マビノギ」をさらに丸めたような雰囲気である。

 開発中のグラフィックスを見て最も印象に残ったのは,キャラクターコスチュームの豊富さだ。
 ザッと挙げると,最もオーソドックスな西洋風の甲冑や西洋風ドレスから,チャイナドレス,学生服のようなもの,さらにはゴスロリ(?)のような一風変わったものまで存在している模様(上半身が裸のキャラクターもいた)。またマスクや帽子,鞄と,装飾品も含めキャラクターの装備部位数はかなり多め。サラッと見せられたスクリーンショットでも,数十種類が見られるほど,コスチュームのバラエティは豊富。「TANTRA」の例もあるし,"アイテム課金"という選択肢も十分ありえると感じた部分だ。

 またECOは,古代に栄えた高度な機械文明の跡にできた都市郡が舞台となっていて,剣と魔法というファンタジー要素に,"キカイ"という要素が加わる。この"キカイ"の要素についてはまったく触れられなかったが,メインのフィールドとなるアクロニア大陸には,機械文明の面影を残すスチームパンクのような都市も存在するため,ゲームシステム上の重要度は高いだろう。

 そしてなんといっても(少なくとも発表内容では)本作のメインフィーチャーと言えそうなのが,「マリオネットシステム」だ。
 これはプレイヤーキャラクターが,モンスターや機械を模った"マリオネット"に"乗り移る"ことで,マリオネットをまるで自分のキャラクターのように操作できるというもの。発表会で上映されたムービーでは,女性キャラクターが魔法のようなエフェクトを発動後に,テディベア風のクマのマリオネットに"変身"していた。
 マリオネットには,キャラクターの耐性を強化したりといった特殊効果があるとのことで,公開資料には,先のクマのマリオネットのほか,ブリキ人形(?)や,半人半魚のモンスターのような風貌を持つものもあった。

 実はこのマリオネットシステムが,前項に書いた本作の開発コンセプトを具現化している部分でもある。
 ガンホーのコンテンツ開発部マネージャー岩田氏によれば,このマリオネットは,簡単な命令さえ与えておけば,プレイヤーがログアウト後もなにかしら行動を起こしてくれるというのだ。
 この要素ですぐに思いつくのは,例えば個人アイテム商店の運営などがあるが,「命令遂行に失敗したり,モンスターに倒されたりするかも」という岩田氏の言葉を聞くと,マップ移動や生産など,ある程度複雑な命令も与えられそうな雰囲気である。ヘッドロック岡田氏が気にしていた「キャラクターの能力格差」を埋める仕掛けも本機能に実装してあるとのことなので,当分はこのマリオネットシステムを中心に情報を追っていきたいところだ。

本日公開された資料。ストーリーやアクロニア大陸の主要都市が記載してある。上段中央の紋章は,キャラクターの職業を表す「職業ギルド」のものだ


■カギを握るのはブロッコリーの"アナログ"プロモーションと,ゲームシステム

 発表会の終わりには,ガンホーマーケティング部門の"顔"ともいえる小島氏が登壇し,今後のプロモーション展開を語った。やはりここでも繰り返されるのは,3社のノウハウを生かしてコンシューマゲーマーを取り込む点,そしてオンラインゲームのハードルを下げるという点だ。
 確かに可愛らしい絵柄とシンプルなインタフェースは,このミッションを達成するのに必須の要素となるが,やはりトリオ・ECOに置いてはブロッコリーが圧倒的な存在感を示している。

 ブロッコリー木谷氏は,「まずはゲームプレイヤーを集めるのが先。キャラクター商品やノベルティが先にゲームを引っ張ることはなく,あくまでも形成されたコミュニティに対してどうアプローチするかがカギになる」と語る。ガンホーは,Webや既存のゲームタイトルを用いた"デジタルな"プロモーションを,そしてブロッコリーは,物理的にプレイヤー層に働きかけてフィードバックが得られる"アナログな"プロモーションを行っていくという。
 ゲームの全貌は明らかにされていないが,話題性の高さ,そしてブロッコリーが自社の販売チャネルをフル活用でるという点で,本作は非常に期待できそうなタイトル。あとは,ブロッコリーとガンホーの整えたお膳立てを生かし切る"ゲーム内容"にかかっている。ブロッコリーの存在感は揺るぎないが,逆にここまで話題となった以上,ゲームの良し悪しに大きく焦点が当たるだろう。ヘッドロックにとってはここからが勝負だ。

 本作の主な動きとサービススケジュールとしては,本日(4月21日)に公式サイト「こちら」が正式オープン。そして2005年夏にはβサービスが開始されるという。
 ガンホーにとっては,ECOが純国産タイトル第1弾となり,同社の構想であるアジア/北米/欧州への海外展開も現実味を帯びてきた。またROとは異なり,制作時からタイアップ展開を企画できるブロッコリーの同行にも,要注目だ。(Gueed / Photo by kiki)

「エミル クロニクル オンライン」
 →公式サイトは「こちら」
 →紹介ページは「こちら」

ブロッコリー公式サイトは「こちら」
ガンホー・オンライン・エンターテイメント公式サイトは「こちら」
ヘッドロック公式サイトは「こちら」

※画像はすべて開発中のものです。
(c)2005 BROCCOLI/GungHo Online Entertainment,Inc./HEADLOCK Inc.


上段右の画像は戦闘シーンだろう。すでにプレイシーンが見られるぐらいにはベースシステムは確定している模様。2005年夏のβサービスが楽しみだ

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/news/history/2005.04/20050421195652detail.html