[EA CAMP#02]指輪物語を再現! 「Battle for Middle-Earth」のプレイヤブルが初公開
2004/07/17 13:13
映画のタイミングと微妙にズレてしまっていることだけが,唯一惜しい。とはいえ原作ファンも映画ファンも,もちろんゲームファンも取り込める可能性があるこの作品は,おそらく日本での発売は多いに"アリ"だろう
 「Lord of the Rings: Battle for Middle-Earth」(以下,Battle for Middle-Earth)のプレイヤブルデモが,今回EA Campで初めて展示されていた。
 その名から分かるようにBattle for Middle-Earthは,映画「ロード・オブ・ザ・リング」の三部作で描かれた大きな戦闘を,余すことなくゲーム化した作品である。「Command&Conquer: Generals」のゲームエンジンを利用して制作されており,何百体ものキャラクターが画面にひしめき合いながら戦う様子が壮絶だ。今回,実際に体験できたのは,アイゼンガード,ヘルムズ・ディープ,そしてモリアの三つのマップだった。
 ゲームは,すべてポイント&クリックでプレイできるようになっていて,ゲームプレイは相当に簡略化されている。インタフェースが未完成なために,施設建設時に表示される建物の種類などは理解しづらかったものの,しばらく遊んでいれば十分に把握できるようになっていた。どのマップもかなりユニークなゲームモードであり,マンネリ化しないように一つ一つが工夫されている感じだ。
 では,今回プレイできたマップのハンズオンの感想を書いてみる。ユニットや建物などの名称は,ほとんど筆者が勝手に命名したものであるので悪しからず。

■アイゼンガード

 まず,サウロン軍でプレイできるアイゼンガードのマップ。ファラミアの手勢たちが守るアイゼンガードの廃墟を,力ずくで奪取するのが目的だ。マップは,右下の自分の陣地を中心に3分の2程度がFog of Warで覆われており,中央を遮る川をまたいだ攻防戦となる。注意すべきはマップ中央と上部にある敵陣で,敵の本陣へなだれ込むには必ず攻略しておかなければならない。
 このマップのゲームルールで面白いのは,オーク歩兵は半無限にプレイヤーに供給されるということだ。ゲーム開始時には,すでに牙が地上に突き出したような祭壇風の本陣を中心に,いくつかの施設を建設できるようになっている。バラックを作ると,そこから次々とオークが飛び出してくるのである。
 注目しておきたい部分は,施設は決められた部分にしか設置できなくなっていること。本陣の周囲に六つのサークルが浮かび上がっているのだが,このサークルをクリックすれば4種のアイコンが表示され,それぞれバラック,トロールの調教基地,カタパルトの製作所,資源の生成所(らしき建物)を建設できるようになる。歩兵や弓兵のような雑魚ユニットは10人単位のグループ(このゲームではホードと呼ばれる)で生産され,コントロールもすべて10人単位で行われる。このホードをクリックした後に別のホードをクリックすることで自動的にグルーピングされ,巨大な軍団でもマネージしやすくなるのである。
 生産速度は遅いが,トロールやカタパルトを供給するのは不可欠。次々と飛び出してくる歩兵団に数匹のトロールやカタパルトを同行させておくと,かなり強力な部隊になってくれる。とくに,カタパルトは遠方からの投石による攻撃が凄まじく,建物ばかりでなくユニットにも非常に有効だ。カタパルトの投石が着弾した場所の敵ユニットが弾け飛ぶのは,トロールのなぎ倒しと同じくらい見た目にインパクトのあるアニメーションだった。また,敵もファラミア騎馬部隊の決死の突撃戦法を発動し,三つある橋の攻防を巡って激しい戦いが楽しめた。オベリスクのような敵の本陣を潰せば,ムービーが始まってミッションが終了する。



画面写真を見れば分かるが,今回紹介してもらったシーンだけでなく,ほぼ完全な形で映画の三部作が再現されているようだ。2004年1月に日本でも発売された「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」(こちら)とは違った形で,映画を再現している作品となるのだろう



