サドンストライク  
サドンストライク（以下SS）は，ドイツのCDV Software Entertainmentが開発した，第二次世界大戦を舞台としたリアルタイムストラテジーゲーム（RTS）だ。日本国内では，ズーが12月15日に日本語版を発売することになっている。同じ第二次世界大戦モノでも，以前ご紹介したクロースコンバットシリーズはリアリティーを追求した作品だったが，こちらは派手な演出による爽快さを味わえる，エンターテイメント性を強く打ち出した作品だといえるだろう。SSでは細かい歩兵ユニットがちょこまかと群をなして動き回り，敵を見つけては激しい戦闘を繰り広げる。演出のせいか，扱っているテーマとは裏腹にその動きはどこかコミカルにも見えてしまう。しかし，そのゲーム性たるや非常にシビアなもので，なかなかに手強いゲームなのだ。 一風変わった特徴がてんこ盛り 
RTSとしての最大の特徴は，「生産」という概念がないということ。限られたユニットでいかに効率良く敵を叩くがが重要なのだ。ユニットごとの特性を生かして十分な戦略を練らないとアッという間に全滅の憂き目にあう。ただし「生産」がない代わりに「援軍」という概念があって，一定の条件を満たすことによって援軍がきてユニットが増えたりはするのだが。また，すべての弾薬には限りがあるので，その点も注意が必要だ。ちなみに弾薬は補給トラックによって補充することも可能。ほかにも敵の対戦車砲やなどの大砲を奪い取れる点や，ユニットの経験値によるスキルシステム，空挺部隊の降下（必見！），救護車での負傷兵の治療，偵察機による索敵，爆撃要請，工兵による乗り物修理など，特徴的な要素がてんこ盛りで，戦略の組立てに幅広さを提供している。建物だって，単なるオブジェクトではなく，中に入れるのだ。兵器も多種多様なものが登場するので，どのユニットをどのように使えばいいのか途方に暮れてしまうくらい。その弊害として若干，ゲーム内でのユニット管理システムが甘いかな？と思った点も述べておこう。 
操作性については，左手を定位置に据えてプレイでき，かなり優秀といえるだろう。ユニットの移動経路を簡単に指示できる点も良い。また，動作が軽い点も評価しておきたい。一般にRTSはユニット数が増えるほど動作が重くなるし，解像度など上げようものならコマ送りになってしまうものだが，少なくとも私のPC環境（PentiumIII/750MHz，Matrox G400）では，最大解像度でプレイしても非常に快適だった。
マルチプレイにも"一癖"あり 
マルチプレイでの対戦は，一風変わったシステムが採用されている。SSでは生産の代わりに援軍があると前述したが，マルチプレイヤーゲームでは，マップ上に現れる飛行船を占領することで援軍が補給されるのだ。飛行船をめぐっての攻防戦が展開されることになるのだが，飛行船にばかり気を取られていると，援軍が来ても焼け石に水状態になっていた，ということにもなりかねない。ちょっと変わったシステムだが，これはこれで面白い。惜しむらくは，もう少しマルチプレイゲームにバリエーションが欲しかったという点か。登場ユニットや時代背景など，モロに戦争モノということでやや取っつきにくい面もあるだろうが，純粋なRTSとして非常に手応えがある。全体的にやや難度は高いものの，たまには辛口のRTSもプレイしてみたい人にお勧めしたい作品である。逆に，RTS初心者にとっては辛いゲームとなっていることを伝えておこう。見ているだけでも楽しいゲームだが，初心者にとって"勝つ"ことは難しい。
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