NVIDIA,GF Go 6600/6800UltraなどノートPCソリューション発表
GeForce Go 6シリーズを紹介するNVIDIAモバイル部門ジェネラルマネージャRob Csongor氏
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NVIDIAは都内のホテルでノートPC向けソリューションの発表会を行った。 すでにソニーからGeForce Go 6200TCを使ったモバイルノートPCが発売されており,モバイルタイプでの本格的な3D表示が実現されているが,今回,新たにGeForce Go 6600を発表し,それが日本メーカーでは東芝Tecra S2/M3とシャープMebius PC-AL3DHに採用されることが決まった(近日発売)。またノートPCで最高のパフォーマンスを発揮する最上位チップ,GeForce Go 6800Ultraも発表され,2月24日には搭載PCも発表されるという(メーカー名は極秘とのこと)。 ことノートPC用ビデオチップではATIの後塵を拝していたNVIDIAが,ここにきて巻き返しを始めている。
■メインストリームからハイエンドまでラインアップを拡充
発表会では,昨年12月に発表されたATIチップを使った初のPCI Express対応ノートPCであるHPのPavilion zd8000(MOBILITY RADEON X600搭載)その前身であるzd7000(GeForce FX Go 5700搭載)を対照機種として,NVIDIAのさまざまな最新ソリューションと比較を行った。 1世代前の最強クラスノートPCであるzd7000と3DMark03でほぼ同一スコアとなるソニーVAIO Sシリーズ(GeForce Go 6200TC搭載)との比較では,消費電力が18w:8.7wと大幅な消費電力の削減が実現されている(うち4wはTCテクノロジによる削減)。NVIDIA自身の前世代製品に対し,1wあたりの性能は実に2倍に向上していることがわかる。加えていえば,同一性能でも筐体サイズは大幅に小さくなっている。ハイエンドノートPCでなく,ピュアモバイルタイプのノートPCでさえ,1世代前のハイエンドノートPCの性能が実現されている(当然CPUは全然違う。Pentium4/3.2GHz:PentiumM/2.13GHz)。なお,チップレベルでいうと,1wあたりの描画性能は6.6倍の差となっているという。
左:GeForce Go 6200での3DMark03スコアと消費電力
右:前世代チップと新世代チップの比較(ローエンド)
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ATIの最新ソリューションであるzd8000とGeForce Go 6600搭載機(Arima W810)の比較では,ほぼ同一サイズのノートPCで倍のパフォーマンスが発揮できることが示された。消費電力もほぼ同じである。GeForce Go 6600を使ったソリューションでは3DMark03でだいたい5000〜7000Overのスコアが出るようだ。今回の比較機種であるW810はコア375MHz/メモリ300MHzと若干アンダークロック仕様となっている。
左:メインストリームノートの3DMark03スコア
右:前世代チップと新世代チップの比較(ミッドレンジ)
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ノートPCで3D Mark03のスコアが12000を超えた!
