2004/11/19 23:46 |
■都市開発を重視した"A列車4"の後継作品
2004年11月19日,東京ステーションホテルで,鉄道経営/都市開発ゲーム「A列車で行こう」シリーズの最新版「A列車で行こう7」の発表会が行われた。 「A列車で行こう」(以下,適宜A列車と総称)シリーズの歴代作品は,純然たる鉄道会社経営を重視したものと沿線開発に力点を置いたものに大別できるが,「A列車で行こう7」は後者に属し,各プラットフォーム合計で70万本というシリーズ最大のヒット作「A列車で行こう4」(以下,A列車4)の後継に当たる。 1600×1200ドットの解像度に対応し,PCのスペックやプレイスタイルに応じて描画設定をドラスティックに切り替えられるようになったこと,時間の進行をスライドバーで自由に調整でき,昼夜や季節の移り変わりをスムースに表現する「リニアシミュレーション」を導入したことが今作のポイントだ。発売予定は来年(2005年)の2月10日,価格は9975円(税込)となる。 鉄道タイトルにふさわしい場所で行われた発表会の模様と,そこで明らかになったゲームの特徴についてレポートしていこう。
■「操車場」や「ステーションビル」など新施設を追加
「A列車で行こう The 21st Century」以来同シリーズを取り扱うサイバーフロントの,代表取締役社長,藤原三二(ふじわらしんじ)氏
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発表会冒頭では,発売元となるサイバーフロントの代表取締役社長,藤原三二(ふじわらしんじ)氏および,開発会社であるアートディンクの代表取締役社長,永浜達郎(ながはまたつお)氏より新作への抱負が語られた。 サイバーフロントは「A列車で行こう The 21st Century」本体をはじめとして,「同パワーアップキット」「同パワーアップキットVol.2」「同豪華限定版」のほか,「A列車で行こう4 XP対応版」の販売元にもなっており,近年のA列車シリーズに関しては,いわばアートディンクのパートナーといえる。
今作で10年ぶりにプロデューサに復帰するという,アートディンク代表取締役社長,永浜達郎(ながはまたつお)氏
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サイバーフロントの藤原氏は「『A列車で行こう The 21st Century』を取り扱わせていただき,今回も一緒にやろうと言っていただいたことは本当にうれしい」と語り,アートディンクの永浜氏は「初代A列車が出て来年で20年,A列車4が出てから10年以上。その間,A列車4の後継を待ち望む声も多数寄せられたが,いよいよそれに応えた作品になる」と,意気込みのほどを示した。
続いて会場では,1600×1200ドット対応の大型プロジェクタを用いたデモンストレーションが行われた。ゲームのオペレーション役はアートディンクの永浜氏自らが務め,解像度に応じて表示範囲がどのくらい変わるか,スライドバーでゲームの進行速度を変えたときの挙動などが,設定をリアルタイムに切り替えながら説明された。 ちなみに,進行速度は最高で1日=2秒まで上げられるという。発表会の会場となった東京駅付近を使ったデモンストレーション画面は,下に示した写真で確認してほしい。
デモンストレーションを通して説明された新規要素には, 1.「操車場」と「ステーションビル」の追加 2.「ビュー」機能の追加 3.クォータビュー画面の視点角度の変更 といったものがあった。
このうち1.の「操車場」は,列車の向きを自在に切り替えることで,より高度な車輌運用が実現する施設だ。デモンストレーション画面では,「シングルクロス」「ダブルクロス」「シングルスウィープ」といった,複雑な線路のつなげ方ができることも示された。 同様に「ステーションビル」は,アップグレードしていくことで,駅により多くの人が集まるようになる施設だ。沿線の都市開発を積極的に打ち出したA列車4の系列に連なり,駅の乗降数と町の発展が相互作用で影響を与えていく本作では,とりわけ重要な役割を果たすことだろう。 2.の「ビュー」機能とは,ゲーム画面内に置ける一種の拡大ウインドウ。特定の列車を追いかける形で表示させておいたり,表から選択した不動産をズームアップして表示させたりといったことができる。対象を指定しないときは一種のルーペとして機能し,ウインドウの直下の画面を拡大表示する。A列車7のマップには,随時雲が流れたり雪が降ったりしているので,それらを除きつつ必要な箇所だけ見たい場合などに便利だ。
