[GDC#07]「Age of Empires III」のデモが初公開!
Ensemble Studios社技術ディレクターのデイブ・ポッティンガー(Dave Pottinger)氏とプログラマのマイケル・ビーン(Michael Bean)氏のプログラムトラック「Age of Empires 3 Graphic Engine」(Age of Empires IIIのグラフィックスエンジン)では,発表後初めて,「Age of Empires III」の動いているところが一般公開された。
このゲームエンジンは,地形レンダリングだけ3Dになっていた「Age of Mythology」(邦題 マイクロソフト エイジ オブ ミソロジー)のものからさらに進化し,キャラクターから建物,樹木や煙に至るまで,すべて3Dで表現されるようになっている。 その性能は,画面写真だけでは「どのようにゲームになっているのか」と心配してしまうほど凄まじいが,実際同社の開発チームは「Half-Life 2」(邦題 ハーフライフ2)などグラフィックスを重視した最近のFPSやRPGに触発され,それらに見劣りしないRTSを作り出そうという決意のもとで開発してきたという。
グラフィックスばかりに注力したためにゲームプレイに悪影響をおよぼしていないかという不安をよそに,ポッティンガー氏は「グラフィックス以外は,シリーズの味を出すために前作(Age of Empires II)の基本的部分を極力残すように配慮している」と説明する。しかし,今回はプログラマから見たグラフィックス機能の話。影と光のリアリティを追求したという本作は,意図的に太陽が照る晴れた日だけのマップとなっている。 建物の壁や屋根の照り返し部分が表現され,まるで温かさや直射日光さえ感じ取れてしまうほどだ。実際,Age of Empires IIIではHDRレンダリング(High Dynamic Range Rendering)で64ビットの浮動点レンダリングができるため,非常に明るい光を作り出せるという。画面写真だけでも,クッキリとした光影が印象的な作品になっているのが分かるだろう。Ambient OcculsionやHemispheric Lightingなどの技術も利用していて,太陽光の地面から反射を表現することで,従来のゲームなら光が当たりづらく真っ黒になってしまっていた部分も,ちゃんとテクスチャの質感が確認できるようになっている。
Age of Empires IIIのグラフィックスでとくに秀逸なのは,波の表現だ。開発ツールでは風や水の流れる速さ,波の間隔,色彩なども調整できるために,海と川,池でまったく異なる雰囲気を作り出すことが可能になっている。とくに,マップがジェネレートされるまでは,どちらの方向に川が流れるのかを判断するのは非常に難しいことだが,本作はこの問題をクリアしているという。
また,グラフィックスとは直接関係ないものの,本作はHavok社と物理エンジンのライセンス供与の提携が結ばれていることが明らかにされた。このおかげで,一つ一つのユニットが死んだときにまったく異なる動きを見せるなど,さらに全体的なリアリティが増すと考えれる。 建物は被弾箇所によって天井に穴が開いたり壁が崩れたりするし,崩壊した場合は付近のユニットや樹木のようなオブジェクトにもなんらかの物理的影響をおよぼすことになる。
最後にはEnsemble Studios社の今後についても少し触れられ,ポッティンガー氏は「RTS以外で,PC以外のプラットフォームのプロジェクト」を視野に入れており,このグラフィックスエンジンを利用することも考慮しているようだ。 Ensemble Studios社はMicrosoft社傘下のスタジオとして正式に買収されているので,どのプラットフォームに参入するつもりなのかは,聞くまでもないような気もするが……。(奥谷海人)
「Age of Empires III」 →公式サイトは「こちら」 →紹介ページは「こちら」
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