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デスクトップ代替の高性能ノートPC分野は,GeForce Go 6800が担うことになる。さすがに性能は圧倒的で,3DMark03で10000Overのスコアを叩き出す。さらに,もうじき登場するGeForce Go 6800Ultra搭載機種では,12000Overのスコアが確認されている。
上左:デスクトップ代替ノートの3DMark03スコア
上右:前世代チップと新世代チップの比較(ハイエンド)
下左:NVIDIA モバイル製品の性能,消費電力一覧
下右:同じDVDタイトル再生時のATI製品(赤)とNVIDIA製品(緑)の電力消費の様子
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■PureVideoで液晶オーバードライブを実現
最近,ノートPCユーザーにとってはゲーム以上に重視されているのがビデオ表示だ。GeForce6シリーズに共通に搭載されているPureVideo機能はモバイル製品でもアドバンテージとなっている。 ソニーVAIO S/FSシリーズでは,液晶オーバードライブによる表示が行われているという。
実は,昨年末行われたPureVideoの技術説明会では,将来的な予定として液晶オーバードライブにも対応していくという話が出ていたのだが,それが早くも登場してきたわけだ。 液晶は液晶パネルに電圧をかけて結晶のひねり具合を変えて,透過光を調整して色を表現する。電圧をかけて実際に反映されるまでの応答時間が若干長めなので動画などには不利とされていた。近年は液晶テレビも一般化し,液晶で動画を視聴することも当たり前になってきている。これは液晶テレビで,液晶オーバードライブという技術が完成されたことが大きく影響している。 液晶の応答時間で10msecや18msecというのは,たとえば黒から白に切り替えてまた黒に戻すときの時間である(白→黒→白の場合もあり)。色の変化量は非常に大きいのだが,実は最大の電圧をかけるので応答時間はもっとも短くなる。微妙な電圧から微妙な電圧に切り替える中間調の表現がもっとも苦手とされており,応答時間はカタログに記載されている黒から白への応答時間より長い時間が必要になってくる。これをより速く応答させるのが,オーバードライブ技術である。要するに,目的の電圧より過大な電圧をかけて早めに目的の色にしてしまう技術だ。これの実現には,液晶パネルの特性に密着した制御が不可欠であり,今回はソニーからのデータ提供によってノートPCとしては初めて液晶オーバードライブが実現されている(PC用ディスプレイとしてはナナオなどが対応製品を出している)。 会場では画面の半分だけにオーバードライブをかけるというデモが行われており,その効果が披露されていた。一応動画で撮影してみたので,効果をご覧いただきたい。画面内の動きが大きくなるシーンで左右の先鋭度がかなり違うことがわかるだろう。 なお,液晶オーバードライブは現在ビデオ再生時のみ適用されている。アクションゲームなどでも効果は大きいのではないかと聞いてみたのだが,「そのとおりだが現状では対応していない」とのことだった。将来的な対応に期待しよう。 液晶オーバードライブは,液晶パネルの特性ごとに設定が違うので,今後はノートPCメーカー個別に対応していくことになるという。汎用的なドライバ対応は現状では無理のようだ。液晶パネルの種類が多すぎて,単一のドライバでテーブルを持って対応というのは難しいという。よって,デスクトップPC用液晶ディスプレイについては残念ながら現状では対応予定はないという。
左:液晶オーバードライブの概念図
右:映像オーバードライブの映像(MPEG1:12.7MB)
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■ようやく登場,MXM搭載PC
発表から1年,ようやくMXM対応ノートPCも登場する。現在,30種類以上のプラットフォームが設計段階に入っているという。 PCI-ExpressベースのGPUモジュールであるMXMは,ノートPCのGPUを選択可能&アップグレード可能にするソリューションだ。MXMは現状でMXM-I/MXM-II/MXM-IIの3種類が用意されている。それぞれ,GeForce Go 6600/同6600/6800搭載となっている。MXM3のみマイナーバージョンで,より高性能対応のものも用意されてるが,基本的には3種類で,どれも同じエッジを持つカード仕様となっている。 MXMの現状としては,なんとATIもMXM対応の製品を作っているという。下の写真右のものがATIチップを搭載したMXMカードだが,業界標準としてはAXIOMよりMXMのほうが強くなりそうだ。 また,GeForce Go 6200のデザインでは,チップの基板上にメモリを載せたMEPの実物パッケージも公開されていた(下の写真左の右上)。省スペース用には面白いパッケージだ。
1wあたりの性能を大幅に増し,これまでは高性能ながら消費電力面で敬遠されていたNVIDIAのモバイルGPUもメインストリームに躍り出てきそうな気配となってきている。すでに国内メーカーでも採用され,ノートPCでストレスなく最新のゲームを楽しむこともできそうだ。 (aueki)
■GeForce6シリーズ →関連記事は「こちら」 →ノートPC実機でのハーフライフ2プレイ映像は「こちら」
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