[GC#19]「Earth 2160」は,R&Dシステムとグラフィックスが斬新な本格派RTS
2004/08/26 20:00
 ドイツの販売元Deep Silver社のブースでは,ZuxxeZ Entertainment社Reality Pump社が手がけるSF RTS「Earth 2160」が大々的に発表されていた。すでにZuxxeZ社からは「Earth 2140」「Earth 2150:The Moon Project」そして「Earth 2150:Lost Souls」の3作がリリースされており,何か聞き覚えのあるようなタイトルなのはそのせいだろう。
 これまでは,どうしてもマイナーなヨーロッパ産RTSとしての印象しかなかったのだが,販売力の弱い同社に代わってDeep Silver社からの販売になったこともあり,会場でも非常に好意的にファン達に遊ばれていたようだ。
 Earth 2160では,これまでとは異なる最新のグラフィックスエンジンが開発されている。ベジェ曲線で3Dオブジェクトや地形をレンダリングし,DirectX 8.0のPixel Shader1.4以上に対応させた独自のゲームエンジンで,非常に緻密なグラフィックスを達成しているのだ。とにかく,RTSなのに機上のパイロットが確認できるくらいの細かさで,水面の反射から兵器の摩耗まで,緻密に描き込まれている。

 ゲームのタイトルには"Earth"(地球)の文字が含まれているが,実は前作Earth 2150:Lost Soulsにおいて地球は滅亡。Earth 2160では,生き残った主人公らの一団が,月に一時的な殖民基地を築いているという設定だ。本作の目的は,再び敵の急襲にあった主人公らが,何とか侵攻を防ぎながら新天地を探すというものらしい。
 "The Eurasian Dynasty" "Lunar Corporation" "United Civilized States",そして謎の異星人集団"Type 1"という四つの勢力に,七つずつのミッションからなるキャンペーンが用意されている。ゲームが進むにつれて,それぞれの種族を混合させていくことができ,より複雑な文明を築き上げることも可能である。
 戦場となるのは,月のほかにも火星,タイタン,イオ,トリトンなど,現代科学でも人類が生存できそうな星として知られる場所がほとんどなので,各勢力が永住地を探すために衝突するという設定なのだろうか。

 Earthシリーズでも最も力を入れて制作されているのがゲーム中のリサーチ&開発で,それはまた,コアファン達の熱烈なサポートを受けている部分でもある。プレイヤーは研究開発に資源と時間を投資し,さまざまな技術を蓄積していくのだが,研究施設を多く建設するほど,当然のように研究のスピードも上がっていく。いわゆるテクノロジツリーを発展させて新技術を編み出していくのだ。
 Earth 2160での新機能として挙げられるのが,Virtual Agentという新ユニット。名前の通りネットワークコンピュータのみに介在するプログラムのことで,彼らをウイルスとして敵陣に送り込み,敵の情報や技術を盗むように指示できる。バーチャルとはいえ,ゲーム上ではかなり擬人化されており,それぞれに人格を持っているし,日頃から仲良くしておいたほうが依頼しやすくなるという。また仕事を引き受けてもらうには資金を提供しなければならず,親密度によって要求額も異なってくるのだとか。

 Earth 2160は,販売ルートも確保できたことから2004年末までには本国ドイツや東欧でリリースされる見込みとなった。マルチプレイヤーモードも用意されており,8人までがLANやインターネットで対戦できる。
 日本では馴染みのないタイトルの一つだが,ZuxxeZ社は恐ろしいほどの描き込みで定評のあるドイツ系開発陣の中でもトップレベルといえるほどの技術力を持っており,ドイツを中心にコアファンも多いようだった。(奥谷海人)

「Earth 2160」の公式サイトは,「こちら」
「Earth 2160」の記事一覧は,「こちら」



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