コマンチ4 日本語マニュアル付

Text by Murayama
26th Dec.2001

世界最強の偵察/攻撃ヘリ - コマンチ -

海,市街地,荒野など戦闘の舞台は多彩だ

 コマンチは1981年に米陸軍が航空機メーカーにLHX(Light Helicopter Experimental)というコンセプトを航空機メーカーに提唱したことがきっかけで開発された偵察/攻撃ヘリである。当時,このLHXに身を乗り出したのは大手航空メーカー4社だったが,個々の競争になることはなく,ボーイングとシコルスキーのファーストチームvsベルと旧マクダネル・ダグラスのスーパーチームという図式で開発競争が行なわれた。最終的には1991年にファーストチームが実機の製作を手がけることになり,それと同時にLHXはRAH-66コマンチとネーミングされたのである。
 こうして開発されたコマンチは,さまざまな状況に対応できる最高峰の偵察/攻撃ヘリとして仕上がったのである。コンパクトな機体と独特のフォルムはレーダー波の反射率も低く,静音性を高めた動力などによってアナログ面からも敵に発見されにくい。さらに敵のレーダー網を分析して安全なルートを確保するだけにとどまらず,敵基地の様子をスキャンして味方に一瞬で送信するなど,司令塔的な役割までもこなす。
攻撃面では最大56発ものミサイルを搭載可能で対空/対地のどちらにも応対できるといった具合だ。ほかにも化学兵器に対する機能などもあるが,とにかく,非の打ちどころがないとしかいいようがない。

操作性も抜群 - 戦闘ヘリならではの戦術を堪能しよう -

 ……と,実際のコマンチについての説明はこれくらいにしておこう。NavaLogicは,はるか昔のDOS時代からコマンチをテーマにシミュレータをリリースしてきた会社で,すべてのエンジンを一新した4作め「コマンチ4」をリリースしたばかり。
 遊んだ第一印象はシミュレータというよりも3Dアクションという感じだ(DOS時代の感覚に近い)。というのは数字キーで武器の切り替え,お馴染みのW/A/S/Dキーで前進/後退やスライド移動,マウスで照準を動かし……これはもはや"FPS"であるといってもいいだろう。本格的なヘリのシミュレータなどではホバリングすらままならないものもあるが,本作ではそうしたことはなく比較的自由に機体を操作でき,初心者でも安心してプレイできるだろう
 ちょっと練習するだけで,山などに隠れながら低空飛行で敵に接近し,急上昇してからスティンガーミサイル! といったヘリらしい戦い方もすぐにできるようになるはず。高度の移動に関してもよく考えられており,ShiftとCtrlで上昇/下降ができるが,これに加えてSpaceバーを押している間だけ上昇し,キーから手を離すと以前の高さに自動降下する機能は非常に便利。さらに,Insert,Home,PageUpで低/中/高の3段階に高度を移動することもできる。ちなみに,低空に設定していれば,地形に合わせて高度も若干補正してくれるため,地面に激突することもない(低速飛行時のみだが)。本格的なヘリの操縦を堪能したい人には不満もあるだろうが,誰にでも楽しめる作りになっている点は好感触だ。また,このレビュー自体マイクロマウス発売の日本語マニュアル付きパッケージでプレイしているのだが,マニュアルには全ミッションの訳が掲載されており,かなり便利だったことを付け加えておく。
 むろん完全日本語版が望ましいのだが,かかる時間や価格上昇(そして海外版とのバージョンの違いによるマルチプレイでの問題)などを考えると,紙でキチンとついてくればOKかもしれない。英語のリスニングが苦手な人でも,十分にゲームが楽しめるだろう。

低空飛行をすると砂埃が上がり,海や湖では写真のようにさざ波が発生する スティンガーミサイルで敵ヘリを攻撃中。モタモタしている余裕はない。次の敵を探せ! T-72をロックオン。敵を一度ターゲットすると解除しない限り照準をずらしても攻撃は命中する

操作感のリアルさにこだわらなければ - これほど楽しい一本はない!-

敵基地を攻撃すると巨大な火柱が。爆発などのエフェクトもイイ感じだ

 "FPSのよう"とか"お手軽"とか書いてしまったが,マニアが納得できる要素もある。プロペラの回転による砂埃や水面のさざ波などの表現も行われているし,船を撃沈した場合は,敵兵士が水に浮くなどの芸の細かさも見せてくれる。またコマンチは,武器を胴体部に格納したり,左右にEFAMSという補助翼のようなものを付けてより多くの武装を行えたりするが,このあたりもビジュアルとしてキチンと再現されている。もちろんビジュアルだけではなく,胴体部をあらかじめ開いておけば連続して爆撃を加えることもできたり,EFAMSに搭載された武器を使い切った場合は,EFAMSを捨てることで機体の飛行速度がアップするといった機能面での再現性もしっかりと表現されている
 それから戦闘中に感心したのがヘルファイアミサイルの動作。この武器はレーザーで照射した相手を追尾する特殊なミサイルなのだが,通常の誘導型とは異なり,発射後に目標物を変更できるのが特徴だ。ゲーム中でもそれが可能で,複数のミサイルを発射して敵をロックオンし,目標を破壊したあとに次の敵にロックオンすれば,残ったミサイルはその敵をめがけて飛んでゆく。上手に使えば連続攻撃となり,敵に反撃のスキを与えぬまま全滅させられる。また,手動による誘導もできるので,慣れれば障害物越しに敵を爆撃するといった攻撃方法も可能だ。

 本作の魅力を一言でいうなら,コマンチという最新鋭ヘリのすごさを体験できることだろう。低空飛行で敵に近づき,一瞬の隙をついて攻撃する。しかもその攻撃力たるや戦闘機や攻撃機も顔負けの活躍をする。まさに蝶のように舞い蜂のように刺すということばがぴったりではないだろうか。本格的なシミュレータとして見た場合は不満のある人もいるだろうが,下手にリアル感のみを追求してゲームとしての楽しさを失ってしまうくらいなら,本作のように遊びやすいインタフェースと爽快感で勝負! というほうが高く評価できる。
 難解なインタフェースを盛り込まず,戦闘におけるコマンチの魅力だけをぎゅっと濃縮すると,本作のようになるのだろう。NavaLogicがあえてシミュレータとしなかったため,プレイヤーは戦闘という要素だけに没頭できるし,コマンチの攻撃力に酔いしれることができるのだ。これこそが本作の最大の魅力だと思う。さあ,コマンチを駆って戦場に赴き,飽くことなき破壊欲求を満たそうではないか!

低空で敵に接近することで,敵のレーダー網をかいくぐることが可能だ 戦車,ヘリ,対空砲,戦闘機を相手に戦うのはもちろん,敵施設の破壊も重要な任務 起伏に富んだ地形は戦闘ヘリの独壇場。地の利を活かして敵と戦おう
味方に指令を出して連携攻撃。敵を標準で指定して直接攻撃させることもできる 味方の艦船に着陸すると弾薬などを補給できる。ちなみに近くを飛んでいるコマンチは僚機 ヘルファイアミサイルは発射後に目標を変更可能。先ほど発射した4発が敵に着弾しようとしている

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■発売元:マイクロマウス
■価格:8800円
■問い合わせ先:マイクロマウス TEL 03-3376-8061

■動作環境:Windows 9x/Me/XP,PentiumII/450MHz以上(推奨PentiumIII/700MHz以上),メモリ128MB以上(推奨192MB以上),空きHDD容量250MB以上
■体験版(60.6MB):http://www.4gamer.net/patch/demo/data/comanche4.html

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