3.は少々細かい話になるのだが,A列車7のメイン画面はいわゆるクォータビューではあるものの,斜め上45度ぴったりでも,斜め上45度を基点にやや手前や奥へ振ったものでもなくなっている。例えばマップ上で正方形の土地は,正確な平行四辺形でなく,やや非対称な四角形に表示されるのだ。 それがどうして重要かといえば,線路を並行させたときの表示が変わってくるのだそうである。手前に高い線路,奥に低い線路が走っているとき,対称な視点では角度によって奥の線路が隠れてしまうが,そうしたことが起こらないように,わざと非対称な角度に設定されているという。こうしたきめ細かな配慮に,アートディンクのこだわりが感じられる。
また,とくに新要素ではないが,デモンストレーションでは各種「工場」や「農場」といった生産施設,「デパート」や「ホテル」といった街に欠かせない建物,「ボーリング場」や「テニスコート」といった余暇施設からランドマークの「東京タワー」まで,都市開発シミュレーションとして重要な要素が一通り紹介された。A列車4の後継タイトルらしく,株や不動産の売買や銀行からの資金借り入れも可能だ。施設建設時,とくに地下鉄網の建設に便利な「ハイカット」(水平断面)表示やグリッド表示なども,もちろん備えている。肝心の列車は約100種類登場し,そのうち30種類を運行させられるという。
詳細は未定ながら,A列車で行こう7の機能をさらに発展させるオプションとして,「マップコンストラクション」「車輌コンストラクション」「ダイヤコンストラクション」といったコンストラクションセットが,オプションとして発売される予定だ。
大型プロジェクタで披露された,「A列車で行こう7」の画面。東京駅周辺の市街地や,流れる雲と降りしきる雪,線路の建設方法や各種列車/建物などを確認してみてほしい
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■15万本の販売を目指す意欲作
デモンストレーション終了後には,発表会を締めくくる形で再びサイバーフロントの藤原氏とアートディンクの永浜氏がコメントを述べた。サイバーフロントの藤原氏が「販売目標は15万本」と打ち上げれば,アートディンクの永浜氏は「既存のファンだけでなくA列車シリーズを知らない若い人達にも満足してもらえるよう制作を進めており,十年ぶりにゲームディレクターを務めている」と語り,それぞれに気合いのほどを示した。 なおアートディンクの永浜氏によれば,ゲームの現時点での完成度は「80%ほど」とのことだった。1600×1200ドットに対応し,まだ詳細な動作環境が明らかになっていないとあって,要求するビデオカードスペックが気になるところだが,発表会終了後に確認したところでは,「それほどDirtect3Dに依存していないので,ハイスペックでないPCでも柔軟にプレイできる」という。ちなみに,列車の視点で発展した街をウォークスルー(?)するモードは搭載されていない。 なお「解像度スペック部分を除き,同等のルールを備えたバージョンをコンシューマ機向けにリリースする予定があるかどうか」も訊いてみたが,これについては明確な回答をもらえなかった。
発売は来年(2005年)2月10日とかなり先になるものの,A列車ファンがこぞって高く評価する"4"の後継とあって,自ずと期待は高まる。A列車4のテイストをほどよく受け継ぎつつ,よりスケールアップされた作品になることを期待したい。(Guevarista)
「A列車で行こう7」 発売予定:2005年2月10日 価格:9975円(税込) 動作環境:Windows 2000/XP,Celeron/1GHz以上(Pentium4/2GHz以上推奨),メモリ 256MB(512MB以上推奨),HDD空き容量 5GB以上(10GB以上推奨) ※必須環境・推奨環境ともビデオメモリ容量は未定。
→「A列車で行こう7」の公式サイトは,「こちら」
(c)2004 ARTDINK. All Rights Reserved.
写真左:発表会の会場となったのは,東京駅の赤レンガ駅舎に併設された「東京ステーションホテル」。鉄道テーマの作品にふさわしいロケーションといえよう
写真中:発表会場の外に設置されたデモマシン。ビデオカードにGeForce 6800 Ultraを使っているが,プロジェクタでのデモンストレーションのときには,GIGA-BYTEのRADEON X800 XTを搭載したPCが使われたとのこと
写真右:同じく会場の外に用意された,歴代「A列車で行こう」シリーズのパッケージ。富士通のFM-7/77用など,オールドファンにはこたえられないラインナップだ
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