PCI Express対応ノートPC用3Dソリューション続々登場
PC業界ではチップセットなど,システムでのPCI Expressへの移行が進行しつつある。ノートPCもPCI Express化されつつあるが,これによって従来の内部AGP接続のビデオチップは使えなくなるため,PCI Express対応チップがいきなり搭載される状況になってきている。今後のノートPCはチップセット内蔵VGAと高性能VGAの二極化が進みそうだ。 本日,ATIはインテルCentrinoモバイルテクノロジに対応したMOBILITY RADEON X600/X700が7メーカーに採用されたことを発表した。発表されたメーカーは,NEC,ソニー,富士通,東芝,DELL,HP,IBMといった主要なノートPCメーカーだ。今後のノートPCは徐々にPCI Expressにシフトしていくことになるだろう。 今回発表された製品では,とくにMOBILITY RADEON X700は8本のPixelパイプラインと6本のVertexパイプラインを持つなど,デスクトップ製品と比較しても遜色ない仕様で(12PixelパイプのX800チップも発表はされている),ゲームでも快適なパフォーマンスを発揮しそうである。
これに対して,NVIDIA製品では,すでにソニーからVAIO type FS/SシリーズでNVIDIA GeForce Go 6200 with TurboCacheを搭載したモデルが発表されている(2月10日発売予定)。PCI ExpressベースのGeForce6 Goシリーズを採用したノートPCとしては初の製品となるものだ(AGPベースのものはすでに発表されている)。先ごろ発表されたTurboCacheテクノロジにより,小規模な構成でパフォーマンスを発揮することができそうだ。ノートPCには適したソリューションといえるだろう。 NVIDIAでは,もちろんGeForce Go 6800といった,フルスペックのGeForce6をモバイル用にしたソリューションも発表している。消費電力をかなり抑えているとはいわれるものの,モバイル用として実用的なのかどうかは実際の製品を見てみる必要があるだろう。
PCI ExpressのノートPCではVGAモジュールの展開も注目点だ。ビデオカード部分がモジュール構成になれば,基本モデルはチップセット内蔵VGAで,モジュールの追加で本格的な3D対応にアップグレードなどといった展開も考えられる。 今回のATIの発表ではPCI ExpressモジュールであるAXIOMを使ったものは見当たらないものの,一方のNVIDIAのMXMは仕様がなかなかまとまらず難航しているとも聞く。PCI Expressではリーディング企業なので,標準化については同様にリーディング企業であるインテルとの調整が難しいらしい。AXIOMの仕様については完全に固まっており,AXIOMに「かなり近い」ものを使った製品はすでに発表されているという。 PCI ExpressノートPCでは,とりあえず第一世代はATIがリードして製品ラインを押さえた結果となった。今後のモジュール展開の転び方次第では,「標準化」というところに力点を置いたNVIDIA仕様が業界標準となる可能性もないではない。PCI Express化は,パフォーマンスアップおよびシステムの柔軟性が向上するなど,ユーザーメリットは大きい。今後の動向に注目したい。 (aueki)
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