■ヘルムズ・ディープ

 ヘルムズ・ディープは,数少ないローハンの残党を使い,ガンダルフの支援部隊が到着するまで16分に渡って城を守り抜くというゲームモードだった。ヒーローユニットとして,アラゴルン,ラゴレス,ギムリ,そしてセオデンの4人が使用できる。
 このマップでは,まず城の警備配置を行うのに3分が与えられ,プレイヤーは弓兵しか生産しないバラックを指定の場所に建て,ハルディアのエルフ軍を場内に引き入れて第一門を閉める。ちなみに弓兵のバラックでは,アップグレードするとより殺傷能力の高い火矢が使用できるようになる。この火矢の生産は,専門工具を荷馬車につけた労働者がバラックから出てくるだけなので,彼らをすでに配備している弓兵ホードにクリックしてあげなければならない。
 3分経つと,法螺の音が聞こえてミニマップ上に白い点の大群が写り始めるのが見える。カメラを移動させてみると,ホードの集まりが大群へと姿を変えて,城の前で隊列を組み気勢を上げているのも確認できる。映画のあのシーンさながら,これからこんな大量のサウロン軍と戦うのかと思うと,否が応でも緊張感が増すシーンである。
 第1陣は,ハシゴを城壁にかけてよじ登ってくるオークたち。あまり強力な相手ではないので,普通にプレイしていけば必ず防御できる。ハシゴは弓兵の攻撃で倒れるので,じっくりプレイすれば第1陣は問題なく阻止できるはずだ。弓兵は歩兵には弱いので,なるべく城壁に上げないように頑張らなければ,生産が間に合わない。
 問題なのは第2陣。ウラク=ハイの部隊はもちろん,爆弾を抱えた突撃兵士も登場するのである。現状では,この自爆兵を弓で阻止することはできないようになっているので,必ず壁が崩されることになる。最終的には,阻止しても何度も突撃してくるので,やがては爆破されるとのことだ。壁が崩れるとそこからオークたちが乗り込んできて,次々と弓兵を切り倒しながら施設の破壊をはじめる。アルゴルンたちだけでは対応できる人数ではないので,彼らヒーローキャラクターを要所に置いて殿軍とし,すみやかに弓兵たちを城内に退却させて第2門を閉じるのが得策なようだ。この時点で,まだ8分ほどの時間が残っていた。
 第3陣の襲来ではバッテリーラムが投入され,門も案外簡単に破壊されてしまう。城内にも弓兵バラックを設置できる場所があるが,この頃になると防戦一方の弓兵部隊の兵力も落ちており,ほぼタイマーとのにらみ合いっこになってしまった。

■モリア

 マップ制作は終わったが,テクスチャマッピングなどの作業が遅れているモリアは,プロデューサーのマーク・シャッグス(Mark Shaggs)氏にゴッドモードで特別にウォークスルーしてもらったマップだ。とにかく既存のRTSの形式を逸脱していて,9人のフェローシップを最後のクライマックスまで誘導していくという,アドベンチャーゲームのような感覚のゲームプレイだった。施設の設置などは行わず,かといってヒーローユニットにフォーメーションを組ませることもしない模様。ただただ,周囲を取り囲む大勢のゴブリンを,9人が倒していくことで映画さながらのシーンを演出したようで,シャッグス氏も「RTS要素が非常に少ないマップだけど,指輪物語のストーリー上で欠かせない場面だ」と話していた。

 Battle for Middle-Earthの気になるマルチプレイヤーモードだが,最近になって作り始めたばかりの段階であり,ほとんどロックされていない状態だという。1対1の戦いに加え,ヒーローキャラクターを選んでのチーム戦をメインにしたゲームが楽しめることになるだろうとシャッグス氏は話す。マップは,シングルプレイヤーモードと同じ20種類程度のものでプレイでき,レベルエディタが添付される予定はないとのことである。
 発売は2004年11月を予定しており,映画もゲームも大ヒットとなっているだけに日本市場にも投入される気配は濃厚。RTSには馴染みのない映画ファンでもプレイしやすそうな設計ながらもジャンルの面白さを損なわない魅力が,Battle for Middle-Earthにはあるようだ。(文/写真・奥谷海人)



映画中最大の山場の一つである「ヘルムズ・ディープ」も,完全再現(左)。"指輪"のファンならば見ているだけでも楽しいRTSとなりそうなのが,画面からもヒシヒシと伝わってくる



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